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ドールと私


最近、小学生の頃から欲しかったスーパードルフィーをお迎えした。
本題に入る前にまず私のドールオタク遍歴について語ろう。
私は小さい頃から人形とぬいぐるみが大好きであった。特に好きだったのはリカちゃんとフモフモさんのうさぎであった。

フモフモさんとはシナダさんが出しているゆるさが特徴のとても可愛らしい動物ぬいぐるみのシリーズである。
近鉄のおもちゃ売り場でフモフモさんのうさぎ(すもも)のセピア色の子と出会い、それはもう可愛がってどこに連れて行くのも寝るのも一緒であった。
可愛がりすぎてボロボロになり裂けたところをあて布で塞いで大切にしていたのだが、祖母が「汚い」と言って私が学校に行っている間に勝手に捨ててしまった。今でも許していないし、トラウマになってしまい私は今でもぬいぐるみを手放すことが出来なくなっている。

人形はリカちゃんは無論だが、小学校低学年の頃に日本橋で見つけたえっくすきゅーとが私がドール沼に沈むきっかけであった。リカちゃんとはまた違う、アニメのような可愛らしい顔と凝った服に私は夢中になってしまった。
お金を貯め、私はsweet punk girlsのあいかをお迎えした。母親は赤いチェックのスカートを履いた可愛らしいころんの方が良いと言っていたか、あいかの持つ凛とした愛らしさが私は好きだった。
あいかをお迎えして以来ドールの店に通うようになり雑誌を読んだりHPを見たりしているうちに、もう一つのドールに出会った。ブライスである。
ブライスはタカラトミーが販売しているドールである。特徴的な見た目から好き嫌いは分かれるが、ゴスロリやロリータなど非日常的なファッションが好きな私は見事にハマってしまった。

ドールにハマって暫くして、私はイベントに行くようになった。ディーラー様が作った服を販売する、いわゆる同人誌即売会のようなものだ。
そこで、出会った。そう、スーパードルフィーに。
スーパードルフィーとか京都に拠点を置く造詣村が出している球体関節人形である。とにかく可愛い、そして美しい。値段はスタンダードモデルで7万円から、フルチョイスやコーディネートモデルとなれば10万を越す。小学生のお小遣いでは到底手が出ない。
大学生になってからはバイト代を貯めフルチョイスでお迎えしようと思っていたのだが、授業との兼ね合いや教材費で思うようにお金が貯まらずドールをお迎えできないまま卒業を迎えてしまった。

スーパードルフィーをお迎えしたい、という思いを抱いたままフリーターとしての日々を過ごしていたある日、私はなんとなく日本橋にあるドールポイントへと行った。ドールポイントはスーパードルフィーの専門店だ。本当に、なんとなく、ふらっと足が向いて行ったのだ。
店内には撮影ブースやドール用の服、そしてドール本体が展示されていた。値段を見るとやはり10万以上するものばかりで、私はぼんやりとドールを眺めることしかできなかった。
店内に貼られていたドールのチラシを見ていると、スタッフさんに声を掛けられた。「なにかお探しですか」と。普段ならキョドってしまい何も言えない私だが、その時はなぜか「小学生の時からスーパードルフィーが欲しくて」とらしくもなく答えてしまった。2、3言葉を交わし私は店から出て行った。
そのまま帰ればいいのに、なぜか私は日本橋にあるもう一つのドールショップ、アゾンへと向かった。展示されたドールを見ようともせず私は奥にある書籍コーナーへと向かい、かつては毎号買っていたドーリィドーリィを買った。ドーリィドーリィは名前の通りドールの専門誌である。リカちゃんからスーパードルフィー、はては食玩まで取り扱っている。
ドーリィドーリィを手に私はある喫茶店へと行き、アイスティーを注文してそれを片手に雑誌を読み始めた。
ページをめくる度に胸の奥からなんとも言えない思いが込み上げ、スーパードルフィーのページになった途端ついに涙が溢れ出てきた。
小学生の時から今までの、ドールに関する全ての思い出が蘇り拭いても拭いても涙が止まらなかった。
あまりにも泣きすぎたせいで近くの席にいたおばさんに心配されてしまった。まさかドールの雑誌を読んで泣いたとは言えないので「花粉症です」と誤魔化しておいた。誤魔化せている気はしない。
そして気付いた、私は泣くほどスーパードルフィーをお迎えしたかったのだ、と。
そこからの行動は早かった。泣き止むのを待ち、それから私はすぐにドールポイントへと向かった。足が軽く、視界が一皮剥いたみたいに明るくなった。

当日お迎えできるのはスタンダードモデルか店頭に在庫がある特別モデルだ。
私はスーパードルフィー初心者ということでスタンダードモデルのニコちゃんをお迎えすることにした。
お迎えするにあたって、スタッフの方がわざわざドールを出し着せ替えや触り方について懇切丁寧に教えてくれた。本当に嬉しかった、ドールポイント大阪店のスタッフ様本当にありがとうございました。
スタッフさんのご好意で撮影ブースで写真も撮らせてもらった。


可愛い。ウィッグの被せ方やポージングに関しては色々とあるが、可愛いとしか言えない。
スタンダードモデルとしての名前はニコだが、誕生花からとって里桜と名付けた。

里桜ちゃんをお迎えしてからそろそろ3週間が経つ。
新しい服を買い、グラスアイを交換し、ウィッグも替えた。その姿がトップの画像である。

昔より人型を模したものには魂が宿りやすいという。
Twitterで見かけたのだが、ドールは可愛がっているうちに顔が変わるという。
服を着せ替え、外出に連れて行き、写真を撮って、と可愛がっているうちにもしかしたら魂ではないにしろドールに対するオーナーの「想い」が宿るのかもしれない。
今はまだ着せ替えと簡単な撮影しかできていない里桜ちゃんだか、コロナが収まり自由に出かけるようになれたらあちこちに連れて行こうと決めている。
いつか里桜ちゃんにも魂が宿れば嬉しい限りである。
コロナで先が見えず不安な毎日だが、里桜ちゃんのおかげで毎日が少し楽しい。
私の元に来てくれてありがとう、里桜ちゃん。

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