クソの墓標② ソウルエナジーMAX!!
セレクションパック「インヘリテッド・ユニティ」、来たる。
HISTORY ARCHIVE COLLECTIONの収録カードを中心としたこのパックには、以前からずっと注目していたカードが収録されている。
《ソウルエナジーMAX!!》。三幻神の一角をなす《オベリスクの巨神兵》のサポートカードであり、原作での活躍を踏まえた効果を発揮する①の効果と、墓地の自身を除外することで《オベリスクの巨神兵》を手札に加えてそのまま召喚できる②の効果を持つ。正直なぜこんなカードの実装をここまで遅らせていたのかは一切理解できないが名前の時点でグルーヴ感が溢れ出ていて実に私好みのカードだ。
さて、この《ソウルエナジーMAX!!》を利用して、どんなクソデッキを作れば良いだろうか?
【オベリスクの巨神兵】?それも良いが、ありきたりすぎる。それに、純粋な【オベリスクの巨神兵】では、このカードのポテンシャルを引き出しきれないと、私の直感が言っているのだ。
《ソウルエナジーMAX!!》の注目すべき効果は②の《オベリスクの巨神兵》を召喚できる効果。これはつまり、《オベリスクの巨神兵》とは一切関係のない強力な展開ギミックを主軸としたデッキでも、最後に《永遠の淑女 ベアトリーチェ》や《ライトロード・ドミニオン キュリオス》をチョチョイと出してやるだけで場に《オベリスクの巨神兵》を出力できるようになるということだ。
しかし、《オベリスクの巨神兵》は三幻神とはいえ単体では効果の対象にならない攻守4000。それに結局3体分のリリースが必要となると、よっぽどリリース元の確保が容易なデッキ以外では同じレベル10でも《フルール・ド・バロネス》を出した方がおおむね強いと言わざるを得ない。わざわざ《オベリスクの巨神兵》を選ぶ以上は「出したら勝ち」くらいのことが書いてないと合理的とは言えないだろう。
うん?「出したら勝ち」……?
《光の創造神 ホルアクティ》。「『出したら勝ち』くらいのこと」どころか出したらルール的に本当に勝ってしまうこのカードは、出すことさえできればあらゆる展開系デッキの終着点として頂点にいると言っても過言ではない。
そして、《ソウルエナジーMAX!!》《蘇りし天空神》《ラーの翼神竜-球体形》の3枚にはそれを成し遂げるだけのパワーがある。今年4月にネクストプレイ杯の分布に【ホルアクティ】の名が刻まれ一世を風靡したのは覚えている方も多いだろうが、これは一つの合理的な選択であった言える。
ゆえに今回使用するのは《光の創造神 ホルアクティ》ではない。他者のデッキを偉そうに解説して理解不足でもあろうものなら恥ずかしさで顔面火あぶりの刑だし、そもそも二番煎じだし、このカードは高すぎて手が出せない遊戯王マスターデュエルにも実装されていない。
通常の意味での勝利であればその頂点は《光の創造神 ホルアクティ》。これは揺るぎない事実だ。
ならば、私は「通常の意味ではない勝利」を目指そう。
その結論こそが、これだ!
結局ホルアクティギミックじゃねーか!!
いや、待ってほしい。このうんちデッキには《光の創造神 ホルアクティ》は投入されていない。このデッキの真の目的は……そう。
三幻神を生贄に捧げて《絶望神アンチホープ》を出したら格好いいのでは?????
そう、真っ当なデッキからの逃避である。
《絶望神アンチホープ》はマジで弱いので盤面に残す意味がないところ、無駄に攻守5000という高いステータスを持っているのでさらにこれをリリースして《万物創世龍》を降臨させることもできる。
三つの神を束ねてもなお消し去れぬ絶望を、遊戯王の象徴たる万の竜が浄化する。エモい。
想像してみてほしい。対戦相手が順調にデッキを回し盤面にモンスターを展開している。終着点は《No.86 HーC ロンゴミアント》だろうか、それとも《氷結界の龍 トリシューラ》による大量ハンデスだろうか?そんな考えを他所に場を彩る三枚の神。それを消し去るはうんち希望を排斥する者。こいつ本当に弱いな……この時点であまりの弱さ威圧感にデッキの上に手がかかっているにもかかわらず、さらに追撃の世界を創りし龍。この奇跡の光景を前に、どうしてサレンダーしないことがあるだろうか?いや、ない(反語)。
このデッキで得られる勝利はただの勝利ではない。圧倒的な、精神的な勝利。ただ一度の勝利だけでなく、その後も続く精神アドバンテージ。それこそがこのデッキの本質である。
さて、お待ちかねの展開例は以下の通りだ!
この美しさ。この世の全ては《万物創世龍》より始まり、そして《万物創世龍》に帰着するのだ。
なんだか要求値が高すぎる気がするが、各種ライトロードの効果に加え、ティアラメンツや《古尖兵ケルベク》《混沌魔龍-カオス・ルーラー》などを駆使して《ライトロード・サモナー ルミナス》、《ライトロード・アサシン・ライデン》、《トワイライトロード・シャーマン ルミナス》×2を墓地に揃えられれば①~④の手順を繰り返すことで馬鹿みたいに墓地を増やすことができるので意外に容易に達成できる。ていうか《ティアラメンツ・キトカロス》があまりにも強すぎるので割となんとかなる。
ルートを完遂したとしても別にルール上の勝利は手に入らないのだが、このデッキはとにかく目立つ。目立つという一点においてはこの上なく優れているとも言える。
もしマスターデュエルのランクマに持ち込んで配信者や有名人とマッチングするようなことがあれば大々的に取り上げられること間違いなしだし、そうでなくても当たった相手の記憶には深く刻まれることだろう。
だから、リザルト欄にどれだけLOSEの文字が並ぼうとも、決して諦めないでほしい。このデッキを使っている時、確かに君はスーパースターなのだから。
忘れていたが本デッキは遊戯王マスターデュエル(2023年8月制限)用である。あと1日しか使えない制限リスト以前にこんなデッキで紙の大会に参加するのは他の参加者への侮辱にも等しいので決して持ち込まないように。