ステインニング
今夜から始まったオーダーメイドペイントサービス” Drop Shadow”
早速ご注文頂けて本当に嬉しい限りです。
タイトルのステインニングとは絵を描く際の技法の一つ。
なんとなく遠近法って音は聞いたり試してみたりした方も少なからずいらっしゃるかと。
そもそも何故絵を描くことに複数の技法が生まれたのか、これはすごくシンプルで自分が表現したい物事に対して適切な言語が必要だからです。
言語?と思うかもしれませんが
簡単に言えば日本語、英語やフランス語などの言語とも言えますし
職業によってある専門用語のようでもあります。
また、ダンスや歌、楽器などもコミュニケーションの一つと言えるでしょう。
そして、それらはすべて正しく伝えるための独自の形態を持っています。
絵を描くとはつまりただ描くのではなく、言葉では表現しきれない自分が言いたいことを、言葉の種類を正しく選んで然るべきところ(人)に伝えようとすることです。
かなり回りくどくなりましたが、なぜ今回ステイニングを選んだかというと去年出会ったcolor field(1950-60年代アメリカを中心に行われたアブストラクトペイントの傾向)に触発されたからです。
彼らは何を描くかよりもどう描くかに注力していたことでも知られ、その時代には数多くの新しい技法(言語)が生まれました。
とはいえモチーフがなかなか定まらず
ただやってみるだけでは何も自分が言いたいこともないなぁと思ってました。
そんなある日、お客様のストリーズに東京闇市で買っていただいた植物の写真が投稿されているのをみてこれだ!と思いました。
正確に言うと植物そのものではなく、写真の端っこに写っていた植物の影を見てそう思いました。
以前から壁に映った影の写真を撮り溜めていたこともあり、ステイニングという言語は影の美しさを表現するのに適していると考えました。
描いてみるとこれがまた難しい。そして楽しい。
単色の中にも濃淡が絵の具(墨)の流れによって変化して温度や動きを感じることもできます。
折角なのでもう少し分かりやすく、そしてstreet vibesを出すために直接的に文字を書き込んでいます。
その短慮さが失敗でした。なんだか噛み合わない。アートブック読み返したり、試作を繰り返していくうちに水彩や墨が油分を弾くことを思い出し(バチックという技法です)、着色前に字を書いてから着色してみると、まるで文字から色や形が生まれてきたかのような生き生きとしたリズムに。
そんなこんなでDrop shadowはオーダーを受けれるところまでやってきました。
ステンニングはドリッピング(吹き流し)同様あまり細かい部分は苦手なので、灌木の葉は別にスパッタリング(小学生の頃歯ブラシとかで細かく絵の具飛ばすやつ)で表現しようかと。
長くなりましたが、
「植物の影は格好いい!street vibes!」を言葉だけでは伝わらないので絵として表現しました、欲しい方お声がけください。このことを言うのに1100文字以上お付き合いいただきありがとうございました。
ちなみにカバー写真は先述のカラーフィールドの傑作です。色と色のぶつかり合いやそこから生まれる独特の景色がたまらんですね。
ではでは、オーダーしてみようかなと言う方は是非是非。オーダー数増えてきて忙しくなれたら単価も上げようと思ってます。