コラム:文献管理と Mendeley
医学系の論文を読み始めるにあたって準備すると良いものがあります。それは、単語帳と文献管理ソフトです。今回は、文献管理ソフトについて調べてみました。
文献管理ソフトとは、読んだ研究論文を記録するだけでなく、Microsoft Word 等で参照文献を作成することが主な機能になります。主なものに、以下のソフトがあります。
EndNote: 20年以上の歴史を誇る定番。高機能な有料版と無料板がある。
Mendeley: 無料の文献管理ツール。他の人とデータを共有することもできる。大手ジャーナル出版社 Elsevier が買収して以来、ユーザー数が増えている。
BibDesk: LaTeX に対応したソフト。
その他: RefWorks, Zotero, ReadCube など。
BibDesk は Microsoft Word とは連携しませんが、その他は Microsoft Word と連携します。機能自体は大きな差はないかもしれませんが、連携している際にエラーが発生したり、参照文献が意図した通りに作成されないことがあります。Mendeley も、後述するように課題はありますが、複数パソコンやスマホ、iPad との共有、参照文献スタイルの微調整、MS Word のほか LibreOffice にも対応の点で優れています。
Mendeley の基本的な使い方
パソコンとスマホで Mendeley をインストールし、また上記サイトでアカウントを作成します。パソコンは、Mac, Windows, Linux 版があります。複数のパソコンがある場合は、全てにインストールしましょう。
Microsoft Word や LibreOffice を使っている方は、ツールからプラグインをインストールしておきます。
PubMed などで検索し、文献をダウンロードしたら、保存するフォルダーを決めておきます。また、保存する際にダウンロードしたママのファイル名でなく、「ファーストオーサート出版年.pdf」「ファーストオーサート出版年ジャーナル名.pdf」などのファイル名で統一します。
Mendeley のPreferences から、Watched Foldersを選択し、保存しているフォルダを指定します。
これ以降、Mendeley が起動していれば、このフォルダに保存するだけれデータが追加されていきます。
LibreOfficeとの連携
基本的にワードと同じです。LibreOffice Writer とMendeley を立ち上げておき、(Mendeley 側でプラグインをインストールしておく)Insert Citationを選択し、オーサー名などを入力します。これで引用ができたことになります。
ページの下部に、Insert Bibliographyを追加します。これで、引用した文献のリストが作成されます。
Mendeley の課題
最初に、課題というよりは仕様ですが、保存できる量が500MBとなっています。私は現在400MBなので、500MBを超えてどうなるかは追記したいと思います。
名前のソート順で、ヨーロッパにある van などを適切に処理してくれません。
PDFを自動的に読み取ってくれますが、大文字小文字などを自動的に修正してくれる訳ではありません。オーサーの名前が大文字で書かれているPDFは、そのまま大文字で入っていきます。実際、査読するとこれらを直していないと思われるmanuscriptを見ることがあります。
Wordなどと連携していますが、それほど速くはありません。引用を挿入するのもあまりスムーズではありません。更新すると数秒間は作業が止まります。
参照スタイルは、既存のものをベースに微修正することができますが、かなり難易度が高いです。
日本語の文献や日英混在の際の扱いがあまりよくありません。