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【第一種電気工事士】筆記試験 難問解説 2019年 第8問

1、はじめに

この記事では、過去に第一種電気工事士 筆記試験で出題された難問について解説していきます。第一種電気工事士の筆記試験では過去に出題された問題がそのまま引用されて出題されたり、数値をかえただけで同じような内容について問われることがほとんどです。過去に出題された難問を繰り返し演習していくことで、筆記試験の対策を効率的に進めていくことができます。

今回は、2019年度 第一種電気工事士筆記試験 で出題された 第8問について解説していきます。

2019Q8

問題
定格二次側電圧が 210Vの配電用変圧器がある。変圧器の一次タップ電圧が6600Vのとき、二次電圧は200Vであった。一次タップ電圧を6300Vに変更すると、二次電圧の変化は?
ただし、一次側の供給電圧は変わらないものとする。

2、出題の意図

この問題を解くためには、変圧器の電圧変化に関する理解や計算能力が求められます。また、実際の配電システムにおける変圧器の動作を理解する必要があります。

point!
変圧器の電圧切替タップの動作として、一次側と二次側は”シーソーの関係”となっており、一方の電圧値が上がれば反対側は電圧値が下がります。

3、問題の解説

解説は以下の図のとおりです。

2019Q8変圧器の切替動作

上の図のとおり、変圧器の一次側のタップ電圧が6600Vから6300Vに下げられると、二次側のタップ電圧はその分だけ上昇します。
具体的に計算すると、
一次側:6600Vから6300Vに切り替え = 300V電圧が下がったことから
→ 300 / 6600 = 約4.5%電圧が下がったこととなります。
よって二次側は200Vから4.5%電圧が上昇することとなります。
∴ 200 ×  1.045 = 209V

正解は、イ. 約10V上昇する となります。

3、さいごに

変圧器の切替タップ

タップとは、変圧器の変圧比を調整するための機能です。一般的に、配電用変圧器にはタップが備わっています。日本国内の電力供給は公称6600Vですが、変電所からの距離によって抵抗が変化し、電圧の降下の程度が違います。そのため、異なる場所では受電電圧の変動が生じます。タップ切換は、こうした受電電圧の変動に適応するために行われます。つまり、変圧器のタップを変更することで、受電側の電圧を調整することができます。これによって、電力供給を安定させる効果があります。初学者にもわかりやすく言えば、タップは電圧を調整するスイッチのようなものであり、電力供給の安定性を保つために使われる重要な機能です。

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