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ソラを見上げて #50 本日ハ晴天ナリ
―セキスイハイムスーパーアリーナ・入場口前―
(開演1時間前)
玲:着いたー!
花:ふぁぁ……ねむ。
真:ちょっと花奈。せっかく来たんだからシャキッとしてよ。
花:だーかーら、私は配信で見るって言ったでしょ。それをアンタ達が無理矢理連れて来たんじゃないの。ゆっくり寝たかったのに……ふぁぁ。
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玲:まぁまぁ。お店忙しくて、ライブに来るのだって久しぶりでしょ? せっかくここまで来たんだから楽しもうよ。
花:……そうね。悪いけど後でアイスコーヒー買ってきてくれない?
玲:おっけ~。
若:よっこらせっと。ふぅ、雲一つ無い空……まさに晴天。絶好のライブ日和ね。ま、アリーナだから天気関係ないけど。……いたた。
真:若、大丈夫?
若:うん。ただの捻挫だから。
(若月は笑顔で答えるが、ひきずる足に痛々しく包帯が巻かれている)
玲:ごめんね、若。
若:あはは、元はと言えば私が生ちゃんのお願いを引き受けたんだしさ。
花:真夏と玲香は若月に頼りすぎ。反省しなさい。
真&玲:……はい。
若:花奈、これは私が言い出した事だから——
花:若月も後先考えなさ過ぎ。主演舞台が終わったから大事にはならなかったけど、公演中だったらどうするつもりだったの? それにアンタは独り身じゃないのよ!? もっと自分の体を大切にしなさい。
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若:……すみません。
真:さすが、経営者は言うことが大人だね。
花:大人なんだから当然です。
真:う、厳しぃ。
『そんなとこに突っ立てないでさっさと入ったら?』
真:え? あ! 生駒ちゃん!
生駒:よ。
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―セキスイハイムスーパーアリーナ・関係者席―
(生駒に連れられ、関係者席に到着した4人)
真:来てたんだ。
生駒:うん。勉強も兼ねてね。
真:勉強?
生駒:おーい。乃木坂の初代キャプテンと二代目キャプテン来たよー。
真:へ?
玲:誰としゃべってるの?
(生駒が声をかけた数名の女性が真夏と玲香のところに駆け寄ってくる)
『た、大変ご無沙汰しています!』
真:あらあら、僕青ちゃんじゃない。久しぶりね、元気だった。
『はい!』
(真夏と玲香の前に現れた女性達は、乃木坂46公式ライバル”僕が見たかった青空”のメンバーだった)
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玲:万理華から聞いてるわよ、すっごく頑張ってるって。
『ありがとうございます!』
万:生駒のスパルタに耐えながらね。
生駒:乃木坂のライバルなんだから厳しくて当たり前。この子達だってそのつもりで入ってきたんだから。ほら、挨拶済ませたならコンサートの見どころおさらいするよ。
『はい!』
(生駒と共に席に戻っていくメンバー達)
玲:随分とお早い到着で。
万:生駒が早く行こうってうるさくてさ。
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玲:勉強のためってのは、あの子達のって事ね。
万:私達もだよ。今日のコンサートで見るもの全て、盗める物は全て持って帰らなきゃ。
玲:熱心だねぇ。
万:グループから離れてさ、よく分かったんだ。やっぱり乃木坂が最高峰だって。
玲:あら。
万:あの子達もそうなってほしいって思ったからさ。
玲:それがアドバイザーになった理由?
万:それも理由のひとつだけど……生駒がね、「卒業した私達が乃木坂に返せる恩なんてたかが知れてる。だったら、乃木坂にとって脅威になるようなアイドルを育てよう」って。
玲:それが恩返し?
万:「自分達は追われる側なんだって事を自覚すれば、乃木坂はもっと強くなる」ってさ。
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玲:生駒ちゃんらしいね~。
万:ふふ、でしょ?
30分後…生田と山崎、
そしてもう一人がアリーナに到着。
生:お、やってるねぇ。
怜:後輩のライブに居酒屋のノリで入るのやめません?
小:あの、ホントにいいんでしょうか? 私なんかが……
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生:いいのよ。どうせチケットも余ってたし。せっかくなんだから良い席で見た方がいいじゃない? それに、小坂ちゃんが一般席にいたら周りのファンがビックリしちゃうわよん。
小:ど、どうも。
怜:案外ちゃんと考えてたんですね。
生:案外って何よ、失礼ね。あ、いたいた。おーい! 真夏―!
(真夏を見つけた生田は、二人を置いて駆け出していく)
怜:あ、ちょっと生田さん……もう、本当に考えてるのかしら。
小:ふふふ。一緒にいて楽しいですよね、生田さんって。
怜:楽しいけど、あの行き当たりばったりに振り回されるのも結構大変なのよ?
