ソラを見上げて #44 プレゼント
(2025年9月13日)
―SME六番町ビル・乃木坂46 衣装保管室―
(衣装室に荷物を運び終わって一息ついている桃子達)
桃:思ったより早く着いちゃったね
〇:遅刻するよりいいじゃないですか。
桃:まぁね~。
社員:これから長いですし、お水買ってきますね。
桃:ありがとう。
社員:○○君も飲むでしょ?
〇:はい。あ、だったら僕行きますよ。
社員:あら、そう? じゃあお言葉に甘えちゃおうかしら。
〇:ていうか、お二人とも水でいいんですか?
桃:うん。衣装や生地に触れる仕事の時はね。何かあったら困るから。
〇:そっか。じゃあ僕もお水にします! いやぁ、勉強になるなぁ……
(独り言を呟きながら、衣装室から出ていく○○)
桃&社員:真面目だね~。
―SME六番町ビル・28階 リフレッシュコーナー-
〇:富士山とイロハスかぁ。ま、どっちでもいいか……ん?
(フロアの向こう側から賑やかな声が聞こえてくる)
珠:まだイケるな、可愛いぞ梅。
梅:こんな高めのツインテールした26歳がどこにいるのよ!
吉:わたしぜんぜんできるよ?
梅:吉田は顔が可愛いからいいの! 私はムリ!
美:いいじゃん、これで卒コン出なよ。ぎゃはは!
理:えー、一緒にツインテールしようよ梅~。
梅:もう外していい? 恥ずかしくて死にそうなんだけど!
(ツインテールを解除しようとする梅澤。と、目が合う○○)
〇:おぉ三代目。もうフィッティングの準備は……って何だその髪型。
梅:……
珠:んぉ? 梅の知り合いか?
〇:あっはっは! おいおい、まさかその髪型でコンサート出る気じゃ
【バッチーン!】
美:えぇぇ!?
蓮:いきなりビンタ!?
〇:あ……がは、
(勢いよく吹っ飛び、床に倒れる○○)
葉:ちょ……だ、大丈夫ですか?
美:ちょっと梅、なにやってんの!?
梅:ハッ! 私としたことが……
(30分後…)
―SME六番町ビル・乃木坂46 衣装保管室―
(乃木坂46結成から最新シングルまでに使用された衣装がずらりと並び、卒業したメンバーの名前が入った衣装も大事に保管されている。乃木坂46の歴史を感じさせる荘厳華麗なこの空間に、重苦しい空気が立ち込めていた…)
桃:この度は弊社の研修生が大変失礼な事を言ったそうで、申し訳ございません。
美:とんでもございません。御社の研修生さんを出会い頭に思いっきりビンタするなんて……社会人としてあるまじき行為です。謝るなら弊社の方でございます。本当に申し訳ございません。
梅:……
〇:……
(冷えたペットボトルを腫れた頬に当てている○○)
桃:……ぷっ
美:……ぶふ。
桃&美:あはははは!
〇:笑い事じゃないですよ、大園社長。
梅:何でこんな事になるのよ。
(爆笑する桃子と美月をよそに、不満げな表情の○○と梅澤)
美:桃子の所の研修生君を思いっきりビンタしておいて何言ってんのよ。
梅:思いっきりなんてしてないし。軽く、ちょっと、叩いただけだし……
蓮:あれが軽く?
珠:大谷翔平ばりのフルスイングだったが?
桃:キミも。女の子のヘアスタイルを笑ったのは良くなかったね。
〇:……すみません。
桃:謝るのは私じゃないでしょ?
美:そうだよ梅。ちゃんと謝らなきゃ。
梅:……
〇:……
梅&〇:やだ!
美&桃:えぇぇ……
梅:なんで私が謝らなきゃいけないのよ。
〇:それはコッチのセリフです。どうして殴られた方が謝らなきゃいけないんですか。
梅:真似しないで。
〇:真似じゃありません。正当な主張です。
蓮:(小声)梅、謝った方がいいって。
珠:(小声)ライダーキック食らった怪人みたいに吹っ飛んでたぞ。
梅:そもそも殴ってないし。ちょっと触っただけだし。勝手に吹っ飛んだだけでしょ。
〇:あれが触っただけと言うなら、アイドルやめて格闘家にでもなったらどうです? リングネームは”ジャイアント梅澤”とかどうですか?
