1/19 中国の新型コロナ情報&エアロゾル感染への警鐘

1/19 発表 1/18 0〜24時の中国大陸新規感染者。
◉市中感染確定例106(吉林43 河北35  黒竜江27 北京1)
◉海外輸入確定例12(上海4 浙江3 広東3 山西1 陝西1)
◉市中無症状感染者80
◉海外輸入無症状感染者11

 現在、中国では高リスクエリア4箇所、中リスクエリア59箇所になっています。

 今日の確定例は、ついに吉林省が河北省を抜きました。吉林省では、どうもエアロゾル感染が発生していたようで、このあたりの解説を後ほど紹介しましょう。エアロゾル感染は、吉林省のように氷点下何十度という寒さになる環境では、特に注意が必要ですね。

◆吉林省

 確定例43例のうち、長春市9例、通化市34例。このうち、36例は無症状感染者からの確定例。無症状感染者は34例で、内訳は長春市10例、通化市23例、松原市1例でした。これ全ての無症状感染者は集中隔離観察中のPCR検査で発見されました。無症状感染者が多いと言うことは、検査が早めに行われているということで、決して悪いことではありません。

◆河北

 確定例35例。すべて石家庄から。このうち13例は無症状感染者から確定例に。無症状感染者は2例で、これも全て石家庄から。河北省も徐々に落ち着きを取り戻しつつあるのような気がします。ただ、まだまだピークに達していないという専門家の見解も出ているので粘り強い対策が必要です。

◆黒竜江

 1/18確定例27例。このうち绥化安達市2例、绥化北林区で無症状感染者が1例確定例、チチハル市で無症状感染者が確定例に1例、そして問題となっている绥化望奎県から23例(8例が無症状感染者からの確定例)。無症状感染者は43例(绥化望奎20、绥化海伦6,绥化安达2 チチハル市昴昴渓区1例、ハルビン市利民開発区1例、ハルビン市呼蘭区11例)。このうち、1例だけハルビン市呼蘭区で、病院に診察を受けるために行ったPCR検査で陽性が見つかった無症状感染者がいましたが、あとは全て绥化望奎関連で、濃厚接触者や2次濃厚接触者に対してPCR検査を行った結果陽性が見つかりました。こちらも、だんだんと検査がウイルス感染よりも先に進むようになってきています。数は多いですが、良い傾向かと思います。

◆北京市

 1例の確定例と1例の濃厚接触者。いずれも大興区天宮院街道在住。1例目は1/17に確定例の濃厚接触者として隔離観察されていて、1/18にPCR陽性の63歳女性。普通型確定例でした。もう1例は9歳の男の子で、上記63歳女性の孫。無症状感染者との診断。

 これを受けて、北京市では、大興区で4箇所の住宅地を封鎖し、入ることが出来ても出られなくするようにしました。封鎖された住宅地では、全員自宅での隔離健康観察になります。このように、1人感染者や無症状感染者が出るだけで、迅速に封鎖してしまいます。

 北京市では、海外からの入国に関して新しい政策を発表しています。海外から北京に戻る場合、3週間の隔離になりました。その後、1週間の健康観察。なお他都市で2週間隔離された場合も3週間後に北京に入ることが許可され、さらに1週間の健康観察だそうです。こうなると実質4週間の隔離ですね。いま現在すでに北京で隔離されている人で、まだ3週間に達していない人は、引き続き残り期間が集中隔離になるとのことです。

◆エアロゾル感染への警鐘

 吉林省では、1例の無症状感染者から139例が感染し、スーパースプレッダーの問題がクローズアップされましたが、さらに寒い冬の時期の密閉した環境で発生するエアロゾル感染も密接に関連していることが分かってきました。

 通化市では環境に対してのPCR検査を行ったところ、21箇所から16箇所の陽性反応が出ており、極めて陽性率が高いことが分かりました。つまり、スーパースプレッダーによる密室空間でのエアロゾル感染が、集まっていた高齢者へ直撃したというわけです。これまでの疫学調査によると通化市で行われた勉強会では、100平米あまりの狭い空間に30〜40名が集まっていて、大部分がマスクをしていなかったといいます。

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 密室空間による飛沫感染+エアロゾル感染の危険性は周知の通りで、屋外なら太陽光の紫外線や湿度、空気の流れによってすぐに消えてしまうエアロゾルでも、屋内ではそうはいきません。ましてや、極寒の北国では密室になるリスクが非常に高い。武漢での研究で、通風条件のよくない病院のトイレや病室では非常の高濃度のエアロゾルが発生し、一方で通風の良好なホールなどではエアロゾルが検出されなかったことが分かっています。武漢ではPCR技術を活用して、各地点でのエアロゾル中のウイルス量を測定し、空気の流れを分析することで、病院での感染予防対策に役立てました。論文は2020年4月発表の《Nature》にも掲載されているとのこと。

 吉林省のケースでは、感染源となった無症状感染者は感染初期で、強い感染力のあるウイルス排出期間であり、さらに勉強会が行われた空間が狭く、スーパースプレッダーとして多くの感染者を出してしまったというわけです。(実は、この無症状感染者は、移動中の列車の中で、黒竜江省望奎県からの無症状感染者の乗客から感染してしまったことも分かっています。)

 新型コロナウイルスは、エアロゾルの中では3時間、銅の表面では4時間、紙の上では24時間、プラスチックやステンレスの上では2〜3日間生存できるというデータもあります。とくに、直射日光が当たらない、気温が0℃前後の乾燥した、風通しのよくない環境では生存し易いとも言われています。

 以上の内容は、以下の文章からのまとめです。中国語の分かる人はぜひ読んでみてください。と同時に、中国のCDC当局が感染源追求に多大な労力をかけていることがよく分かるかと思います。

  

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藤田康介
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