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はじめての同人誌の装丁の話

 こんにちは。篠です。
 早速ですが、先日お話しした『はじめて同人誌を作った話』の続きのようなお話をしようと思います。

 ↑前回のお話はこちら。ここでも少し触れていた装丁のお話です。


①大前提のお話

1.表紙に特殊紙を使いたかった。

 先日投稿した記事にも書きましたが、表紙には特殊紙を使いたかったのです。同人誌のオンデマンド印刷の幅広さもさることながら、趣味で作る本なわけですから、商業文庫とはまた変わったことがしたくなるわけで。(この辺りは個人差があると思いますので、あくまで篠さんの趣味)
 今回は色は違えど、メインで頒布した3冊とも『ミランダ170kg』を使用しました。

写真で伝われ!このキラキラ感!!

 ラメのキラキラがとても美しい特殊紙で、見本をみた時の一目惚れは忘れない。他にも光沢感のある紙はたくさんあるのですが、今回印刷をお願いしたスターブックスさんは『ミランダ黒』を表紙として使えるというのが大きかったですね。この辺りは後述します。

2.本文用紙はクリーム色にしたかった。

 小説は「クリーム色の紙の方がいいよ!」という書き手・読み手の先人たちの教えもあり、これも見本を見て決めました。
 あとは単純に頁数が多いので、できる限り薄い紙がよかったというのも大きいです。

3.最初に目に入るカバー(表紙)は画像メインにしたかった。

 ライトノベルという扱いになると思うのでがっつりキャラクターのイラストを入れてもいいのですが、何故だかそれはしたくなかった……!
 夢小説なのでお相手のキャラメインになるし、何より篠さんはカラーイラストが苦手である。(これでも一応は商業イラストレーター目指していたはずの人間。)あとはシチュエーションをどう切り取るかを悩んでしまったというのもあり、画像メインにしました。
 それでも「これは夢小説なんだ」というアピールはこっそりしたかったので、カバーをつけたメイン3冊の表紙には線画のイラストをうっすら入れることで篠さんの個人的欲求を満たしています。

 それでは個別に装丁を見ていきます。(※用紙の厚さの表記は印刷所の表記のままです。)

②メインで頒布していた薄くなくなった薄い本の装丁

 まずはメインで頒布した本体の話。

1.1冊目

タイトル:極めて有能な技術大尉の友人の話
サイズ:A6
本文頁数:292頁
本文用紙:淡クリームキンマリ_62K
表紙用紙:ミランダ_スノーホワイト_170K(マットPP加工)
カバー用紙:コート紙<135>(マットPP加工)
印刷所:スターブックスさん

 はじめて作る本にしちゃあ分厚いなぁオイ(背幅14mm)。こんなはずじゃなかった大賞です。
 夢主のイメージが月だったのですが、月ではなく星空の画像を使いました。カバーのタイトルの後ろには文字を読みやすくするのと、アクセントも兼ねてうっすら白を入れました。
 タイトルはひらがなを小さくする(よくやる手法)ことでメリハリを持たせてます。これは後の2冊も同様ですね。
 夢主が真面目な子なのできれいめの明朝体を使用しました。横書きバージョンも作ったりしたのですが、縦書きの方がしっくりきました。

カバーそでのイラストは作中に出てくる夢主のペンダント。

2.2冊目

タイトル:とある海将の娘の話
サイズ:A6
本文頁数:288頁
本文用紙:淡クリームキンマリ_62K
表紙用紙:ミランダ_スノーホワイト_170K(マットPP加工)
カバー用紙:コート紙<135>(マットPP加工)
印刷所:スターブックスさん

 こちらも薄くない薄い本になりました(背幅14mm)。
 タイトルにも「海」が入っていて、夢主の家も海っぺたで、二人の出会いも海だったので波打ち際の画像を採用。空は青空でなく朝陽あるいは夕陽を彷彿とさせるものにしました。
 文字は手書きっぽいフォントに。これも夢主のイメージに合わせて選びました。

カバーそでにはペアリングのイラスト。作中のキーアイテム。

3.3冊目

サイズ:A6
本文頁数:184頁
本文用紙:淡クリームキンマリ_62K
表紙用紙:ミランダ_黒_170K(マットPP加工)
カバー用紙:コート紙<135>(マットPP加工)
印刷所:スターブックスさん

 カバーはいっそのこと真っ黒にしてしまおう、という勢いでしたが、「深淵にゆらめく」というイメージも表現したかったのでこの画像を使いました。
 フォントは明朝体ですが、話が夢小説としては明確な恋愛関係を結ばない、歪な関係性を築く内容だったので、一部を伸ばして崩した感じにしています。

カバーそでのイラストは夢主のイメージである駒鳥。
表紙はミランダ黒にCMYK+白という特殊な印刷。文字だけ白にしてもらいました。いい感じ。

 表紙は単純に白い紙に黒ベタを印刷してもらうという形でも出来たんですけど、表紙を開いた先(表2・3)が白くなるのが嫌で黒い紙を使いたかったのです。ファンタス黒で裏面に表紙印刷をとも考えたのですが、ミランダ黒に一目惚れしてしまったのと、ファンタスのつるつるした感じが「なんか違うなぁ(言葉ではうまく表現できない)」と思ったので。このあたりは本当に作る側の趣味趣向が出ると思います。

③ノリと勢いだけで出来上がった薄いおまけ本の装丁

 続いておまけ本の話。ページ数が少し違うだけでほとんど一緒なので、仕様については1つにまとめます。

右からおまけ本1、2、3。

サイズ:A6
本文頁数:44頁×2、46頁
本文用紙:書籍用紙 - 70kg(小説、多頁向け)
表紙用紙:サテン金藤 - 180kg(マットPP加工)
印刷所:おたクラブさん

 サテン金藤はつるつるしたコート紙のような雰囲気ですね。
 まずおまけ本1。(1冊目と2冊目を同時に購入いただいた方に無料で配布)
 ロゴのフォントは明朝体ベースで、とめの部分が丸くなったおしゃれなフリーフォント(解星デコール)を使用。青ベースでデザインしたのでさわやかな感じになりました。
 次におまけ本2と3。(3冊目を購入いただいた方に無料で配布。3は内容が特殊なため希望者のみ)3冊目のカバーと統一感を持たせるため、似た画像を使いました。

③余談:本文で使った用紙の話

 個人的に『淡クリームキンマリ』と『書籍用紙』の違いが気になったので、実際に見比べてみた。
 違いが全然わかんない……。触り心地も一緒……。
 調べてみると、印刷所によって名称が違うだけで物自体は一緒のようですね。とはいえ、ひとえに『書籍用紙』といっても印刷所によって選べる種類も多いので(モンテシオンとかタブロ紙とかちょっと気になっている)、同人誌を作るのに慣れてきたらもう少し冒険してみたいところです。
 ……とはいえ、今回仕上がったものを見て『淡クリームキンマリ62kg』が非常に気に入り、今後も本を作るときは「これだ!」となったのですが、調べてみるとこの用紙を用意している印刷所がそこまで多くないことが判明。70kgと90kgがデフォルトのようです。100頁くらいなら70kgでもいいかなって思うのですが、難しいですね。(さらに薄い57kgでもいいのかも)
 まあ同人誌は個人のぜいたくな遊びみたいな感覚があるので(個人の意見です)、文章の内容によってはいわゆる『書籍用紙』以外の紙を使ってみるのも楽しそうです。

 篠さんにメッセージがある方はこちらからどうぞ。(質問の場合は別記事で回答する形となります)

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