梅:く……
与:(小声)よく分かんないけど、なんか面白いことになってるね。
葉:(小声)“ジャイアント梅澤”はちょっと見たいかも……
与:(小声)身長3メートル~とか?
葉:(小声)ぶはは、ウケる。
梅:与田! 葉月!
与&葉:なんでもありませーん
美:○○さん、今回の事は本当にごめんなさい。この子、気になる男の子の前だと素直になれないのよ。許してあげてくれないかな?
〇:え? あ……はい。
梅:(小声)ちょっと、なに勝手なこと言ってるのよ。
美:(小声)アンタも少しは大人になりなさい!
桃:キミも、梅のツインテール姿が可愛くて、照れ隠しで意地悪しちゃったんだよね?
〇:(小声)ちょ、いきなり何を言い出すんですか?
桃:(小声)いいから話合わせて。いつまでたってもフィッティング始められないでしょ?
梅:……
〇:いきなりアイドル姿で現れたから驚いたってのは、確かだけど……
梅:ふーん。
〇:今までそういう姿を間近で見たこと無かったし……
梅:じゃ、そういう事にしといたげる。
桃:はい。では早速フィッティングに入りましょう。さ、準備準備♪
(両手でポン、と手を叩き衣装の準備を始める桃子と社員)
(10分後…)
〇:改めて自己紹介させていただきます。hio株式会社の○○と申します。梅澤美波さんから衣装制作の依頼を受け、フィッティングに参りました。本日はよろしくお願いいたします。
『よろしくお願いします』
(挨拶する○○に続き、3期生全員がお辞儀をする)
〇:では衣装についてご説明させていただきます。全て説明すると長くなりますので、詳細については後ほどお渡しする資料でご確認ください。
(プロジェクターの電源を入れ、資料を映し出す桃子)
美:おぉ、すご。
吉:すごーい。会社のプレゼンみたーい。
葉:ねぇ、私の衣装にくっついてるの何だろ?
楓:どこ?
葉:ここ。何か付いてるよね?
〇:それはカエルです。
葉:えぇ!? カエルちゃん?
〇:えぇ。ライオンとカエルで迷いましたが、最終的にカエルにしました。
葉:じゃあこの二匹のカエルって……
〇:コメたんとパン太(※)です。
葉:ホントに!? やったぁ! ありがとうございます!
〇:こちらこそ。喜んでいただけて光栄です。
(満面の笑みで喜んでいる葉月)
美:ねぇ、フィッティングの時にプロジェクター持ち込んでプレゼンするデザイナーなんて今までいなかったよね?
梅:そう?
美:彼とはいつどこで出会ったの? 馴れ初めは?
梅:馴れ初めってなによ。結婚式じゃないんだから。
美:仕事の現場? それとも桃子の紹介?
梅:はいはい。デザイナーさんのお話聞きましょうね。
美:ちぇっ。
〇:伊藤理々杏さんの衣装は出身地の沖縄をテーマにしました。沖縄に古くから伝わる伝統衣装“琉装”によく使われる赤と黄色のラインを衣装の前面に入れています。
理:おー。
〇:それとスカートには“琉装”の模様を施しています。ターンした時に柄の全体が見える様になっています。
吉:理々杏の可愛いね。
理:ね。早くフィッティングしたいなぁ……
(30分後、フィッティング開始…)
〇:すいません、安全ピンお願いします!
社員:はーい。
〇:大園社長。吉田さんの肩部分少し緩かったので詰めます。伊藤さんはライトが当たった時に赤と黄色のラインが白飛びするので、素材を変更しましょう。
桃:はいはーい。
(慣れた手つきでパソコンを打ち込む桃子)
美:あれで専門学校一年生?
梅:うん。
美:頑張るわねぇ。お姉さん、応援したくなっちゃう♪
〇:……?
