流体力学 渦の層と渦列
皆様おはこんばんちは。
最近,流体力学を再度学び直してみようと思い,記事にしています。
第42回目は,「渦の層と渦列」について紹介していきます。
(1)渦の層について
では,「渦の層」について,解説していきます。前回の記事で,別の渦や流れがある場合に,渦が「動かされる」ことを説明させていただきました。詳しくは,以前の記事を確認してみて下さい。
今回取り扱うのは,渦が一直線上にいくつも存在する状況です。これを渦の層と呼ぶことにして,図1のような状態を示します。
図1 渦の層のモデル
図1に示すように,渦が一直線上に存在する状況を整えるには,「流れの中に速度の不連続な面」を考える必要があります。そこで,図1の枠に示すように,面に沿った長さds,幅dh(ds>>dh)で囲まれた長方形の周辺に沿う循環dΓを考えると,式(1)のように表せます。
ここで,不連続面の単位長さ当たりの循環を「渦の層の強さγ」とおくと,式(2)のように表せます。
つまり,式(2)の結果から渦の層は,速度の異なる2つの流れが合流する所や流れと静止流体の境にできるものとなります。そこで,流れが不安定になり,やがて破壊されて渦が一直線上に並んだような渦列ができるという流れです。従って,速度u1,u2(u1>u2)のような速度差が存在しないと「渦」自体が存在しえないことになるためです。
(2)渦列について
それでは,渦列について解説していきます。まず,渦列とは,強さΓが等しく(=速度差が一定となる,もしくはゼロになる),回転方向が同じであるとき,無数の渦が間隔aを保って1列に並んでいる渦を示します。渦列のイメージは,図2のように表せます。
図2 渦列のモデル
ここで,渦列の性質を見るためには,過去の記事でも当たり前のようにやっている渦の「速度」がキーワードとなります。そのためには,複素ポテンシャルから求めていきます。では,渦列の複素ポテンシャルwは式(3)のように表せます。
式(3)は,対数関数と三角関数が複合した関数となり,よくわからなくなりそうです。では,次項で式(3)のどのようにして成り立つのかを証明していきます。
(3)渦列の複素ポテンシャル(証明編)
では,渦列の複素ポテンシャルを証明していきましょう。まず,図2に示すような,渦列のモデルを意識しておきましょう。仮定として,渦が(2n+1)個(言い換えると,奇数個)あるとして中央の渦に原点を取ります。そのときの複素ポテンシャルを求めると,式(4)のように表せます。
ここで,式(4)を対数関数の性質を上手く利用して,式(5)へ式変形を行います。
式(5)に対して,三角関数の無限乗積を使います。今回利用するsinの無限乗積を式(6)に示します。
式(6)を式(5)へ代入すると,式(3)と同様の式となり,渦列の複素ポテンシャルを証明出来ました。
(4)まとめ
今回の記事のまとめを以下に示します。
(1)流れの中に速度の不連続な面を渦の層と呼び,2つの異なる速度を持つ流れが合流した後に不安定,破壊して渦列が生成される。
(2)渦列の複素ポテンシャルは,強さΓが等しく,回転方向が同じであることを仮定する。
(3)渦列の複素ポテンシャルの証明には,三角関数の無限乗積が必要となる。
以上です。最後まで閲覧頂きありがとうございました。
次回は,「カルマン渦列」について,解説する予定です。
※「三角関数の無限乗積」については,いつか記事にする予定です。