かえりみち

もう長いこと、お酒は飲んでない。

でも、どうしてもやるせない気分になって
帰り道、スーパーにお酒を買いに寄り道しようと思った。
"久々にアルコールでも飲んでみるか"
"ちょっとは気が紛れるかもしれないし…"

…アルコールにでも頼ってないと、
苦しくてどうにかなりそうな気分だった。


レンガで舗装された商店街の細道を下る。


スーパーに着く手前5メートル、
雨がぱらっと降り出した。

右手に持っていた折りたたみ傘を、
"開こうかな…いや、もうちょっとでスーパー着くし"
そう躊躇った瞬間、

雨はざぁっと強く降り出した。

はぁ…。
と、ため息一つ。

諦めて、傘をさす。
どうやら天は、私に寄り道を許さないつもりみたいだ。

"酒に頼るな、ちゃんと向き合え"
そう言われた気がした。

そのまま傘を閉じることなく、
スーパーを横目に通り過ぎ、独り家路につく。

…ねぇ、
この寒空の下、あなたは無事でいるだろうか。
私と同じように、孤独と淋しさに震えていないだろうか。

ねぇ…

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