キングオブモンスは身近な怪獣

ウルトラマンアークを、リアタイで追いかけて。
なんとなく見ていたのに、なにこれ面白いぞ!?と思って姿勢を正したのが、21話『夢咲き鳥』だった。キングオブモンスと赤い玉の回だ。
援軍ギヴァス登場が楽しかったり(月が出ていなかったけど!)巨大戦の長ーいカメラワークが好みだったり、色々あった。
だけど1番は、芝アオイのモヤモヤとした絶望、そしてそれを代弁する破壊神、キングオブモンスの存在だ。

どうやら、キングオブモンスはガイアさんの映画が始まりらしい。ガイアさんあまり知らんけど見るぞ!で見ました。
スッゲー面白かった。
ウルトラマンの映画で、ここまでウルトラマンが舞台装置なことある?怪獣とウルトラマンが好きな人のための映画だった。怪獣とウルトラマンを魅力的に見せるだけでなく、怪獣とウルトラマンが好きな人を救う映画だったんだ。もちろんウルトラマンも主役でした。ごめん、興奮しすぎた。

小学校高学年でウルトラシリーズが好き、それも怪獣が好き、取り巻きにさえ隠すほど言いにくい空気だったんだろう。きっと時代もあるよね。
小学生なんて家庭と学校が世界の全てだ。片方で自分を隠すだけでも辛い。鹿島田くんの親御さんがどんな人なのかは知らないけれど、なんとなく察してる。

キングオブモンスは人の絶望が呼ぶ。
だけどその絶望は、とても大きく、フィクションじみたキャッチーな不幸じゃない。殺人事件に遭いましたとか、そういうのじゃない。
趣味を隠さなきゃいけない、仕事が楽しくない、夢に近づけない、そんなやんわりとした、身近な、心の底を流れるモヤモヤした気持ち。
その程度の負の感情は、誰もが持ってる。だからこそ、その程度の感情で生まれる破壊神は、壮大で偉大なのに身近に見える。わたしたちみんなの神様なんだ、キングオブモンスは。

だけど、キングオブモンスは良いものじゃない。
どんなに絶望や不満があっても、世界が滅びて良いわけないので。
こんなゴミみたいな世の中でも価値がある、そう気づいた時に、それを形にして守ってくれるのが、ウルトラヒーローなのである。良すぎ。
身近な絶望を打ち砕くのは、身近な光なんだ……

いま、わたしの手元には、キングオブモンスのソフビがある。
とても美しい。祭壇(本来の意味)を作って飾りたいぐらいだ。
いつかフィギュアーツのも欲しいなあ……
え、17000円?人生頑張ります。

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