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【クソデザイン】出しやがって!

そんな事、言われた経験ありますか?

さすがにびっくりしました。でも、その経験は自分の糧になっている。
当時、企画会社にいた自分は、デザイン歴5年程。しゃかりき毎日の様に、頭がカスカスになるまでデザインに向き合っていた。

担当している、プロジェクトに参加しているクライアントの一人に、わかりやすく無礼な立ち振る舞いをする、ルパンみたいな風貌のひょろ長いスタイルのヤツがいた。

いつも、その【エセルパン】は、デザインを自販機みたいに、お金入れてポンとスイッチを押したら、思ったものが出てくると大きな勘違いをしているようで、いつも依頼は適当、インプットは丸投げ、バリエーションが出てこない時は能無し扱い。。。
ひどいもんだった。

【エセルパン】の毒牙にかかって、精神的にやられた人も沢山見ていた。。。

自分はその頃、恐ろしい程の反骨心で立ち向かっていたが、ある時、放たれたその言葉。。。

【クソみたいなデザイン出しやがって!】

感性のかけらも無い人から、何を言われても響かないと思っていた。でも、人間なんだね。自分も。流石にびっくり。

ショックを通り越して笑ってしまった。。。

こういった、勘違いパワハラコメントで何人ものデザイナーがやられた。
そんな言葉を言えるって、逆にすごい。
そう思った自分は、リスペクトの意味も込めて「では、仰せのままに絵を描いて来ます」と言い、イメージ通りのアウトプットを後日提出の約束。

【エセルパン】の求めているデザインは、他社の丸パクリ。
反骨心の塊の自分はそれでは納得できずどうしたものか。とずっとモヤモヤとイライラがとまらない。

ところがある日、【エセルパン】同席で、クライアントの社長へクソデザインの一件のデザイン進捗プレゼンのチャンスを獲得。

やってやる。。。

プレゼン前日、【エセルパン】の仰せの通りのデザインをそれなりに体裁が整う位に仕上げ、事前に見せたところ、自分への大絶賛。

オレのディレクションがあったから、このクオリティーまで出来たんだ。高めてやったオレに感謝しろ!と。。。
出たよまた迷言。こんなダイレクトにそう言える感覚って、ヤバイ。
一旦冷静に。

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プレゼン当日になってもなんだかモヤモヤは全く晴れないが、クライアントの社長の元へ。。。いつもながら貫禄のある姿。流石の眼力。毎回、挨拶の時に目があった瞬間、ちょっとした悪寒を感じる。【エセルパン】もこの人の前ではヘビに睨まれたカエル状態。サラリーマンって面白い。

早速プレゼンに進み、良い調子で一通りプレゼンが終わり、社長がニヤッとしたのちに一言。

『これは、キミのデザインか?』

鋭い眼光は自分に向けられていた。
すかさず【エセルパン】がコメント。

私のディレクションです!!!
こいつは言われた通りに描いただけですね
得点取りに来たー!主張ハンパない!

少しの沈黙。

何やってんだオマエ。。。社長からの一言。
こんなコピー品、恥ずかしくないのか?
ピキーンと張り詰めた空気。
依頼とはいえアウトプットした自分へも反省しながら様子を伺う。

当然、【エセルパン】はフリーズ状態。
どこ見てんの?という感じの目の焦点。
白目?目がグルグルしてた。
目が泳ぐって、こういう事いうんかな。
お手本の様だった。
それがこの顔。

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あの。。。と一言

『もう一案持ってきています。』と私から。
【エセルパン】がフリーズから解けないうちに。
プレゼン準備をさっと済ませ。

では、第二案ご説明させて頂きます。
そう言って、例のクソみたいなデザインと罵られたアウトプットを
雄弁に、熱意を持ってプレゼンした。

説明し終えたのち、少しの沈黙の後、社長の口から出た言葉は、
『良い案だ、それでいこう』だった。
多くは語らず、数字的展望の部分には、少しコメントを付け加えて、
一番最後にすまなかった、ありがとう。
という言葉を添えてくれた。

何にすまなかったのか?何にありがとうなのか?
真意は聞かなかったが、察しはついた。

この瞬間、クソみたいなデザインは認められた。
【エセルパン】は、その後企画部門からいなくなった。

この体験は、のちに色んな場面で力になってくれている。

学びとしては、自らのアウトプットに自信を持つことが重要。
その時通らなかったデザインは、その場で通らなかっただけ。
ただ、それだけ。
自分の未熟さもあるかもしれないが、刺さる人には刺さる。
その時、その瞬間の評価は、その時だけのもの。
それが全てでは無いので、腐らないでいい。
大丈夫、良いアウトプットには、魂が宿っていく。

ここまで、読んでいただきありがとうございます。
皆さんも、自分の意見やアイデアが通らなかった経験お持ちだと思います。
この記事がそう言った時の気持ちのやり場の参考になれば幸いです。


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