牌譜ダウンロードプログラムの公開
1 はじめに
先日、麻雀AI研究者として将来が非常に有望なtomohxxさんが次のツイートをした。
これに対して、私は次のリプを飛ばした。
それに対するtomohxxさんの返信がこちら。
それに対する、私の返答がこちら(事務的な返答は除く)。
この点、2014年当時に牌譜のダウンロードの方法を示した文章は現在私のNOTE(URLは次の通り)で公開されている。
もっとも、2020年8月現在において、私のNOTEに記載した通りにプログラムを組んでも牌譜のダウンロードはできなくなっているが。
この点、「(天鳳の)牌譜ダウンロードプログラムを公開していいか」という点については、天鳳のつの(角田真吾氏、以下、「つの神様」と言う。)に問い合わせた方がいいのではないかと思われる。
その方がはっきりするから。
もちろん、自分の意図しない方向にはっきりとした結果が出るのは困る、というのはあるとしても。
もっとも、上の質問は私に対するものである。
そこで、ここでは過去の経過と私の意見(私見の域を超えない)を述べようと思う。
2 私にまつわる事実関係
私が牌譜をダウンロードし始めたころ、具体的には2014年のころ、天鳳鳳凰卓の牌譜のダウンロードについては黙認状態であった。
天鳳のサイトに鳳凰卓の牌譜のダウンロードに関する記載はなし。
その関係で、天鳳の鳳凰卓の牌譜をダウンロードし、圧縮ファイルを公開している人もいた。
具体的には、enecreさんという人がそうだし、麻雀プロの近藤先生もダウンロードした牌譜を公開されていた。
2013年頃、本格的に天鳳の鳳凰卓の牌譜解析を行うことになり、そのためにも自力で鳳凰卓の牌譜を取得したくなった私は、enecreさんに教えを乞うて、牌譜をダウンロードできるようにした。
そして、その解析結果を公開するようになった。
2014年にアメーバでブログ「現代麻雀理論」を開設していたころであろうか。
「牌譜をいただけないでしょうか?」
「牌譜のダウンロードの方法を教えてくれ」
という趣旨の質問が来た。
そこで、私が書いた文章が「牌譜のダウンロード」という文章である。
この点、牌譜を直接渡そう、ダウンロードできるようにしようとは思わなかったのか。
当時、グーグルドライブが利用可能だったため、グーグルドライブにダウンロードしたファイルの圧縮ファイルでも置けば、公開が可能であった。
だから、公開しようと思えば別にできたわけである。
しかし、だからといって、enecreさんや近藤先生のように牌譜を公開したわけではない。
理由は特に覚えていない。
ただ、覚えていないということは「強固な意志に基づくものではない」ことは推測されるので、「アップロードがめんどくさい」・「URLを張り付けた文章を書くのはめんどくさい」というレベルのものだったのかもしれないが。
次に、牌譜のダウンロードプログラムを公開する意欲は全くなかった。
この理由は単純で、自分のダウンロードプログラムの出来に自信がなかったため。
そこで、選んだ道が「メモの公開」であった。
ただ、このメモを公開したがために悪用されて、天鳳の牌譜の公開が止まっても困る。
そこで、私は上のURLで次の一文を付け加えた。
「ダウンロードと牌譜解析については研究者倫理・天鳳のルールに反しない範囲で行い、角田氏をして天鳳の牌譜の公開をやめさせる等のことがないようにすること。」
その後、天鳳の鳳凰卓の牌譜のダウンロード者が増えたのだろうか。
天鳳のつの神様は牌譜の利用に制限をかけた。
具体的には、次のとおりである。
(以下は次のURLより引用)
(以下、上記URLより引用)
※天鳳と競合する製品への開発・応用を目的として牌譜を使用していただくことはできません。
(引用終了)
いきさつについては次のブログで説明されている。
時代が変わったということなのだろう。
3 私の私見
現段階で私がちゃんとした牌譜ダウンロードプログラムを持っていたとして、自発的に、また、他人のリクエストを受けて公開するか、とすると「しない」ように思う。
また、今回のように「した方がいいか」と問われたら、「『どちらかと言えば』しない方がいいのではないか(つの神様に相談した方がいいのではないか)」と思う。
なお、「どちらかと言えば」という留保が付いていることは大事である。
私自身も「条件が変われば(例えば、つの神様が同意すれば)公開してもよい」などと思っているので)。
確かに、天鳳の牌譜のダウンロードはそれなりに大変である。
これが麻雀研究の参入障壁を高めていることは間違いない。
にもかかわらず、私がこの点に消極的に思うのは次の2点からである。
第一に、公開することに本人にメリットがないこと。
以前、次のNOTEに書いたが、私は牌譜解析プログラムその他については不特定多数に公開しないことに決めている。
理由は、麻雀研究の成果(データ・プログラム)を公開してきた人がいかに報われないかということを自分の経験や他人の出来事を通じて実感しているからである。
個別具体的な話はここでは触れない。
また、その原因が利用者側のみにあるとは思わない。
ただ、公開してしまうと「公開した人間に対して感謝されることなく、タダ乗りされる」ということになる可能性は小さくない。
そのため、「私はこのプログラムの公開によってどんなゲインが得られるのか」ということを考えるか、「ただ乗りされたとしても私は後悔しない」という覚悟を決めるかのいずれかをしてから公開した方が良いように思う。
つまり、なんとなく公開するのはやめた方が良いように思う。
第二の理由は、つの神様がそれを望んでいないような気がするからである。
この点、天鳳ブログの記事には次の記載がある。
(以下、天鳳ブログより引用、強調は筆者の手による)
天鳳としては牌譜を、AIの学習教材として公開してきたわけではないのですが、学術的な研究目的で天鳳を使用していただくのはメリットの方が大きいので特に禁止はしてきませんでした。
(引用終了)
私が強調したいのは、「特に禁止しない」という文言である。
この文言は積極的な拡散を望む場合には出てこない文言である。
そして、研究者は天鳳の鳳凰卓の牌譜を利用させてもらっている立場にある。
とすれば、天鳳(つの神様)の意向には配慮した方が良い。
その辺を考慮すれば、「やめておいた方がいいのかなあ」と思う次第である。
もちろん、この意見は私見の域を超えない。
また、私の意見は「条件付き」であるので、「絶対反対」などと叫ぶつもりもない。
ただ、悩んでいる方がいれば参考にしていただければと思う。
では、今回はこの辺で。
もし気が向いたら、サポートしていただければありがたいです。 なお、サポートしていただいた分は、麻雀研究費用に充てさせていただきます。