君は私の終わった恋みたいな建物

君は私の終わった恋みたいな建物

身体ばかりが大きくて
ただそこにいる
今まさに
壊されるのを待っている
、けど
予算が、とか
ご時世が、とか
解体業者が、とか
色んな理由が付けられて
ただ立っている
理由はあるのに意味がない

昼は光が当たって
特別な宝物みたいに見える時もある
、けど
夜は抜け殻
昔は特別だった身体も
飾りも今は意味がない
中は空っぽ
誰もいない

誰もいないのにね
外にはオレンジ色の
大きな柵なんか付けられちゃって
「安全＋第一」なんて警告される
わかってるよ
入らなければ怪我しない
今までもこれからも壊れない

、それでも
それでも何故か
君に入ってみたくなる
奥深くのがらんどうを覗いて
もしかしたら傷ついても良いって思う
かつては誰かに愛された
誰かを愛した
そんな君が誇らしい
私が誇らしい

よね、中野サンプラザ