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#00_Prologue AVANT1(WC1772/0310)


2023年10月某日(Look back on #26 )


―遥香の自宅―

遥:はぁ……はぁ。

林:かっきーどうしたん? って、何も買ってないじゃん。

遥:コレ見て。

林:え、コレって週刊誌?

遥:いいからこの記事見て!

林:記事? ……え、うそでしょ?


遥:スーパーで買い物してて、雑誌コーナーを通りかかったらこれがあって……

林:7月以降って……じゃあ卒コンのすぐ後ってこと?

遥:ここに書かれている事が本当だとしたら、ね。

林:し、信じられないよこんなの。

遥:私だって  

【♪♬~♪~~📱】

遥:はい、賀喜です。お疲れ様です。えぇ、大丈夫です。はい、林も一緒です。緊急で……ですか、はい、今日は休みだったので特に。分かりました。


遥:瑠奈、今日って一日オフだったよね?

林:え? うん、そうだけど。

遥:『今から事務所に来れないか?』って菊地さんが。

林:え、何があったの?

遥:わからない。けど、もしかしたら……

(遥香の視線の先には【齋藤飛鳥、失踪】の文字)


林:まさか……

遥:いい?

林:う、うん。

遥:お待たせしてすみません。私と瑠奈はこれから向かいます。わかりました、ありがとうございます。じゃあ30分後に下の入り口で……はい、お疲れ様です。

【ピッ……📱】

遥:菊地さんがここまで車回してくれるって。

林:そこまでして招集するって事は……

遥:かもね。マスコミに捕まらないようにって言ってたし。

林:これから何が起こるんだろ……


遥:わからない。でも、とにかく今は事務所に行こ?

林:わかった。



―SME六番町ビル・乃木坂46事務所―

事務所には一部の地方ロケ組を除いて招集されたメンバー、マネージャーや運営スタッフが大勢集まっていた。


今:みんな、すまない。緊急の案件が発生したので急遽集まってもらった。知っている者もいるかと思うが、今日発売の週刊誌に齋藤飛鳥に関する記事が掲載された。内容は……飛鳥が消息不明になっているというものだ。

(ざわつくメンバー達)


今:恐らくテレビやネット、様々なメディアでこの件を取り上げるだろう。だが、番組に出演した時や、記者にこの事を聞かれても何も答えないでくれ。

梅:あの、それって本当なんですか?

今:今、事実確認をしている。とにかくこの件は内内にしてくれ。

梅:わかりました……

今:みんなの気持ちも分かっているつもりだ。だが今は我慢してくれ。無闇に動いたり、飛鳥の自宅に近づいたりすればマスコミの格好の的になるだけだ。今は慌てず騒がず、グループ活動に集中してほしい。この件は俺がなんとかする……だから、頼む。

(深々と頭を下げる今野に何も言えなくなるメンバー達)


今:忙しい中、急に呼び出してすまなかった。話は以上だ。マネージャーとスタッフはメンバーの送迎を頼む。梅澤と山下はこの後、会議室に来てくれ。個別に話したい事がある。

(状況は解散、集められていたメンバーが次々と事務所を後にしていく中、一人だけ椅子に座ったまま動かないメンバーがいた)


林:かっきー。さくちゃんがまだ……

遥:さく……

(さくらに駆け寄る林と遥香)


さ:……

遥:……

さ:約束したの。

遥:え?

さ:自分を認めてあげられるようになったら、会いに行きますって。

遥:そっか。

さ:だから、それまで私は頑張らなくちゃいけないの。

林:さくちゃん……

さ:『うん』って言ってくれたもん。


遥:飛鳥さんは約束を破るような人じゃないもんね。

さ:うん。



―乃木坂46事務所・会議室―

今:急にこんな事になってすまなかった。

美:朝、家を出る時にコンビニで見ました……その記事。


今:そうか。で、二人にはお願いしたい事があるんだ。

美:なんですか?

今:飛鳥の事を探さないでくれ。

梅:え?

美:どういう事ですか?

今:お前達の事だ。このあと飛鳥に電話しようとしてたんじゃないか?

梅:それは……


美:はい。今すぐにでもしたい位です。

今:お前達は行動が早いからな。

梅:電話もかけるなって事ですか?

美:今野さん、もしかして何か知ってて  

今:そうじゃない。

美:なら、どうして探すなって言うんですか!?

今:落ち着け山下。……だったら電話してみろ。

美:……

(携帯電話を鞄から取り出す美月)


【ピッピピ……📱】


【おかけになった電話番号は現在使われておりません。番号をお確かめになって、もう一度おかけ直し下さい。おかけになった電話番号は現在……】



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