
【どう見るこの相場】相場師も相撲取りも「目の前の一番」に集中せよ!今後の展望は?
■トランプ大統領の就任や日銀の政策金利引き上げ…激動の相場を生き抜くヒント
前日26日に千秋楽を迎えた大相撲初場所は、豊昇龍の逆転優勝で幕を閉じたが、場所中のテレビの勝利力士インタビューで多くの力士が口にしたのが、「目の前の一番、一番に集中した」であった。常套句だろうが、なかなか含蓄に富み、聞きようによっては株式投資にヒントを与えるコメントになりそうだ。もちろん株式投資成功の要諦は、半年先を予見するといわれる株価の先読みにある。しかしその先走りが、得てして「早読みの早転び」とつまずきリスク拡大につながることもなる。勝利力士インタビューのように、足元をみながら一歩一歩進み「トライ・アンド・エラー(試行錯誤)」を繰り返すことが、リスクの最小化、リターンの最大化になるとも想定されるからである。
というのも、新年1月相場に相次いだビッグ・イベントが、この勝利力士インタビューのように通過したからである。ビッグ・イベントの一つは、1月20日のトランプ大統領の就任式で、もう一つは、1月23日、24日に開催された日本銀行の金融政策決定会合である。トランプ大統領の就任式では、「トランプ・リスク」として懸念されていた一律の関税引き上げが見送られ、さらにソフトバンクグループ<9984>(東証プライム)の孫正義会長兼社長ら3名のITトップと記者会見して新会社「スターゲート プロジェクト」を設立して米国のAIインフラ構築に4年間で5000億ドル(約78兆円)の投資をすると発表した。株価は、AI関連株を中心に歓迎高し、S&P500種株価指数に至っては、その後史上最高値を更新した。
■日銀の政策金利引き上げ、市場への影響は?
日銀の金融政策決定会合も、昨年7月以来6カ月ぶりに政策金利を0.25%から0.5%に引き上げ17年ぶりの高金利水準となったが、前週末24日の日経平均株価は、26.89円安と小幅反落にとどまり、為替相場も、円安・円高にフレはしたものの、1ドル=155円台の小幅な円高・ドル安にとどまった。前回の昨年7月の政策金利引き上げ時には、為替相場が一時、1ドル=148円台まで円高・ドル安と急騰し、直後の8月2日に日経平均株価が、2216.63円安と史上最大の下落幅となっており、様変わりとなった。
それならこのまま手放しの楽観ムードが続くかといえば、そこが勝利力士インタビューの含意する「トライ・アンド・エラー」なのである。まず1月月内は、なお3つ目のビッグ・イベントのFRB(米連邦準備制度委員会)のFOMC(公開市場委員会)が、28日、29日に控えている。今回は、政策金利据え置きが市場コンセンサスとなっているが、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)にインターネット参加したトランプ大統領は、23日に「原油価格が下落するから政策金利も引き下げろ」と越境発言をした。FOMC後の記者会見でパウエル議長が、どのようなスタンスを採るか注目されている。また「スターゲート プロジェクト」も早速、トランプ大統領の最側近とされるイーロン・マスク氏からクレームがつき、ソフトバンクGには100億ドル弱の資金しかないと決め付けられており、巨額資金調達のお手並み拝見となりそうだ。
■「トライ・アンド・エラー」の足元重視で金利敏感株・円高メリット株に再チャレンジ
「目の前の一番、一番」となるとすれば、ここはやはり日銀の政策金利引き上げだろう。金融政策会合の決定が伝わった前週末24日の後場は、関連株の株価は高安マチマチとなったが、3メガバンクは、すぐさま普通預金の預金金利の引き上げを発表している。政策金利引き上げによる利ザヤ拡大、運用環境の好転が期待できることになる。関連の銀行株、保険株などの多くはすでに、中間決算発表の昨年11月に業績の上方修正・増配などを発表済みであり、来月2月早々にも発表の予定の今期第3四半期(3Q)決算への期待も高まりそうである。金利敏感株、円高メリット株などに「トライ・アンド・エラー」のチャレンジ再来となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)