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Photo by
shiroyukimin
かっこよいおとな
「かっこよいなー」
優しい看護師の母。八百屋の父。パリっとスーツを着て毎朝、おはようって声をかけてくれた近所のお姉ちゃん。作業着着て笑顔でおかえり勉強しろよっ!と話しかけてくれたお兄さん。
小さな頃に憧れていたかっこよい大人たち
社会人になり、慣れないジャケットに、開かない瞼を擦りながら朝の満員電車に乗り、会社の最寄駅から歩くいつもの通勤経路。いけね!今日は本社での研修だった。慌てて、身体を反転させて、駅に向かう。急いでいるのに信号を待たなければならない。気持ちが焦るが電車を調べるとまだ間に合う。気が小さく少し早く出社する性格だったことに感謝。
よかったなー。と胸を撫で下ろしていると、信号待ちには道路を埋め尽くす人たち。そして青信号になったら自分に向かってくるかの如く歩幅を合わせて前に進んでくる。 ゾッとした。 100人は有に超える人たちが同じ歩幅で歩いてくる画。近づいてきて異様さに気づく。無表情。圧倒的な無表情。
100人超えのおとなたちが同じスピードで無表情で自分に向かってくる光景。 水族館で
見た鰯の大群にそっくりだった。
眠っていた脳みそが活性化したことがハッキリとわかった。
はたらく大人はかっこよい。 かっこよいおとなになりたい。そう願っていたあの頃の気持ちをおもだして、わたしは少し駆け足で本社の研修向かうのであった。