小:あはは。でも、私はその行き当たりばったりに助けてもらったので。
怜:そうなの?
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小:えぇ。とっても。
生:早くおいでよー!
(生田が向こう側で手を振っている)
怜:はーい。じゃ、行こっか。
小:はい。
(席に着く山崎と小坂)
生:開演までまだ時間あるよね?
怜:そうですね。て言ってもあと30分くらいですけど。
生:お腹空いた。真夏、何か買ってきてー。
真:なんで私が生ちゃんのご飯買いに行かなきゃいけないのよ!
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生:いいじゃん。”梅ちゃんソーダ”と“てれさのギルティ唐揚げ”買ってきてー。
真:んもぅ、相変わらずワガママばっかりなんだから……
玲:あ、ついでに”さくらのお団子セット”おねがーい。
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若:私は”山下飯店のエビチリ饅頭”ね。
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真:もう! 少しはキャプテンを敬うっていう気持ちは無いのかしら……
(文句を言いながら物販ブースへ向かう真夏)
生駒:お、小坂ちゃんじゃん!
小:生駒さん! ご無沙汰してます。
生駒:まさかこんな所で会えるとはね、元気だった?
小:はい。生駒さんもお元気そうで。
生駒:まぁね。
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生駒:人を裏切者扱いしないでちょうだい。
生:何か間違ったこと言ったかしら、公式ライバルの運営アドバイザーさん?
生駒:卒業して早々に事務所を移った人に言われたくないわね。
生:あーら。育ててもらった事務所にいながら、公式ライバルの育成をしている方を裏切者と呼んで何が悪いのかしらね~。
生駒:見てなさい。いつか乃木坂をぶっ倒してやるんだから。
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万:ちょっと! 乃木坂のライブ会場で宣戦布告とか何考えてんの!
生:面白いじゃない、受けて立つわよ! 生駒が育てた子が私達乃木坂を超えられるか見せてもらおうじゃないの。
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万:生ちゃんは卒業してるでしょ!
怜:そうですよ! 事務所も違うのに勝手に喧嘩を買うのはやめて下さい!
生駒:よーし言ったな! みんな、絶対乃木坂を倒すよ!
『いや……その、私達乃木坂さんを倒すなんてそんな……』
(なんとも言えない表情で俯く僕青のメンバー達)
生駒:公式ライバルが何甘っちょろいこと言ってるの!
生:そうよ! やるなら本気でかかってきなさい!
玲:いいぞー! やれやれー!
(爆笑しながら状況を煽る玲香)
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怜:わ、悪い先輩達だわ……
小:ふふ、あははは!
『おー、なんか盛り上がってるね』
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生駒:かずみんじゃん!
髙:やっほー。
花:よ、現役秘書!
万:次期千葉県知事!
髙:ちょっとやめてよー。そんなつもりでやってないから。
怜:そうは言っても、まさか乃木坂OGから県知事秘書が誕生するとはだれも予想してませんでしたよ?
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髙:私は呼んでもらっただけだから。現職の先生が知事をしてる間だけって約束だし。
玲:そうなの? 立候補したらいいのに。かずみんだったら千葉県民全員が投票すると思うんだけどな。
髙:私に政治は無理よ。
生:一人で来たの?
髙:ううん。まいやんと。
玲:まいやんは?
髙:せっかくだから会場を見て回ってくるってさ。
玲:そっか。
生駒:まいやんに会うのも久しぶりだなぁ。
花:そういえば若月は?
玲:あれ? さっきまで隣にいたのに……
―セキスイハイムスーパーアリーナ・1階通路―
(階段を降りた先の通路で、若月と僕青メンバーが何やら話をしている)
『すみません若様。ご挨拶が遅くなってしまって』
若:いいのよ。あそこで挨拶してたらもっとややこしい状況になってたしさ。
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万:バレなくて良かったね。
若:生駒が口滑らすんじゃないかと冷や冷やしたわよ。
『来週の収録もよろしくお願いします!』
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若:うん。またね。
(関係者席に戻っていく僕青メンバー)
万:それより。
若:ん?
万:ラジオの準レギュラーより、”若様”って呼ばせてるのはマズいんじゃないの~?
若:あー……ね。
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万:あの子達に知れたらどうなる事やら。
若:好きに呼んでいいよって言ったらソレになっちゃってさ……内緒ね?
(ばつが悪そうに頭をかく若月)
万:じゃ、ダンスレッスン一回私と交代ね?
若:かしこまり。
―つづく―
【おまけ】
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