ドイツの学校: 3: 侵入者がきたらバリケード!
担任が続けて伝えた、新学年の2つめの新しいルール。
侵入者がきたら、すぐさま机と椅子を動かし、ドアから入って来れないようバリケードを作ること。
※ドイツの学校: 2: トイレに行く時は誰かと一緒に! の記事はこちら
これはトイレのルールと違い、無差別な破壊行為、人的危害を与える脅威を想定したルールだったので、茶化すことも笑うポイントを探すこともできなかった。
ドイツではつい先月(2024年8月)に、ゾーリンゲンで行われた市の創立650周年記念「多様性フェスティバル」の会場で、シリア難民による無差別殺傷事件で3人が死亡するという事件が発生したばかり。
犯人はISISのメンバーで難民申請をするためドイツに入国していたが、退去命令が出てから行方をくらましていたシリア国籍の男だった。
移民排斥、反移民の気運が一層強まり、その後に行われた各選挙では極右のナチ政党と言われるARD(ドイツのための選択肢)が躍進する一因にもなったこの事件。
積極的な難民受け入れによる負の遺産、とは簡単に言えないのだが、残念だけれど、ドイツはそういった事件が身近に起こりうる国になってしまった。
いつ学校が攻撃されても不思議ではない。
銃社会のアメリカで、社会の不満分子が起こす銃撃事件は、もはや他人事ではないと、人々を不安にさせ考えさせる事件だったのだ。
「でもさ、相手がマシンガンを持ってたら、バリケードなんて簡単に壊せるよね?」
という息子に、そんな状況になりませんように、と願いながら返答した。
「そうだね、でもバリケードがあったら少しは警察が来るまでの時間稼ぎになると思うよ」
それにしても8月23日に発生したゾーリンゲンの事件から、始業式までの2週間強の間に、協議され生徒に伝えられたこれらの新ルール。その対応の早さは、さすがだなと思わされた。