私の目標だった本
私の著書として次の2冊がある。
『「統計学」のマージャン戦術』と『データで勝つ三人麻雀』。
この2冊が私の代表作と言われている。
ところで、私が好きな将棋の本の一つに次の本がある。
『新版 角換わり腰掛け銀研究』という本である。
著者は将棋のプロである島朗先生。
この本は「角換わり腰掛け銀」という戦法についての研究書である。
この点について、本書の「まえがき」には次のように書いてある。
(以下、『新版 角換わり腰掛け銀研究』より引用、強調は私の手による)
さてこの本の使い方だが、ただでさえアマの皆さんに人気のない(と思われる)腰掛け銀という戦法の上に、かなり専門的に書いてある部分がきわめて多い。であるから、これまで棋士がどのような試行錯誤をして、どのように最新形までたどり着いたのかを読み取っていただくのが無理がないと思う。
(中略)
ただ、一つ自信があるとすれば、率直に変化を記したという点くらいで、定跡書ではなく研究書と思ってくださればありがたいと思う。
(引用終了)
この本が好きな理由は、角換わり腰掛け銀の研究の軌跡が、戦法の変遷の歴史がよくわかるからである。
この本には将棋のプロの先生方の角換わり腰掛け銀を研究した成果が詰まっている。
具体的には、(角換わり腰掛け銀の)木村定跡に始まり、(当時の)現代角換わり腰掛け銀(先手の飛車先保留)に移り、同型の研究について書かれ、その後、周辺の研究について触れられている。
また、「新版」ということで平成10年の名人戦(当時佐藤八段と谷川名人)で指された角換わり腰掛け銀の研究についても触れられている。
角換わり腰掛け銀の歴史を知りたいのであれば、この本は必須である。
さて、2014年に私が麻雀研究を始めた際、「いずれ数理的麻雀研究の成果をまとめたい」と思っていた。
その際に、念頭にあったのが『新版 角換わり腰掛け銀研究』である。
この本のような文章を書きたい、そう思って麻雀研究をしていた。
その後、運のみにより、みーにんという存在が福地誠という先生の目に留まり、私は麻雀の本に関する仕事を行うようになる。
その結果、『統計で勝つ麻雀』という本を出版し、『「統計学」のマージャン戦術』を出版することになる。
さらに、去年、『知るだけで強くなる麻雀の2択』と『データで勝つ三人麻雀』を出版する。
その際に意識にあったのが『新版 角換わり腰掛け銀研究』である。
この本を目標に原稿を書いた。
特に、『データで勝つ三人麻雀』に関しては。
だが、書いてみれば、『新版 角換わり腰掛け銀』の足元にも及ばない。
難しいものである。
まあ、私も「一つ自信があるとすれば、率直にデータ、及び、データと戦術の関連性を記したという点くらいで、戦術書ではなく研究書と思ってくださればありがたいと思う。」と書いておくが。
最近、将棋を指すことで昔のことを思い出すようになった。
よって、記録にとどめておく。
では、今回はこの辺で。
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