流体力学 一様流れと2重わき出しのグラフ
皆様おはこんばんちは。そして,お疲れ様です。
最近,流体力学を再度学び直してみようと思い,記事にしています。
第24回目は,第23回目で予告した通り,「一様流れと2重わき出しのグラフ」について紹介していきます。久々にグラフ化にここまで苦労するとは…。
(1)円柱回りの流れの復習
では,以前の記事で「一様流れと2重わき出しの合成」を行うと,そこで得られる2次元流れは,「円柱回りの流れ」でした。その概略図を図1に示します。
図1 一様流れと2重わき出しの合成の概略図
今回は,予告通りグラフを描画していきます。今回も注目するのは,流れ関数となります。そして,「一様流れと2重わき出しの合成」や「円柱回りの流れ」が分からない方は以前の記事を確認してみて下さい。
(2)円柱回りの流れのグラフ化
(2―1)事前準備
それでは,グラフ化していく前に一様流れと2重わき出しの合成の流れ関数を確認いきましょう。一様流れと2重わき出しの合成の流れ関数は式(1)のように表せます。
また,グラフ化するに当たって仮定を設定する必要があります。以下に仮定を示します。
【仮定】2重わき出しの強さm=15[cm^2/s],一様流れの速度U=2[cm/s]
それでは,早速,上記の仮定を使ってグラフ化していましょう。
(2―2)一様流れのグラフ化
式(1)に注目すると,右辺の第1項が一様流れを示していることが分かります。よって,式(2)を使えば,一様流れのグラフ化が可能になります。
式(2)を使えば,表2-1のように表せます。なお,本グラフ化に際して,流れ関数ψは任意の値を設定できるため,ψ=-5~5(1刻み)で計算をしています。
表2-1 一様流れの計算結果
よって,この計算結果を基にグラフを描画すると,図2-1のように表せます。但し,今後の計算をするうえで便宜上,ψ=-8~8(1刻み)までを描画しています。
図2-2 一様流れ
それでは,一様流れの次に2重わき出しのグラフを描画していきましょう。
(2―3)2重わき出しのグラフ化
一様流れの同様に,式(1)に注目すると,右辺の第2項が2重わき出しを示していることが分かります。よって,式(3)を使えば,2重わき出しのグラフ化が可能になります。
同様に式(3)を使えば,表2-2のように表せます。なお,本グラフ化に際して,流れ関数ψは任意の値を設定できるため,ψ=-5~5(1刻み)で計算をしています。表2-2から分かるようにψ=0(ゼロ)の場合は計算不能になるため,今後の計算およびグラフの描画からは省略します。
また,2重わき出しの描画するときは「円」となります。したがって,xとyの値は極座標変換をしたうえで,表2-3のように極座標変化した計算を行って,グラフ描画します。
表2-2 2重わき出しの計算結果
表2-3 2重わき出しの極座標変換
よって,この計算結果を基にグラフを描画すると,図2-2のように表せます。
図2-2(a) 2重わき出し(一様流れの描画あり)
図2-2(b) 2重わき出し(一様流れの描画なし)
但し,2重わき出しのグラフを描画するときには注意があります。その注意点は以前の記事で開設してますので,以下の記事を確認してみて下さい。
それでは,次に円柱をグラフ化してみましょう。
(2―4)円柱のグラフ化
次は,流線ψ=0の場合に式(1)に注目すると,式(4)のようになり,円柱のグラフ化が可能になります。
式(4)を使えば,表2-4のように表せます。なお,流れ関数ψの値は参考であり,式(4)の結果とは関係ありません。但し,2重わき出しと同様に円の描画となるため,表2-5のように極座標に変換する必要があります。
表2-4 円柱の計算結果
表2-5 円柱の極座標変換
よって,この計算結果を基にグラフを描画するのは,次項の一様流れと2重わき出しの合成で表します。それでは,次に一様流れと2重わき出しの交点をグラフ化してみましょう。
(2-5)一様流れと2重わき出しの交点
前項でグラフ化した一様流れと2重わき出しの合成をグラフにしていきます。図2-2(a)に示すように「一様流れと2重わき出しの交点」を繋いでいけばいいのです。これは,「重ね合わせの原理」が使えることが前提条件です。
そして,一様流れと2重わき出しの合成となるため,2重わき出しや円柱で描くときに必要な極座標が必須となります。そのため,xとyの値をそれぞれ任意に設定する必要があります。そこでまずは,xの値を求めるために一様流れと2重わき出しの流れ関数の式から式(5)のように式変形します。
ここで,半径r0と一様流れの速度Uは既に分かっています。また,流線ψ(=ψ1+ψ2)は一様流れと2重わき出しの重ね合わせの原理で求めた値を代入します。今回は,ψ=-5~5(1刻み)で計算をしていきます。よって,「任意に値を設定できるにもかかわらず,不明な値はyのみ」となります。
ポイントなるのは,yの値を設定するには「xの値がどうなっていれば都合がいいか」です。xの値がどうなっていれば考えると,一番都合がいいのは「x=0のとき」です。よって,一様流れと2重わき出しの流れ関数の式(1)にx=0を代入すると,式(6)のように表せます。
式(6)を利用して,一様流れと2重わき出しの流線ψ=-5~5(1刻みかつψ=0は除く)で計算した結果を表2-6に示します。
表2-6 ψ=-5~5(1刻みかつψ=0は除く)を代入した式(6)の計算結果
これより,xの値は式(5)によって算出でき,yの値は表2-6で得られた計算結果から上限値と下限値が分かっているので,それらの値を0.01刻みに設定します。今回描画するのは,一様流れと2重わき出しの流線ψ=-5~5(1刻みかつψ=0は除く)とします。そのときの計算結果を表2-7にそれぞれ示します。
表2-7(a) 一様流れと2重わき出しのxおよびyの計算結果(ψ=1,5の場合)
表2-7(b) 一様流れと2重わき出しのxおよびyの計算結果(ψ=-1,-5の場合)
したがって,表2-7によって得られた計算結果を描画したものを図2-3に示します。
図2-3(a) 一様流れと2重わき出しの合成(一様流れと2重わき出しを含む)
図2-3(b) 一様流れと2重わき出しの合成(一様流れと2重わき出しを含まない)
以上のように,一様流れと2重わき出し,いわゆる「円柱回りの流れのグラフ」が描画できました。
(3)まとめ
今回の記事のまとめを以下に示します。
(1)円柱回りの流れは,2重わき出しの強さmと一様流れの速度Uがわかると描画できる。
(2)流線ψ=0の場合,円柱が描ける。
(3)一様流れと2重わき出しの交点を描くには,yの値を設定するに「xの値がどうなっていれば都合がいいか」を考慮する必要がある。
以上です。最後まで閲覧頂きありがとうございました。
※次回は,鏡像(きょうぞう)について扱う予定です。