(美月にウインクされ、会釈で返す○○)
美:マジメな所もス・テ・キ。んふ♪
梅:ただの洋服馬鹿よ。
美:ヤキモチ?
梅:なんでそうなるのよ。
〇:山下さん、何か気になる所はありませんか?
美:大丈夫よ。着心地も良いし。
〇:本当に大丈夫ですか? 動いてみてキツイ部分とかあったりしませんか?
美:そうねぇ……強いて言えばぁ。
〇:はい。遠慮なく仰ってください。
美:最近おっきくなってきたのか、胸が少しキツイかなぁって……
〇:え?
(前かがみの体制で○○に近づく美月)
美:確認していただけませんか? 見てわからないのでしたら、実際に……
〇:あ、いや……それは、その。じゃあ、もう一回採寸を
梅:しなくて結構。
(肘で○○の脇腹を小突く梅澤)
〇:いでっ! なんで殴るんですか!?
梅:だらしなく鼻の下伸ばしてるからでしょ。
〇:キツイって言われたら直すのは当然でしょ!
美:ふふ。
梅:よく見なさい! どこがキツそうなの?
〇:見ただけでわかるワケないでしょ?
美:えー、じゃあ梅は?
〇:あ、それは問題無いと思います。
梅:きぃぃ! 歯ぁ食いしばれ! この
桃:もー! 二人とも喧嘩しないの!
美:ぎゃっはっは!
(一時間後…)
―SME六番町ビル・28階 リフレッシュコーナー―
〇:つ……かれたぁ。
(フィッティングを終え、ソファーにもたれ掛かる○○)
〇:あとは最終調整。それと大園社長の
梅:おつかれさま。
〇:ん? あぁ三代目か。
梅:ん。
〇:あ?
梅:ん!
(○○の目の前にペットボトルを差し出す梅澤)
〇:あ、俺に?
梅:他に誰がいんのよ。早く取って。
〇:さんきゅー
(○○の向かい側に座る梅澤)
梅:あれだけ大人数のフィッティングするの、初めてだったんじゃない?
〇:あぁ。お陰でもうクタクタだ。
梅:今日はぐっすり眠れそうね。
〇:いや、まだ大事な仕事が残ってる。事務所に戻ったらもうひと踏ん張りだ。
梅:そ。だけど、頑張りすぎて倒れたりしないでよ?
〇:心配してくれてんのか?
梅:倒れたら……納品遅れちゃうでしょ。
〇:はは、言うと思った。
梅:みんな喜んでた。こんなにこだわって作ってくれるんだって。
〇:そっか、良かった。
梅:あの時『まだ作ってない』って言われて、どうしようかと思ったわよ。
〇:悪かったよ。だけど、手に付かなかったのは本当だったんだ。三代目との打ち合わせがなかったら、今日のフィッティングは出来なかったと思う。
梅:そ。お役に立ててよかったわ。
〇:あぁ。
梅:作品名は?
〇:ん?
梅:作品名。考えてあるんでしょ?
〇:あー、まぁな。
梅:教えて。
〇:いま?
梅:私が着るのよ? 当日まで待たせるつもり?
〇:ま、それもそうだな。よっこらせっと……
(横になった体を起こし、梅澤へ向き直る○○)
〇:リテイクオフ。
梅:……どんな意味なの?
〇:回復と出発。
梅:回復と……出発。
〇:文字にすると、こうだ。
(○○は持っていたメモ帳に【retake-off】と書いて見せる)
梅:どうしてこの名前にしたの?
〇:3期生として乃木坂46に加入してから今に至るまで。グループを引っ張ってきた三代目がグループから卒業し、新しい世界へ飛び立つ姿をイメージした。
梅:今に至るって事は……
〇:うん。休養を発表したブログも、ライブ中に過呼吸になって倒れた時も、ネット配信でファンに告白した時も……全部。今野さんに頼んで見せてもらった。
梅:……
〇:マスターとおかみさんにも話を聞いた。出会った日の事とかな。
梅:そっか。
〇:……この衣装には、二つの意味があるんだ。
梅:え? 回復と出発じゃないの?
〇:あぁ。それは”回復と出発”で一括りだ。
梅:じゃあ、もうひとつは?
