流体力学 渦度
皆様おはこんばんちは。そして,お疲れ様です。
最近,流体力学を再度学び直してみようと思い,記事にしています。
第29回目は,「渦度」について紹介していきます。
※第28回目の「任意の角度を回る流れのグラフ」は,現在鋭意製作中ですので,こちらを先に投稿します。
(1)渦度とは?
では,「渦度」について,解説してみます。以前の記事でも「渦流れ」について取り上げましたが,今回は数式とモデル化についてメインに取り上げます。
まず,渦流れから少し復習していきましょう。「渦流れ」は,流体が剛体同様に1点を中心として変形せずに回転する流れを指します。ちなみに「剛体」は,質点(質量だけを持つ物体)の集合体のことで圧力,体積,温度変化が生じないうえに内部の原子,分子が化学変化しない物体を指します。本来,流体力学では「連続体」のモデルを前提に考えます。これは以前の記事で取り上げておりますので,合わせて確認してみた下さい。
(2)渦度の式
では,渦度ζは式(1)のように表せます。
ここで,式(1)は直交座標系で表したものです。渦度が零になるかならないかで,渦流れもしくは渦無し流れとなります。詳しくは,以下の記事を参考にして下さい。
これ以外の座標系として円筒座標で表す方法があります。円筒座標系の渦度ζは,式(2)のように表せます。
式(1)と式(2)は,いずれも2次元流れの場合のものです。これが,3次元流れの場合も同様に直交座標系の渦度ξ,η,ζは式(3)のように表せます。
また,円筒座標系の渦度ξ,η,ζは式(4)のように表せます。
図1 直交座標と円筒座標
(3)渦線
渦の場合も,一般の流体現象のときと同様に考えることが出来ます。特に流体粒子の流れに沿って仮想した曲線を「流線」と言いますが,渦の場合は「渦線」と言います。図2に渦運動のモデルを示します。
図2 渦運動のモデル
図2によると,一般に渦運動を成す流体が柱状の管を形成する場合,これを渦管(うずかん)と呼ぶそうです。また,非常に細い渦管を渦糸(うずいと)といいます。さらに,渦糸が渦線を軸に一周沢山ならんだ面を渦面(うずめん)といいます。
基本的にこの渦モデルを利用して円運動の流れを決めることが出来ます。ここで円運動の流れの判別をしてみましょう。
(a)vθ=ωr (ω=const.),vr=0
よって,上式の場合は角速度ωとなる渦流れとなり,図3に示すような流れになります。
図3 渦流れ
(b)vθ=ω/r (ω=const.),vr=0
よって,上式の場合は渦なし流れとなり,図4に示すような流れになります。
図4 渦なし流れ
(4)まとめ
今回の記事のまとめを以下に示します。
(1)「渦流れ」は,連続体として扱うが,剛体同様に1点を中心として変形せずに回転する流れとして扱う。
(2)渦度は2次元流れ,3次元流れの直交座標,又は円筒座標で表せる。
(3)渦線は,流線と同様である。
以上です。最後まで閲覧頂きありがとうございました。
※次回は,「渦度の証明」について扱う予定です。
※「任意の角度を回る流れのグラフ」については,別日に投稿しますので,少々お待ちください。