流体力学 シュワルツ・クリストッフェルの定理(その2)
皆様おはこんばんちは。
最近,流体力学を再度学び直してみようと思い,記事にしています。
第53回目は,「シュワルツ・クリストッフェルの定理(その2)」について紹介したいと思います。前回,投稿した「シュワルツ・クリストッフェルの定理」の続きとなりますので,気になる方は以前の投稿記事もご確認ください。
(1)定理を使うときの注意事項1
さて,前回はシュバルツ・クリストッフェルの定理(以下,SCの変換式)を紹介しました。結論として,何をする定理なのかを振り返ると,「円以外のn辺多角形でもz平面からζ平面に変換が可能になる」ものでした。
最近だと,この解説をしているnoteの投稿やpythonのプログラムを公開している人がいて驚きでした。
この定理を使って,n辺多角形の問題を解くことが出来るようになった訳です。しかし,問題を解くときに注意しなければならないことが2つあります。今回は,これを紹介していきます。
まず,SCの変換式を使うときの注意事項1は,「頂点ζ1,ζ2,ζ3,…に対するx1,x2,x3,…の値に関しては,3つは自由に選ぶことができる」です。
上記について,図形を使って説明します。n多角形に相似なn多角形を作る場合,各辺に平行な直線を引くことはできますが,角度が同じものでなければ相似な図形は得られません。角度が不明な(与えることができない)場合は,相似条件の1つである「3組の辺の長さの比が等しい」ことが成立すればよいのです。そのときは,(n-3)個の辺の長さの比の値を知らなければなりません。図1のように,3角形,4角形,5角形,6角形の辺の比を考えてみましょう。
図1の3角形を見ると,n=3となるので(n-3)= (3 - 3)= 0個となり,0個の辺の長さの比の値となります。これは,角度によって相似な3角形(直角三角形,直角二等辺三角形)が決定するため,辺の長さだけでは決まらないことを示しています。
続いて,図1の4角形を見ると,n=4となるので(n-3)= (4 - 3)= 1個となり,1個の辺の長さの比の値となります。これは,相似な4角形(平行四辺形,菱形,長方形,正方形,台形など)は「2辺の辺の比が等しく,その間の角が等しい」ことで決定できるため,2つの辺の比,つまり1個の辺の比の値が分かればよいことになります。
図1の5角形,6角形も同様に計算すると,辺の比の値は2個,3個決まればよいことになります。これが,辺の長さの比の値が(n-3)個になる理由です。
したがって,自由に選ぶことのできる量(今回の場合は,x1,x2,x3,…に該当)の数は,「3個」となります。
これが,SCの変換式を使うときの注意事項1の説明です。
(2)定理を使うときの注意事項2
次に,SCの変換式を使うときの注意事項2は,「頂点ζ1,ζ2,ζ3,…に対するx1,x2,x3,…のうち,xi=±∞をとるとき,SCの変換式(1)
の右辺(z-xi)^(αi / π)-1の項は除く」です。
では,なぜ最後の項を除いてもいいかを証明しましょう。ここで,SCの変換式(1)の対数を取ると,式(2)のようになります。
そこで,式(2)の両辺をzについて微分すると,式(3)のようになります。
式(3)の結果から,右辺の最終項にxi=±∞の極限を考えると,式(4)のようになります。
式(4)の結果から,式(2)の最終項に代入すると,式(5)のような結果が得られます。
式(5)の結果から,式(5)を積分すると,(z-xi)^(αi / π)-1の値は定数(= const.)と見なせるため,SCの変換式からが除くのが良いことになります。
(3)まとめ
以上です。最後まで閲覧頂きありがとうございました。
次回は,「シュワルツ・クリストフェルの定理(その3)」について,解説する予定です。