正義と微笑

今日読んだのは太宰治の正義と微笑。とある人が、太宰の作品の中では、明るい雰囲気の作品だって言ってたから読んだんだけど、結論から言えば、決して明るい感じはしなかったな。太宰の作品は他に3、4作は読んでるけど、それらと同じくらい暗い気がした。明るい方なのか?まだまだ暗い作品がたくさんあるのか?まぁ、評価は主観が入るし、その人はこの作品のどこかに心揺さぶられる明るい何かを感じたのかな。確かに、1人の青年の成長を描いた作品ではあって、成長と言えば明るく聞こえはいいけど、物語の最後の方は、主人公のやつれた様子が印象に残って、理想を追い求めて人生の進路を模索していた頃の主人公と比べてしまうと、どうしてもよく見る、社会の荒波に揉まれて角が丸くなってしまってきている青年という様子で、思わず個人的な経験と照らし合わせてしまい、やりきれない閉塞感を感じてしまった。

特に共感を感じたのは、主人公の思い描く理想と世界とのギャップかな。日記形式で話は進んでいくわけなんだけど、もっとこういう風に世間の人が振る舞ってくれたら、誰も嫌な気にならず、悩み苦しまずに済むのに、どうして??っていう内容が多かったよね。そして、主人公はそれに反発するように、ますます自分だけはそういう色には染まるまいと、毎度、決心するんだけど、前述した通り、最後には、苦労して入った春秋座という劇団において、毎日の辛い稽古の果てに、自殺さえ考えてしまうようになる。団長のサポートもあって、どうにかやっていけそうな雰囲気で物語は終わりはしたけど、世の中は甘くない、高潔な志を維持して過ごすことなど尚更、結局は、一生活人として生きていく他ないんだってことを暗に言ってるようで、これもまた、やはりそうなのかなと、陰鬱な気持ちになりましたね。

次は明るい話を読もう(笑)

最後に、太宰も気に入ってたのかな。重ねて引用してた言葉、

「善く且つ高貴に行動する人間は唯だその事実だけに拠っても不幸に耐え得るものだということを私は証拠立てたいと願う。」

ベートーベンの言葉だそうです。

社会人頑張ります。(゚∀゚U

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