私なりの男たちへの復讐
というわけでハタチで実家に出戻り。
キズモノ、ホク。
メガネ屋での仕事は職場関係も良好。
接客も楽しく、なによりわたしの視力測定が素晴らしいと好評で仕事に楽しさを感じていた。
(全国で測定スピードや再検査に戻ってくる率などを機械に測定されており、トップ10に入る謎の契約社員として名を馳せていた。)
昔からオジさんウケが良く、父と釣りに行ってオジさんたちに声をかけると獲物を分けてもらえていた。
今でいうパパ活ですね。
父が何も釣れなくてもイカやアジ、タチウオなどを貰って、父から「良くやった」と褒められていた。
そのオジさんウケの才能からか、遠近両用メガネを作りにくるオジさんたちも私にメロメロでわたしの言いなり。楽しかった。
差し入れでよく、アピアの天丼てんやの弁当をくれたな…。
だが、前回の元カレ1号の母親から言われた「資格もとらずに高卒で働き続けるの?」という言葉が脳裏にこだまする。
メガネ屋さんは楽しいけど、体育会系気質もあり、長く働けないなと薄々気付き始めていたわたしは、保育の専門学校に通うことを決意した。
とはいうものの、一度男と出ていき実家に出戻ったわたしを気に入らない父親から「おまえの生活費も学費もださない」とキッパリ言われた。
見捨てられた悲しみがあった。
「釣りに行くほど仲良しな父と娘」と先程の内容では思われるだろうが、半ば強制的だ。
子どもは釣り仲間を繋ぐ架け橋になる。
更に、わたしはかわいい。
利用されていたのだ。
父親は昔から酒癖が悪く、母がわたしを産んでいる最中、父は会社の飲み会で激しく酔っ払いセーラー服を着て踊っていたそうだ。
妻の第一出産を見守らない父親。
母へのDVやわたしたち姉妹に虐待に近いことも行っていた。
単身赴任のため、月1で帰ってくることさえ我慢すれば生活は保証される。暗黙の了解で母私妹で耐え忍ぶ月1の恒例行事。
そう、ホク家系は男運がないのだ。
(妹も今年の初めDV彼氏と警察沙汰になっていた。)
わたしは家計のために、そして学費のために、幾度と経験のある居酒屋アルバイトの他に水商売を始めることにした。(他にも、遠距離の彼氏に会いに行くために金が必要だった。後のチチカカ男。この話はまた今度。)
まず最初はコンカフェとなんら変わらないと思って始めたアニソンコスプレバー。
しかしこれは間違いだった。
コスプレするにもカラコンだのコスプレにも金がかかるし、若干潔癖ぎみのわたしには共有のウィッグがアウト。本当にすぐ辞める。
次は地元のスナック。
友人の紹介で入ることになるが、なんとまぁ居心地の良い。
カラオケが好きで、昔の歌も好き。コアなアニソン・アイドル曲から最近の有名なJ-POPまで歌えるわたしは重宝された。
しかし、酒がキツイ…
一応学生の身分なので、学業に響く。辛い。
そうして友人の紹介でメンズエステというものに出会う。
元々肩こり持ちのわたしはマッサージが好きであったし、オジさん特有の気持ちの悪さにも耐性がある自信があった。
しかし、メンエスを舐めてはいけない…。
抜きなしのメンエスにて際どい鼠径部をマッサージするにあたり、「サービスしてほしいオジさんVS絶対に抜きたくないわたし」の戦いが始まるのだ。
※サービスとは…抜き・おさわり・それ以上のこと
「無理です」と言ってしまえばいい。
だがそれでは指名で戻ってくることはまずない。
丁寧に相手の欲しい言葉を探り、オジさんに身体も心も気持ちよくなって帰ってもらわねばならぬのだ…。
はぁ。疲れる。
父親といい、オジさんといい、元カレといい、男ってどうしてこう気持ち悪いのか。
わたしなりの復讐の仕方が「男から金と心をむしりとる」ということになり、夜職の沼にハマっていく。(もちろんお金もだいすきで金銭感覚もバグっていく…。)
このような経験から、わたしのようなモンスターが生み出されてしまった。
「お金や面白い刺激を与えてくれるオスではないと、関わるメリットがない」という受け身の自分勝手なモンスターの爆誕。
だから愛を理解できなくなってしまった。
手持ち無沙汰で寂しいときにはマチアプでバカそうなオスとトーク画面で喧嘩するという悪趣味。
ペアーズ出禁になりました。
わたしも愛を与えたいのだ。
与えたいし与えられたい。
残念ながら、わたしのこのドロドロの愛を受け入れてくれる男性など、そうそう居ないであろう。
哀しきモンスター、ホク。
※現在は金銭感覚を取り戻そうと生きていますが、逆に行き過ぎています。ケチンボ、ホク。