忘備録>地方の中堅の病院が整形外科に頼らざるを得ない理由

地方の中堅の病院が整形外科に頼らざるを得ない理由はいくつかの要因が考えられますが、主な理由と対策を以下に説明します。

理由1. 高齢化社会の影響

日本では高齢化が進んでおり、特に地方では高齢者の人口比率が都市部よりも高い傾向にあります。高齢者は整形外科の診療を必要とすることが多く、特に関節痛、骨折、腰痛、関節リプレースメント(人工関節置換術)などが主要な治療対象です。これにより、整形外科は需要が高く、収益性が確保しやすい分野です。

対策: 高齢化に対応した整形外科以外のサービスの強化が重要です。たとえば、リハビリテーションや慢性疾患の管理に焦点を当てた地域包括ケアを提供することで、他の診療科の収益も向上させることができます。また、訪問看護や在宅医療の強化も有効です。

理由2. 手術やリハビリの収益性の高さ

整形外科では手術の単価が高く、さらにリハビリテーションが長期にわたることが多いため、病院にとって収益源となりやすいです。特に手術後のリハビリ期間中は患者が長期間入院することが多く、病床の稼働率も高まります。

対策: 内科的疾患の長期的なフォローアッププログラムや、慢性疾患管理のためのプライマリケアの強化を行うことで、整形外科以外の診療科の収益性を高めることができます。また、最新技術を導入して、整形外科以外の手術や治療法の収益性を向上させることも考えられます。

理由3. 患者のアクセス性

整形外科の診療は比較的わかりやすく、患者が自己判断でアクセスしやすいという点もあります。腰痛や膝の痛みなど日常生活に影響を与える症状が多いため、他の診療科に比べて患者の来院率が高いです。

対策: 地域住民に向けた健康教育や予防医療プログラムを展開し、生活習慣病や他の内科的疾患の早期発見と管理を推進します。これにより、内科的診療科へのアクセスを増やし、他の分野での患者数を増加させることが期待されます。

理由4. 急性疾患の医療リソース不足

地方の中堅病院では、急性期医療や高度な医療設備を備えた大病院と競合することが難しいため、心臓外科や脳外科などの高度な診療科での差別化が難しい場合があります。そのため、比較的設備投資が少なく、安定した患者数が見込める整形外科に依存しがちです。

対策: 診療科目の多様化と地域との連携を強化することが有効です。たとえば、予防医療、リハビリテーション、緩和ケア、地域の介護施設との連携を強化し、病院の役割を拡大することで収益の多様化を図ります。また、地域の中で特定の専門性を持つ診療科を強化し、他の病院との差別化を図ることも可能です。

理由5. 診療報酬制度の影響

日本の診療報酬制度は、手術やリハビリテーションの報酬が比較的高く設定されているため、整形外科の手術やリハビリが病院にとって魅力的な選択肢となります。一方、慢性疾患の管理や予防医療は報酬が少なく、コストパフォーマンスが悪いため、整形外科以外の診療科での収益が難しい場合があります。

対策: 医療費削減と質の向上を目指すための新しいモデル(バリュー・ベースド・ヘルスケア)に注力することが重要です。地域住民の健康管理を統合的に行うことで、診療報酬外の収益源や、長期的な医療コストの削減を目指すプログラムを推進することができます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?