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『重要文化財の秘密』に行った感想

東京国立近代美術館でやっている『重要文化財の秘密』に行ってきました。
東京はめちゃめちゃたくさん美術館や博物館がありますよね。
関西勢の自分としてはどこに何があってどれがどこでやっているのかを把握するだけでも大変です。
本当は重要文化財+エゴン・シーレ展+東福寺展に行く予定だったんですが、急遽プロレス観戦前にキン肉マン展に行くことになったので重要文化財とエゴン・シーレだけ行きました。
初プロレス観戦でしたがとても面白かったです。
ルーブル美術館展も大変行きたいんですが。

展示の一発目は狩野芳崖の『不動明王図』、次に『悲母観音』でした。
私はまだまだにわか美術ファンなので、にわかな感想ばかりになることをご容赦いただきたいのですが。
狩野芳崖といえば『悲母観音』!!!
と、脊髄反射レベルで覚えていたので、芳崖2作品の展示に妙な感動を覚えてしまい、入り口からテンションが上がってしまいました。
美術検定的には狩野芳崖、岡倉天心、フェノロサと、日本画の革新に尽力した面々が芋づる式に出てきますね。

菱田春草3作品と朦朧体の説明などが続いた次に、春草の人となりがわかるエピソードが紹介されていたんですが、作品を評価しなかった審査員に対して「来年はもっと程度を下げてやろう(お前らにもわかるように)(意訳)」と言ったとか何とか(うろ覚え)。
ロックな人だったんですね~!

人となりと言えば今村紫紅さんの「僕は壊すから、君たち、建設してくれたまえ」というお言葉に惚れ惚れしちゃいましたね!
「悩んでいるときはがむしゃらにことに当たれ」
これは何にでも当てはまりますね。
がむしゃらに、破壊し、建設する、そんな人生でありたいですね。

そういえば「洋画」「日本画」って言葉は明治にできた言葉なんですよね。
これも美術検定の問題にあった気がします。
明治時代は日本の美術にとってはアイデンティティ確立という大きな壁にぶち当たった時代だったんですね。
初期には西洋画に追いつけ追い越せだったのが、その後は日本画一辺倒となり、西洋画不遇時代となってしまいました。

和田三造と萬鉄五郎の比較のくだりも面白かったです。
和田三造作品としては、ミケランジェロ並みの肉体美がもりもりと描かれた『南風』が、萬鉄五郎作品としてはこれまた有名な『裸体美人』が展示されていました。
和田は優等生、萬は破天荒、といったイメージで、二人の作風もそんな感じなんですが、和田作品が評価される社会的価値観から、萬作品が評価される社会になるその変遷が面白いですよね。
90年代アニメのコテコテ感から今のアニメの透明感に変遷するような。
本当に時代時代で価値観も美意識も移り変わっていきますよね。
萬の『裸体美人』に対しては、私は今まで「のびやかな表現」以上の評価を抱いたことがなかったんですが、「今まで見られる側として描かれてきた女性が、むしろこちらを見下ろしているようだ」と説明されていて、非常に腑に落ちました。
西洋でも見られる客体としての女性から、見る主体としての女性像への変化がありましたが、確かにこの『裸体美人』の女性、精神が全然縛られていない感じがするんですよね。
そしてこの絵は萬にしか描けなかった絵なんだな~と思いました。

定番、高橋由一の『鮭』もばっちり見てきました!
とにかく、当たり前なんですが有名作品ばかりで、どこをみても「教科書で見たやつだ!」みたいな感覚でとても楽しかったです。

「その作品がどうして指定されたのか、いつ指定されたのか、にも注目してみましょう。評価の基準は一定不変のものではないのです」

と締めくくられていました。

そして戦後の作品はまだ重文指定されたものはないのだそうです。
現在が何を評価するのか、次は何が評価される社会となるのか。

まだ難しいことを考えながら鑑賞できるレベルではありませんが、作品のバックグラウンドにも思いを馳せながら鑑賞できる美術ファンに成長したいなと思いました。

楽しかったです!

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