電子書籍では楽しめない、本の装丁
Amazonに注文をしていた本が届きました。
ネット広告を見て、面白そうだと思ってポチった本です。
新刊本については、最近はこのような購入の仕方が多くなっています。
買った本は、『Chatter 頭の中のひとりごとをコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』という長いタイトルの本です。
いつものようにワクワクしながら梱包材を開けて、本の表紙を見た時に、「おっ、なんかカッコいいな」というのが第一印象でした。
これまで本の表紙を見ただけでは、感じたことのない感覚でした。
白地の表紙に、黒い字でタイトルが書かれているだけの、シンプルなデザインなのですが、そのシンプルさがカッコいいのです。
長いタイトルだけに、字の大きさやフォントは変えられています。
その変え方のバランスが、とてもいいのです。
そして、その字を触って見ると、強調すべき文字には、エンボス加工が施されているのです。
文字は全て黒文字かと思いきや、Chatterの後ろのterの3文字だけが、金色に輝いています。
このような特殊加工が、表の表紙だけでなく背表紙にも施されています。
帯についても文字しか書かれてなく、見た目ではイラストや写真は一切ありません。
少し前に買った本で『三行で撃つ(近藤康太郎 著)』も、同じようなイメージで、カッコいい表紙です。
白地にタイトルと著者名が書かれており、真ん中に大きくペンを握った手のイラストが描かれています。
そのイラストが箔押しされていて、光を当てて角度を変えると虹色に輝くのです。
この本は書かれている内容も素晴らしく、装丁もカッコよくて、最近買った本の中では一番のお気に入りです。
最近いろんな理由があって、電子書籍からリアルな紙の本に戻りつつあります。
そんな中で、本には装丁というものの楽しみ方に気付かされたのです。
これが電子書籍だと、気付かないままでした。
それに、美術館に行き始めたことが、視覚に入るものの見方が変わってきているのかもしれません。
本の装丁だけでなく、あらゆる商品のパッケージデザインなんかも、以外と楽しめるものです。
全て商品は、誰かの脳みその中からアウトプットされたものなのです。
商品の向こうには、人が存在するのです。
パソコンやスマホの画面を通して、デジタル化されたものを見て満足するのではなく、現物を見ることはとても楽しく感じられます。
デジタル化されたものは、情報源としての活用が主になっています。
そもそも本というのは、誰かが書いた単なる文字の集合ではありません。
装丁も含めて、一冊の本という商品です。
電子書籍では、装丁を楽しむことはできません。
装丁のデザイン、紙の手触り、重さ、ページを捲る音、そして時には匂いを感じるというところまで含めて、これからも読書を楽しんでいきたいと思っています。