ルール別の先制立直の和了率
1 「このデータは東風荘のクイタンなしだから云々」という主張
今日は少し変わったネタを。
鳳凰卓の牌譜解析をやっていると
「鳳凰卓ではそうかもしれないが、他の場所ではそのデータは一致しないだろう」
という意見が飛んでくることがある。
そういえば、『科学する麻雀』においても、
「元となるデータはクイタンなしだから云々」
という意見があったらしい。
(詳細は次のURL参照)
ちなみに、私は約10年前、第二東風荘超ランのクイタンありの牌譜をかきあつめ、
凸の局収支モデルはクイタンありでも成立する
ことを示した。
だから、「クイタンなしによって作られている凸局収支シミュレーション結果は他所では信用できない」という主張については、「そんなことはない」と言える。
これについてはチャンスがあれば、この件についても説明し、
「シミュレーションは現実を反映しているのか、そう言えるのは何故か」
という実例として示そうと思う。
2 実際のところ他所ではデータがどうなるのか
では、実際のところ、天鳳で得られた数値は他所でもそうなるのか?
これについて、身もふたもないことを言うと、
「東風荘・鳳凰卓で得られたデータがどうなるかが他の場所だとどうなるかについては分からない。大量の牌譜が得られない状況では推測することしかできない」
となる。
推測はできる。
でも、「推測を裏付けるデータ」はない。
よって、我々ができることは、その他の事情を考慮し、
合理的な推測をすること
だけである。
そして、その推測が合理的か否かは、合理性を根拠づける事実から判断するしかない。
3 東風荘と天鳳による先制リャンメン立直の和了率の差
以上は一般論だが、具体例を示す。
牌譜がある東風荘・鳳凰卓・特上卓については先制立直の和了率がどうなるのか牌譜があるため調べることができる。
具体的にはこんな感じである。
上のグラフを見ればわかるが、
先制リャンメン立直や先制愚形待ち立直の和了率に関してみると、天鳳鳳凰卓(特上卓)や東風荘超ランの和了率は数%の誤差の範囲で似通う。
と言える。
局収支に換算すると、
8000×0.05=400点
といったところか。
4 天鳳と東風荘の牌譜解析結果から推測できること
この牌譜解析結果から言えることは、東風荘と天鳳だけの話である。
だが、このデータを用いて色々と推測することはできる。
牌譜の出どころという補助事実、先制立直であるという補助事実を用いて推測し、この話を一般化してみよう。
天鳳の牌譜は赤アリ、東風荘の超ランは赤ナシ(クイタンなし・クイタンあり混合データ)で、ルールが違う。
天鳳の牌譜は2005年以降で東風荘は2005年以前で時代も違う。
また、先制立直に対してはベタオリすることが多く、先制立直に返して押し返す頻度はルールによってあまり動かない。
以上の前提で先制リャンメン立直の和了率は数%の誤差で整合した。
そう考えれば、
ルールによって先制立直における確率は数%の誤差に収まる(それほど大きくない)
と推測できる。
これが、ルールによって和了率の影響に関する私の意見(推測)である。
そして、この推測自体はあながち不合理ではないと考えている。
5 他の状況では
以上は推測である。
実際にデータを取ってみたら異なる結果が出てくる、などと言ったことは生じるかもしれない。
しかし、先制立直における数値については前述の推測のとおりである。
また、追いかけ立直においては、他家の挙動が固定されやすいことを考えるとその数値はルールに依らずに似通うのではないかと考えている。
というのも、大概先制立直を受ければベタオリしやすいし、2家立直になればなおさらベタオリしやすいし、立直をしている人間は挙動はルールによらず一定であるからである。
このように、先制攻撃をかける時点、反撃する時点の数値が似通うのであれば、先制立直・追いかけ立直に関する戦術論もある程度一致するだろう。
それが、現時点での私の結論である。
なお、私は今度出される秋刀魚本のあとがきにおいて、
「秋刀魚において天鳳から得られる数値は他のルール(抜きドラ・ツモ損の有無)によって影響を受けるのか」
について次のように書いた。
四麻でもこの考えは基本的に成り立つので参考にしていただきたい。
(以下、秋刀魚本の原稿より本原稿に対応して修正)
まず、立直者に対する牌の危険度については、門前の手組、立直時のリャンメン以上割合がルールによっては大きく依存しないことから、牌の危険度が大きく変わることはないかなと考えています。
また、本書で述べてない東天紅でも大差ないかな、という感覚でいます。
ただし、本書で述べてないリャンハン縛りだとどうなるか分からないというところです。
次に、押し引きの数値について個別に見ていきます。
まず、2家立直に対してベタオリした場合の諸数値はルールによる差が極めて小さいと言えます。
なぜなら、自分を除く2家は立直しており、どのルールであろうが振舞い方に大差ないからです。
また、2家立直に対して追いかけ立直をかけた場合の諸数値も2家の挙動が立直で固定されている以上、ルールによって和了率などは変わらないと言えます。
さらに、1家立直に対して追いかけ立直をかける場合も和了率などはそれほど変わらないと言えます。
なぜなら、2家立直という状況では立直をしていない第三者はどのルールであれベタオリする蓋然性が高く、ルールによる差が小さいと考えられるからです。
また、立直者の挙動が固定されている点は前述のとおりです。
では、1家立直に対するベタオリ時の和了率などはどうでしょうか。
ルールによって対立直の押し引きの分岐点がずれる関係で、立直をしていない他家の挙動はルールによって差が生じ、多少数値がずれると言えます。
もっとも、基本的に立直で後手を踏んだら前に出づらいことを考慮すると、数値は劇的に変わることはないと考えています。
また、立直者の挙動が固定されているのは前述のとおりです。
最後に、先制立直時の和了率などについてはどうでしょうか。
先制攻撃を仕掛けられた場合の挙動はルールにより多少変動すること、1家立直に対するベタオリの場合は立直していない他家は1家しかいないのに対して、先制立直を仕掛けた場合の立直していない他家は2家いることを想定すると、数値のずれは押し引きの場合よりも大きくなることが考えられます。
ただ、「後手を踏んだら前に出づらい」ということを考慮すると、これも大きくずれることはないと考えています。この辺は、四麻の東風荘及び天鳳特上卓・天鳳鳳凰卓の先制立直の和了率などのデータを比較した際の結果を類推している点が少なくありません。
(引用終了)
それでは。
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