オンライン授業の状況で感じた学校間の格差
新型コロナウイルスが猛威を振るう中、
外出を自粛する機運が高まっているのでは
ないかと思います。
中には、4月中旬過ぎの週末に渋滞する
湘南海岸沿いの道路をニュースで見て、
「おいおい」なんて呆れたりもした方も
いるかもしれませんが、大体の方は外出自粛
をしているようです。
また、平常時も仕事は可能な場合はテレワーク
やオンラインにしたり、人員を減らすなどで、
相応に対策を進めているようです。
しかしながら、全部が全部テレワークやオン
ラインに移行できるわけでもない上に、
移行するにも準備が間に合わず、混乱している
現場もあるかと思われます。
そんな混乱している現場のひとつが
『教育現場』
ではないかと思います。
我が子の通っている学校の対応を見ていると、
それがよくわかります。
今回、我が子の学校や塾における、
休校時の学習への対応を経験しました。
1.iPad&校内Wi-fi導入済みの私立男子校
2.ICT導入を検討中の私立女子校
3.ICTは未導入の公立小学校
4.中学受験向け集団指導塾
5.個別指導塾
1.iPad&校内Wi-fi導入済みの私立男子校の場合
この学校では、数年前から全生徒にiPadを
購入させて、校内にもWi-fiを導入して、
授業で活用していました。
そのためか、2月末に安倍首相からの休校要請
の際の対応も早いものでした。
簡単に言うと以下の通りです。
・学校自体は3月2日から休校。
・休校と同時に学校機能をオンラインに移行
(HR・授業をiPadや家庭のPCで行う)。
・家庭にWi-Fiがない場合、郵送や電話で対応。
この時点で、学校の再開は未定で、状況を見て
判断するという点が明記されていました。
その後、休校期間がGW明けまで延長となった
ものの、4月の新学期になってからも、
オンラインで授業が続いています。
新学期にあたっての、校長先生の長い話も動画
で配信されました。
生徒達は、オンラインでも学校生活に準じた
行動を指示されていて、時間までに制服に
着替えて、iPadの前にいないと遅刻扱いです。
また、体調不良などで休む(オンライン授業に
参加しない)場合も、ちゃんと学校に連絡
しなければなりません。
授業はZOOMというオンライン会議室システム
を使用しています。
このシステムは参加者全員の顔を見ることが
できるので、授業だけでなく、昼食時も先生が
ZOOMを起動させてて、生徒は自由参加で
みんなとオンライン昼食をしたりしてます。
さて、ウェブカメラが近く、顔は見えても
全身は見えない状態であるため、ルーズな
格好をしてる事がありました。
上半身は制服でネクタイをしてましたが、
下半身はパジャマや短パンのままでした。
ところが、オンラインに移行して数日にも
かかわらず、先生側はそれらのルーズな雰囲気
を感じたのか、授業中にこんな事を言い出した
そうです。
「じゃあ、ちょっと体を動かしてみよう、
はい立ち上がってー!身体全体が見渡せる
ようにしましょう!」
うちの子は慌ててズボンを履き替えました…。
(互いに映像で見えるのです)
また、ZOOM以外にも教育期間専門のシステムやグループウェア(ednity、ロイロノート、ベネッセのClassi)やGoogle Driveなどを併用したりしています。
プラスに感じた部分
・学校に行かなくても、授業を受けられる。
・学習の遅れを最小限にすることが可能。
・規則正しい生活を維持し易い。
・オンラインとはいえ、先生や友達の顔を見ることで学校に対する安心感がでる。
マイナスに感じた部分
・学校のタイムスケジュールに合わせないといけないことがあり、時間の融通がきかず、他の家族の生活時間に影響してしまう。
・学校にいる時に比べて、勉強に対する意欲の維持が難しい。
・他の家族が、意図せずに授業の邪魔をしてしまう可能性がある。
・オフラインに比べて、コミュニケーションに限界がある。
また、この学校は遠方で、普段うちの子は学校に隣接の寮にいます。
しかし、現在は自宅にいて、夜の時間に寮生だけのオンラインミーティングがあります。
ただ、時間帯が夜で、夕食の時間に影響するため、その点の疑問を長男に伝えましたら、それを寮の先生に伝えたようで、すぐに先生から電話が来て説明がありました。
とはいえ、夜にダラダラと過ごすよりも良いかと思い、夕食やお風呂の時間も調整して、大変ながらも協力しています。
ちなみに、部活のミーティングもオンラインでした。
元々、保護者への連絡も専用のアプリを使ってましたし、報告なども頻繁に来る学校であったので、オンラインになったからと言って、そういう点はあまり変わったことはありませんでした。
(2020年4月1〜25日の間でメールが25通、郵便が3通)
偏差値的な意味では、けっしてレベルが高い
と言える学校ではありません。
そのためか、iPadをはじめとしたICTの導入に
関しては、
「ICTの導入をする前に、基礎的な学力を高くするための施策をとるべきではないのか?」
といった感じで、(主に受験塾関係者から)
厳しい意見もあったようです。
しかし、今回の新型コロナウイルス騒動により
素早くオンライン授業に移行し、今のところ
ではありますが、上手く行っていることで、
学校が行なってきた事の正しさをある程度は
見せる事ができたのではないかと感じてます。
新聞やテレビで取り上げられる機会も増えたようです。
2.ICT導入を検討中の私立女子校
この女子校では、昨年秋頃にICT機器の導入に
ついての説明があったらしいですが、現状では
取り入れてなく、通常通りにカリキュラムを
こなしていました。
