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映画「007/カジノ・ロワイヤル」の指輪 〈映画の指輪のつくり方〉第59回

The name is Bond. James Bond.
2006年公開映画『007/カジノ・ロワイヤル(Casino Royale)』
文・みねこ美根(2022年3月21日連載公開)

この春4月から、私、みねこ美根は、〝美根〟に改名する。なので今回は名前に関連した映画にしたいなぁと悩みに悩んだ末、「007」シリーズのダニエル・クレイグ版から1作紹介することに決めた。なんと言っても主人公のジェームズ・ボンドは今回のこの連載第59回目のタイトル通り、名乗る台詞こそが映画史に残る名台詞なのだから!

ジェームズ・ボンド、一体何者?

「007」シリーズは、イギリスの秘密情報部MI6のエージェントであるジェームズ・ボンドを主人公にした作品で、映画作品では6人の俳優たちによって代々演じられてきた。「007」というのはコードネームであり、殺しのライセンスを持ったエージェントであることを示している。恥ずかしながら、私はダニエル・クレイグが演じた一番新しい「007」シリーズしかちゃんと見ておらず、それまでの作品は、海岸からボンドガールが海を背に歩いてくるシーンと、宇宙に行って戦ってたシーンと、金ピカの人がいるシーンをテレビでぼんやり見た記憶があるくらい。ごめんなさい。でも、今まで見たことない人も、今回紹介する2006年公開の「007/カジノ・ロワイヤル」から見てもガッツリ楽しめるのでぜひ。ロンドンオリンピック開会式で、エリザベス女王とヘリコプターから飛び降りてた人、それがジェームズ・ボンドです。

ジェームズ・ボンドといえば、プレイボーイで、三つ揃えのスーツを着こなす英国紳士!なのですが、ダニエル・クレイグのボンドは、プレイボーイ感が控えめで、口数も少なく、渋い。華麗にミッションをクリアしていく…というよりかは、結構肉弾戦、発砲もするけどめっちゃ殴る。痛そうなシーンも多めで、話の筋もリアリティがあり、シリアスな世界観なのだ。本作は、殺しのライセンスを取得したばかりのボンドだからか、少し若い印象で、「ちょ、おい!」と言いたくなる破天荒さもありつつ、物語を経てボンドが「007」になっていく姿を描いているようにも思える。この変化が良い…!孤独な戦いを静かに受け止め、任務を全うしていく、凛々しいボンドが、美しく、容赦なくかっこいい。

国の資金をかけてカジノ!?

ストーリー冒頭、MI6のエージェント ジェームズ・ボンドは殺しのライセンスをもつ諜報員に昇格、任務を行う中で謎のメッセージ「エリプシス」を知る。メッセージの送り主である武器商人を追跡する中、マイアミ国際空港で爆破計画が実行されようとしていることを知るボンド。この爆破計画の裏には、テロ組織からの資金を運用する組織が大きく関わっていた。

その組織の仕切るル・シッフルという人物が、テロ組織の資金稼ぎにモンテネグロの「カジノ・ロワイヤル」にやってくると知ったボンドは、政府の金融活動作業部からやってきたヴェスパー・リンドと共に、ポーカーゲームに参加する。ボンドは阻止できるのか…?というのが今作の物語の大筋。

テーマ曲も必見・必聴

「007」シリーズといえば、テーマ曲! デンデケデンデーンデンデンデン…っていう有名なテーマとはまた別に、それぞれの作品で主題歌と映像が冒頭に入る。私は「007/スカイフォール」を見てシリーズにハマったのだが、このオープニングのアデルの「skyfall」のかっこよさたるや!

そして本作「007/カジノ・ロワイヤル」はクリス・コーネルが歌う「You Know My Name」が主題歌。“始まるぞー!”感が満ち満ちていて最高。冒頭シーンのモノクロで昔のスパイ映画を彷彿とさせるカメラワーク、そこからお決まりの銃口からのぞくボンドの姿。銃声の後イントロが流れるのと同時に「ああ、今ボンドに撃たれたのは私の心だったのね」と毎回遺言を残す私です。曲中に流れる映像も凝っていて、毎作品楽しみにしてる。あー!いつか日本人初のジェームズ・ボンドのテーマ曲書いて唄うのやりたいなぁ。英語勉強しよっと!笑

「You Know My Name」は動画でカバーしたので見てね。歌詞もボンドを主人公に、”you”を敵とボンド自身に重ねて意訳してみた。

正直、話の流れはむずい。

正直なところ、筋書きは、裏切りや二重スパイ、計画の目的など、後から理由がわかる展開が多いので、流れは難解。私もカジノのルールはさっぱりよ! でも、アクションシーンや、カジノのハラハラシーン、衝撃の拷問シーン、私の大好きな毒盛られるシーン、その後の展開と、見どころは満載、敵役はみんな大好きマッツ・ミケルセン、そして本作のボンドガール ヴェスパー演じるエヴァ・グリーンの知的な美しさと、盛り沢山な魅力がみんなを待っているよ。ボンドが本気で愛する女性が、知的で独立心の強いヴェスパーというのもなんか良い。二人の展開も胸熱です。今回の指輪の大きなモチーフは、そのヴェスパーの名前がついたカクテルです。ぜひご覧あれ。

貫く心がある人が美しい

ジェームズ・ボンドのかっこよさは、その孤独と悲しみを飲み込んだ美学、凛としたスタイルだなと思う。ポーカーフェイスでスーツをビシッと着こなし、敵陣に向かう。私も、ジェームズ・ボンドみたいに、例え私のことを誰も知らなくても堂々と名乗ってここで生きてるんだぜって唄っていこう、戦おう。

次で60回目、5年目に突入するこの連載、今年こそ、閲覧数と動画の再生回数爆上がりするので、今読んでくれてるみんなは古参として引き続き応援よろしくお願いします。みんなに感謝です。

〝美根〟としてのこれからも、よろしく。

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モチーフ:カクテル「ヴェスパー・マティーニ」、トランプ、チップ、ワルサーP99
音楽:Chris Cornell「You Know My Name」
Monty Norman、John Barry「James Bond Theme」

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