就活始めたらHello,Workerみたいなことを思うのかなと思っていたら思わなかった
Hello,Workerという曲を知っているだろうか。
聞けばわかるが、働きたくないけど働かないと生きていけない労働者階級の虚無感を歌った就活ソングである。
この曲を知ったのはたぶんDIVAarcadeに実装したくらいの時だが、当時の私はこの曲を聴いて相当怯えていた。
「B4の紙切れに収まる僕の人生」
「先頭は遠ざかる 一人取り残される」
「数行のお祈りに揺れ動く僕の人生」
こんなに悲観的な言葉を並べたら後からどんなに頑張ろうぜ~!みたいな歌詞言われても全っ然頭に入ってこない。
当時はバカアホすぎてB4がどれくらいの大きさをしているかわからなかったので、たぶんいつも使ってる手帳(B5)と同じサイズの紙ペラなんだろうなと思っていた。
あと、就活の理解度も浅かったため、なんかテストみたいに誰かの掛け声でよーいドンなんだろうな~みんな一斉に書類を出すから郵便局も混むんだろうな~とも。
得体のしれない不安は悲観的に考えるタチだったせいか、〇学生の私は急に漠然とした不安感に苛まれることとなった。
それに、この曲はわからないことだらけでもない。「なにがしたいかわからない なにができるかわからない」「期待されないまま 期待もしないまま 削られた僕らの形はどんな風に見えるのだろう」という歌詞は、5教科ができなさすぎて落ちこぼれていた自分の心情にぴったりだった。
なので、「漠然とした不安感」のほかにも「私ってこれから先ずっと変われないんだろうな」という落胆もあったかもしれない。
さて、そこからn年経ってようやくこの曲に歌われる側の人間になり、この曲を思い出す機会があって恐る恐る聞いてみた。
聞いてみたわけだが、恐れていたほど負の感情は掻き立てられなかった。
たしかに私の経歴は空欄を削ればB4に収まる程度だったし、別に何がしたいとか何ができるとかは今もよくわかっていないし、数行のお祈りに気持ちは揺れ動いた。
だが、それらのことを強く悲観的に思ってもいなかったのだ。
よくよく考えたらそれらは別に悪いことじゃない。B4の紙切れに自分の経歴が収めたり、自身を認めてもらうために笑顔でいることは何か悪いことなのだろうか。
それにB4の紙で知ることができる自身は一つの側面でしかなく、人生そのものの価値には直結しない。
先頭に至っては誰なのか知る由もない。しいていえば家業を継ぐ人だろうか。最後尾だって存在しないだろう。
(一側面しか見られない就活を一側面から悲観的に捉えているこの曲の構成はすごく綺麗じゃないか?)
この曲に共感しなくなったことは退化とも成長ともとれるが、当時と変わったことには違いないだろう。
〇学生の私には、あまり悲観しなくてもいいよ~今できるってわかっていることをやればいいよ~と伝えてあげたい。
どうでもいいがA4サイズの履歴書を使って小さく逆張りしている。