また、立地的に山地であるため、近年は台風
などの自然災害による休校がありました。
その時に課題が出ていたので、今回も同様の
対応だろうと想像してましたが、やはり課題を
出すことで対応していました。
しかし、課題や書類、通知などを郵送だけで
やりとりするのは限界を感じたようで、
5月の連休明けから課題の配布、提出、採点に
ついては、Google クラスルームという
オンラインシステムを使うことになりました。
このシステムがどういう物かについては、
連休明けの稼動待ちです。
プラスに感じた部分
・自由な時間に課題ができるので、スケジュールの調整がしやすい。
・オンライン授業とことなり、回線を占拠する時間が短い。
マイナスに感じた部分
・時間や服は自由な分、けじめをつけにくい。
・課題の進行状況は、家庭任せになりやすい。
(親の負担が少なくない)
・友達や先生とのコミュニケーションがとれにくく、不安感が高まりやすい。
ちなみに、娘は算数が苦手なせいか、
算数の課題を後回しにする傾向があり、
このような状況では、最後の方でやたら
算数の課題が溜まりまくります…。
この学校は、校長先生の挨拶も文書での挨拶
でしたが、やはりこの様な有事の際には肉声の
方が安心できるものだと感じました。
さらに、登校日以後はあまり連絡もなく
(4月中に3〜4度メールが来た程度)、
やや不安な気持ちです。
伝統がある学校で、いわゆる「しつけ」的な
教育が行き届いていて、面倒見の良い学校
なのですが、やはり対面の機会がなくなると、
そのような教育は難しい様です。
3.ICTは未導入の公立小学校
前述では私立学校の話を例にしましたが、
こちらは公立小学校ということもあるせいか、
いろいろと制約があるようです。
休校中は課題、プリント類は郵送でしたが、
前述の私立女子校に比べ、課題はかなり少なく
感じます。
しかし、担任の先生からの手書きのお手紙付き
だったりと、制約がある中でも、先生個人個人
は頑張って対応してくれています。
プラス部分・マイナス部分はICTをまだ
導入してない私立女子校の場合に準じます。
とはいえ、連休明けから限定的とはいえ、
できる事からICTの導入を決めた私立女子校
に対し、公立学校は首長や議会の決定待ちが
必要な場合があり、新しい手法を取り入れるの
時間がかかるようです。
教育現場における混乱は、学校だけではなく、
学習塾でもあります。
うちの子供達が通っている塾については、
以下の様な形になってます。
4.集団指導塾
2月末の学校への休校要請を考慮して、
塾は一時的に閉鎖してました。
その後、授業時間を短縮して再開したものの、
4月の緊急事態宣言で再度閉鎖となりました。
閉鎖中は動画配信、質疑応答のみZOOM利用、
テストは自宅受験でした。
しかし、動画配信という一方通行な手段では、
なかなか勉強に対するモチベーションが
上がらないことに加えて、成績順に授業時の
座席が決められているため、塾内におかれた
自分の立ち位置が明確にならないという
デメリットを感じました。
塾側もそれを感じたのか、連休明けから
ZOOMでオンライン授業を開始するようです。
5.個別指導塾
しばらくは課題とメールで質疑応答。その後、ZOOMに移行するようです。
個別指導という形態上、オンライン指導は、
相性が良いのではないかと考えます。
なお、オンラインに移行するにあたり、1対1
または1対2の選択式で80分授業から、
1対1のみで60分授業となりました。
1対1になった結果、教える講師が不足になる
ため、80分から60分への時間短縮で対応する
ことになったようです。
しかし、集団指導塾と異なり、生徒一人一人で
カリキュラムが違うため、それに対応するにも
すごく手間と時間がかかったようで、かなり
大変な様子が伺えました。
学習進度が心配
このように、学校や塾の5パターンを書いて
みましたが、1番目にとりあげた私立男子校
以外の4つは、学習進度を考えると心配が
より大きく思える状況です。
今回、学校や塾のICTやオンライン授業の
導入状況からは、単にICTやオンライン授業の
優位性だけでなく、有事の際の学校の対応、
決定の速さ、対応のきめ細かさにかなりの差が
あるように感じました。
前述の1.私立男子校は、今回のような事態の
有無にかかわらず、いずれオンライン授業を
導入するための準備をしてたかもしれません。
しかし、何か起きた際の決定が早く、
対応も行き届いていると感じました。
連絡メールについても、1月30日の時点で
「新型コロナウイルスによる感染症について」
という件名で、学校としての対応策がメールで
届きました。
さらに、2月27日の夜に政府からの休校要請が
発表された時も、翌28日の時点で
「3月休校、寮閉鎖、次回登校日は後日連絡」
であることと、
「2日からは学校機能をオンラインに移行、家庭にWi-Fi環境がない場合、郵送や電話による対応」
という連絡がありました。
それに対し、2.私立女子校は4月下旬に
Googleクラスルーム利用の決定の連絡、
3.公立小学校の方は4月末に、Wi-Fiの導入状況
のアンケート依頼が来たという状況でした。
今回の新型コロナによって、経済状況が悪化し
下手したら私立校から公立校への転校、
もしくは受験を諦め退塾を検討し始める家庭も
出てくるのではないかと思います。
そんな時、転校や退塾を思い留まらせるのは、
それらの対応如何ではないでしょうか?
今回のような事態における対応の差が見られた
ことは、偏差値や合格・進学実績に関わらない
学校や塾の実力を見ることが出来る機会となり
図らずも貴重な体験をしたと思いました。