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【ドローンにパイロットは不要】インドはドローン免許制度を廃止

インド民間航空省(Ministry of Civil Aviation)はドローン操縦に係る要件となっていたドローン免許制度を2月11日(2022年)に廃止したと発表した。レクリエーションなど非商用目的においてドローンを飛行させる場合、2kgまでのドローン機体(UAV)であれば「リモートパイロット証明書」の必要もなくなった。これによってドローンにおける「自由で開かれたインドの空」が実現された。

ドローン自由化へ舵を切ったインド

ドローン自由化へ向かうと見られていたインド政府だったが去年(2021年)3月「UASルール2021」で突如規制強化に動いた。ところが一転して同年8月には「Droneルール2021」で再び規制緩和で自由化へと舵を切った。

「UASルール2021」は自由化のための反動だったかのように「Droneルール2021」へ変更後インドは、同年(2021年)9月に「ドローン空域マップ」を作成して『DigitalSky』プラットフォームで公開。同月「PLI(Product Linked Incentive)スキーム」導入。同年10月「UTMポリシーフレームワーク」策定。今年(2022年)に入った1月には「ドローン認証制度」導入、シングルウインドウシステム(ワンストップサービス)の『DigitalSky』プラットフォームの運用開始。今月(2022年2月)9日の「ドローン輸入禁止発効」と矢継ぎ早にドローン施策が実施されている。

今回ドローン免許制度廃止によりインドではDGCA(Directorate General of Civil Aviation India)承認ドローンスクールで教習を受けたことを証明する『DigitalSky』プラットフォーム上の「リモートパイロット証明書」(Remote Pilot Certificate)があればドローンを操縦できるようになった。

しかもレクリエーションなど非商用目的においてドローンを飛行させる場合、2kgまでのドローン機体(UAV)であれば「リモートパイロット証明書」も必要なく自由にドローンを操縦して飛行させることができる。

インド国内ドローン産業の促進

インド政府によるこれら一連のドローン施策の狙いは国内ドローン産業の推進・活性化にある。インドだけでなく対立関係にある隣国パキスタンもドローン産業を促進する政策をとっている。

インドが国内ドローン産業を推進する理由は、緊張関係にある隣国の中国やパキスタンにドローン開発で遅れを取る訳にはいかないという安全保障上の要因も当然ある。しかし、それだけでなくインドのドローンサービス産業市場規模が今後3年で3,000億ルピー以上に成長し、50万人以上の雇用を生み出すと予想されていることが大きい。さらに、ドローンはエコでクリーンなので環境負担(環境負荷)低減に向けたゼロエミッションの取り組みにも貢献できる。

ドローン免許制度を導入する日本

翻ってドローン後進国の日本はこれから国家資格としてドローン免許制度を導入する予定である。ドローンは「空飛ぶIoTデバイス」、つまり「空飛ぶスマホ」のようなものであり、今後は自律飛行による自動運航がベースとなる。即ち、そもそもパイロット自体が不要となる。レクリエーション目的で飛ばす以外は自分でドローンを操縦することがなくなるのである。

そもそも所謂「空飛ぶクルマ」と呼称される「乗用ドローン」ないし「エアモビリティ」を含む「advanced air mobility」(AAM)とそのサブセットである「urban air mobility」(都市型空域交通あるいは都市航空交通システム)は自律飛行による自動操縦(自動運航)または自動運用を前提としたコンセプトである。

従って、以前のRC(ラジコン)ヘリコプターなどと同様で免許制度は必要ない。スマホ(携帯電話)同様に登録制だけで十分である。(因みに、航空安全のために本当に必要なのはドローン操縦の免許制度ではなく、航空機における航空整備士と同様、産業用ドローンの整備士である。)

現状、そのラジコンより簡単なドローン操縦を特殊技術のように偽装することで既得権化しようとする業者と資格認定ビジネス(ドローン免許制度が導入されれば免許)で暴利を貪ろうとする悪質なドローンスクールの思惑が合致し、高額な詐欺的ドローン講習が横行している。

それらの多くを担うのは教習生が減少している自動車教習所であり、日本ではそれらに絡む「利権」を守るために今後発展するであろうドローン産業に狙いを定め、教習生減少を少しでも補填する新たな利権としてドローン免許制度を導入するのが日本の実情だと思われる。

国内ドローン産業の発展

今後インドと日本の国内ドローン産業がそれぞれどのように発展(あるいは衰退)していくのか注意深く見守りたい。


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