〇:もう一度、飛べ。
梅:飛べって……どこに?
〇:空に。
梅:!!?
〇:やるんだろ? 三年ぶりに。
梅:……
(黙って頷く梅澤)
〇:もう一度、青空を信じて歌えるように。
梅:……嬉しい。
〇:ちょっとは見直したか?
梅:こんなに素敵で嬉しい衣装、初めて。
〇:素直だな。さっきとは大違いだ。
梅:う、うるさいな///
〇:俺の仕事は、きっと三代目を笑顔にすることなんだ。
梅:ちょっと……よくそんな恥ずかしい事を平然と言えるわね。
〇:本当にそう思ってるからな。
梅:あっそ///
〇:クライアントに喜んでもらう仕事をする。デザイナーとしての俺の矜持だ。
梅:ふふ、ホント……仕事馬鹿なんだから。
〇:へへ、まぁな。その為に、もうひと頑張りしなきゃ。
梅:はいはい、頑張ってね。
〇:あぁ。
梅:あ、そうだ。これ渡そうと思って。
〇:ん? なんだ?
梅:チケット。コンサートの。
(○○に渡されたチケットには関係者席と書いてある)
〇:あぁ。
梅:席は決まってないから、空いてる席に座っていいわよ。
〇:……うん。
梅:なによ、来てくれないの?
〇:実は——
(約一ヵ月前…)
―○○のマンション・夕食後―
ソ:○○。
〇:ん?
ソ:話があるんだけど……いい?
〇:うん。どうしたの?
ソ:これ……
(○○に差し出された2枚のチケット)
〇:乃木坂46梅澤美波卒業コンサ……え、これどうしたの?
ソ:しゃもじのお姉さんが、○○と一緒に来てほしいって。
〇:もしかして、あの楽譜入れにこれが?
ソ:うん。
〇:どうしてソラに?
ソ:そんなこと言われても……
〇:チケット渡すなら僕に渡せばいいのに。
ソ:……
〇:他には?
ソ:……
〇:ソラ?
ソ:え?
〇:チケットの他に何か入ってなかった?
ソ:うん……チケットと、私宛ての手紙が入ってただけ。
〇:で、手紙に一緒に来てほしいって?
ソ:うん。
〇:そっか。
(再び現在…)
梅:ふーん。生田さんが直々に、しかも指定席で……
〇:あぁ。車を降りる時ににくれたんだ。
梅:そういえば、生田さんとキミはどういう関係なの?
〇:んぁ? あーえっと、それはだな……
桃:見つけたー! 急にいなくなるから心配したじゃない。
(遠くから桃子が小走りに向かってくる)
〇:すみません。ちょっと休憩したくて。
桃:梅はまだこれからリハーサルとかあるんだから、時間取らせちゃ駄目でしょ?
〇:そうですね。すみません梅澤さん、相談に乗ってもらっちゃって。
梅:え? あぁ、はい。いえいえ。
〇:今日はありがとうございました。衣装が出来たら連絡します。それじゃ。
桃:またねー梅!
梅:うん。あ、明日は遅れないでよ? 桃子が主役なんだからね。
桃:はーい!
(梅澤の視界から消える○○と桃子)
梅:格好つけちゃって、生意気なんだから。
美:誰が生意気だって?
梅:わぁぁ!
美:よ。
梅:ぃぃぃいつからいたのよ!?
美:今来たとこだけど?
梅:ならいいけど。
美:なぁに? 聞かれちゃイケナイ事でも話してたの~?
梅:別に。リハーサル行くわよ。
美:はーい。
(足早にその場を後にする梅澤)
美:……うっそぴょーん♪
―恵比寿ガーデンプレイス18階・hio株式会社―
(フィッティングを終え、事務所に戻ってきた桃子達)
桃:お疲れさま!
(○○の背中をポン、と叩いて労う桃子)
〇:はい。もうくったくたです。
桃:最終調整までもうひと踏ん張りだね。今日は早く帰って休むんだよ。
〇:そうですね。お言葉に甘えてそうさせていただきます。
(椅子から立ち上がり、荷物を取りに作業場へ行く○○)
社員:……
(5分後…)
〇:大園社長。
桃:はーい。それじゃ、気を付けて帰るんだよ……って、え?
