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新木場スライディング土下座事件

東京は巣鴨にある大正大学にて学ぶ、
表現学部の学生の日々を綴ったシリーズです。
今回のテーマは【怪我】
街文化プランニングコースの
ヨシムラ教授からいただきました。

授業内で学生が書いた自身の年表を見ると、
誰しもが怪我の記憶を持っていて
またその記憶が非常に克明であるという
共通点があったそうです。

今回書いてくださった方の書きぶりからも、
怪我の様子がありありと伝わってきます。
しかもやけにキャッチー……

2022年4月6日夜、
私は新木場の街で自転車からスライディング土下座をし、負傷した。

わけがわからないと思うので、一体どうしてそんなことになってしまったかを順に説明していきたい。



私は時々無性に自転車に乗りたくなることがある。
そんなときは歩行者に配慮しながら、ありとあらゆる街を駆け巡ることにしているのだ。

事件現場となった新木場周辺は通行人が少なく、道幅も広い。私が走ってきた街の中でもお気に入りの一つだ。
その日も新木場から葛西方面に行こうと自転車を走らせていた。

下り坂に入り、人がいないのを確認してから自転車を加速させていく。気持ちよくなっていると、手に違和感を覚えた。


”握っているはずのモノを握っていない”

そう、自転車のハンドルである。
それに気がついた瞬間、思考がスローに……。
支えを失った身体は、作用反作用の法則のまま地面に落ちていく。
私は自身の身体が落下していくなかで、


「前輪が何かに躓き自転車が跳ねたこと」
「慣性の法則に従い私の身体はそのまま前に進んでいること」
「もうすぐ地面に落ちること」
「その怪我で死ぬかもしれないこと」


を瞬時に理解した。

そして次の瞬間、

スライディング土下座をしていた。
何を言っているか分からないかもしれないが、次の画像を見てほしい。

この画像は私が自転車から投げ出された瞬間を図にしたものだ。見てのとおり自転車に乗っていた姿勢で空中にいる。
そのまま前に倒れるとどうなるだろうか?

こうなる。
ゴールデンボンバー・ボーカル鬼龍院翔の数倍激しい綺麗なスライディング土下座だ。

今思い返すと、とんでもなく滑稽で恥ずかしい格好である。
しかし、それは後から気づいたことだ。事故直後の私に自分のポーズを気にとめる余裕はない。
身体を伝う鈍痛に悶えつつ、怪我の確認をするだけだ。

赤い丸が怪我をした箇所だ。
色が濃いほど怪我の度合いが大きい。

両膝は擦っただけで血が出なかった。大した怪我ではない。胴体も転んだ直後こそ、内臓を打った痛みで悶えたがすぐに引いた。
しかし問題は左肘である。利き腕である右肘を庇った結果、スライディング土下座の被害を全て被った左肘は見るも無残な具合であった。

痛いし、血も出た。上着とシャツの肘が破れ、オシャカになってしまった(気に入っていた服だったので、実はコレが1番つらいかもしれない)。

そう思いながら私はコンビニで絆創膏を買った後、お腹がすいていたので近くにあったハワイアンレストランでロコモコを食べた。おいしかった。


以上が新木場スライディング土下座事件の全貌である。
今回の事件で私は鬼龍院翔に土下座の激しさで勝利したが、代償としてシャツと上着を1着ずつ失い、怪我を負った。

鬼龍院翔に勝利したい人以外は、節度をもったサイクリングを心がけることを推奨する。


・・・

書いた人:せせせ
表現学部 3年
街文化プランニングコース

10月に新木場へ行った時、夏が終わったことに気がつかず花火をしようとした。
Twitter:@taishonoseda 

ライタースカウト・編集:ナガオカ
表現学部 3年
街文化プランニングコース

"小さいけどちょっと嫌な怪我"の個人的な代表である「しばりが刺さる」が方言だと知ったのは割と最近。

▼前回の記事はこちら▼


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