〇:どうですか? これ。
桃:これって、今日フィッティングした衣装……だよね?
〇:はい。大園社長用に作りました。
桃:わたしに!? どうして?
〇:今年の誕生日プレゼントは、この衣装を渡す事が一番だと思って。
桃:え?
〇:三代目がこの衣装を着て披露するのは、空扉っていう曲なんです。
桃:空扉……
〇:衣装制作のためにMV見たんです。そしたら、大園社長がフロントポジションにいるじゃないですか。
桃:うん。そう……だけど。
〇:三代目の最後の晴れ舞台、そのラストステージ。有終の美を飾るには大園社長も傍にいてあげた方がいいんじゃないですか?
桃:だ、だからってキミと私で勝手に決められる話じゃないよ。
〇:いえ、これはクライアントの希望でもあるんです。
桃:クライアントって……梅が?
〇:はい。厳密に言えば希望だった。と、言った方が正しいのかもしれません。
桃:だった?
〇:打ち合わせの時に三代目が言ってたんです。大園社長は芸能界を引退してるし、アイドル活動で沢山心を痛めてきたから、自分のワガママで誘うことは出来ないって。
桃:え……?
〇:三代目は上辺で話す人じゃない。それは大園社長の方がよくご存じな筈です。 体裁を気にせず思った事をハッキリ言う。真っすぐな人です。
桃:……
〇:自分の事より大園社長を大切に思ってるから決して口にしなかった。だけど、あの時俺に言った言葉に嘘は無かった。そう思います。
桃:梅……
〇:デザイナーはクライアントの代弁者。クライアントが考えるイメージ・要求している事を実現するのが俺達の仕事、じゃないですか?
桃:……うん。
〇:僕らが形にするのは衣装だけじゃない。そう、思いました。
社員:彼、きっと良いデザイナーになるわね。
〇:それに……アイドルの大園社長、凄く可愛かったし魅力的でしたよ。
桃:ふえぇぇぇ!?
(顔が真っ赤になる桃子)
〇:乃木坂の動画とかライブ見てて、同期と一緒にいる時の大園社長は凄く楽しそうに笑ってるなって思ったんですよね。
桃:五年間ずっと一緒にいたからね。
〇:また一緒に何か出来たら楽しいと思いません?
桃:……うん。
〇:クライアントの依頼に最大限応えること。三代目のラストステージに華を添えること。そして、大園社長に喜んでもらえる誕生日プレゼント……それを叶えるのはこの衣装だと思いました。
桃:いつの間にプレゼンテーションの仕方まで覚えたの?
〇:プレゼンテーションをしてるつもりはないです。俺なりに考えてこれが一番だって思ったんで、そのまま伝えただけです。
桃:……
〇:社長。
桃:ふふ。へへへ。楽しそう。
(嬉しそうに衣装を隅々まで眺める桃子)
〇:それじゃ、今野さんに相談しておきますね。
桃:あ、あのさ。
〇:はい。
桃:明日は梅達にお誕生日会してもらうし、まとめたデータを見直して調整しなきゃいけないじゃない?
〇:そうですね。
(モジモジしながら話す桃子)
桃:その、データは早めに揃えておいた方がいいかなぁって……
社員:(小声)ふふ。こういうトコ、子供なのよね。
〇:社長。
桃:ん?
〇:着たいんですね?
桃:うん!
(数分後…)
桃:どうかな?
社員:可愛い!
桃:へへ///
〇:緩すぎたり、キツイとことかありますか?
桃:ううん、ぴったり。
〇:よかった
桃:ていうか、私のサイズはどうやって調べたのかしら?
〇:そこは、社員皆さんの全面協力で。
(社員一同が桃子にごめん!と言わんばかりに手を合わせている)
桃:そういうことね。
〇:そういうことです。
桃:今からジムの回数増やさないと……
(その日の夜…)
(○○からのメールを読んでいる今野)
今:はは……なかなかの演出家だな。
-つづく-
【おまけ】
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