【OCG】2023/07環境のクシャトリラ構築解説・考察
・はじめに
今回もOCGについてになります。他の記事を書いてる方と同様少しでも参考になればと思いメモ代わりに残しておきたいと思います。
先のリミットレギュレーションにおいてクシャトリラ・フェンリルが禁止になり早一ヶ月半が過ぎ、大会等でクシャトリラの名前を見ることもなくなっていると思います。
フェンリルについては前記事で触れているのでここでは詳しくは書きませんが、環境に名乗りを上げることが出来るポテンシャルを持ったデッキとしては事実上の終焉を迎えたに等しいでしょう。そんな中でもプレイヤーの奮闘や試行錯誤、純粋にデッキ・イラスト・世界観等の理由で使い続けている方も少なくないと思います。
今記事では自分が一ヶ月半使った結果を踏まえ、デッキの方向性の提案の一つとして紹介したいと思います。ちなみに目立った結果を出せたわけではない(チーム戦個人4-1程度)ので、
【実績主義の方はここでブラウザバックを推奨します】。
※一部略称を使用しています。また、効果については知っているものとして記載しています。
・構築と基本事項
まずはレシピから。
解説するまでもないですが、フェンリルが禁止になったことで純粋な一枚初動と呼べるカードは「0枚」になりました。あのパライゾスですら2枚初動の片割れとなっています。もっと突き詰めると3〜4枚初動のパターンも少なくありません。5枚フルに使うこともあります。それだけフェンリルの担っていた部分はあまりにも大きく、損失をなるべく埋めなければなりませんでした。
しかしフェンリルの代わりを探してもあのパワーを持ったカードは存在しておらず、適当なレベル7を突っ込む、もしくは罪宝ギミックを入れることでも多少補えるとは思いますが、ここではオーガを3枚、ティアラメンツクシャトリラ(以下ティアクシャ)を2枚に増やして対応しています。
なぜ他ではなくこの2種かというと、この2種が「クシャトリラ」だからです。他にも役割はありますが他に勝る一番の利点はそこに尽きます。
ライズハート、パーピヤス、バース、プリペア、ビッグバン…これら全てのカードはクシャトリラ名称を指定しているため、クシャトリラ以外のモンスターには非対応です。
一枚初動がない、つまり組み合わせによる2枚以上の初動のパターンでしか動くことが出来ません。具体的には
"クシャトリラ名称じゃないカード+クシャトリラサポート"
のようなハンドではほぼ何も出来ません。
このことからもクシャトリラ名称である必要性が見えてくると思います。
なので、前提としてクシャトリラ名称のカードを出来るだけ手札に抱える必要があり、特にライズハート、オーガの重要性は以前と比べて格段に増したと言えます。
・不採用カードと採用検討の基準
明確な基準は、端的に述べれば「①アクションを減らせるか」「②クシャトリラ名称であるかないか」の2点です。
①の部分では、以前のような惑星探査車や盆回しといった、「パライゾスにアクセスすることを目的としたカード」は一律で採用を見送っています。パライゾススタートが出来ても2枚初動である点、顕著なのは惑星探査車スタートの場合アライズハートにニビルをうたれたり、ドロバで止まらざるを得なくなるなどの弊害をカバー出来ず、相対的にパライゾスのバリューが下がったのもありこれらの評価も下がりました。
②の部分について、特に罪宝ギミックはディアベルスターがクシャトリラ名称ではないのが大きく響きます。
サーチが効く、ドロー効果で損失を賄えるなどは利点に見えますが、コストを払って出している時点でティアクシャやスケアクシャとそこまで大きく変わりません。クシャトリラ名称でない分そこからサポートで広がらないのであれば雷仙神でも同じであり、アライズハート成立後やアトラクター下では自力で出てこれない等、メリットよりもデメリットが悪目立ちしてしまう可能性があるので見送りました。
もし仮に何かカードを追加するならば、採用を考えているのはおろかな埋葬もしくは封印の黄金櫃です。どちらも役割はユニコーンにアクセスすることであり、3枚初動の一角としてバースと組み合わせて使うことが出来ます。おろかな埋葬であればティアクシャを落としてクシャトリラカードをさらに落とす、黄金櫃であればパーピヤスと組み合わせて好きなカードを回収するなど、安定性の向上に繋がる期待がもてます。
これら2枚は直接クシャトリラ名称に繋がるカードなので、前述の条件を満たしていると考えています。
・戦術
かつてのような展開、「3素材アライズ+ディアブロシス+シャングリラ+3面封鎖」が上振れ以外で原則出来なくなった状態で目指すのは「3素材アライズ+罠(ビッグバン)」の基本盤面の維持です。
「たったそれだけ?」と思う方も多いと思います。実際泡影一枚、壊獣一枚で解決されるのは紛れもない事実です。また、依然としてトップのティアラメンツに入っているシラユキも天敵となります。
しかし、この「たったそれだけ」の盤面を作ることで瓦解するデッキがないわけではありません。墓地を利用しないデッキは少なく、であればまずアライズをどうにかしないといけないこと、横に並べるならビッグバンで消せる、少なくとも一枚以上はカードを使わせることが出来るなど、コンパクトになったが故の利点を活かしていきましょう。
そしてこのコンパクトな展開には副次的な利点が存在します。
一つは「ニビルが効かない」ことです。
組み合わせパターンは後ほどいくつか羅列しますが、一番多いパターンとしてライズハートとバースの組み合わせで例を挙げます。
「ライズハート通常召喚→バース発動→ライズハート②の効果でユニコーン除外→バース②の効果でユニコーンを除外から特殊召喚→ユニコーン②の効果でパーピヤスサーチ→ユニコーン対象にパーピヤス発動でオーガ特殊召喚→オーガでビッグバンサーチ→3体でアライズハートX召喚、ビッグバンセット」
この展開例ではライズハート、ユニコーン、オーガ、アライズハートの4枚しかモンスターを出していないため、ニビルの打ちどころがありません。従来のシャングリラ&ディアブロシスを絡めた展開ではどうしてもニビルをクリティカルにもらってしまうのが大きな弱点でした。
従来の展開も壊獣で瓦解する点はほぼ同じ、盤面にモンスターが並ぶためラーやラヴァゴをもらいやすくなるデメリットもあったため、目立った違いは泡影が重たくなる点になります。
二つ目の利点は最新弾AGOVで登場した「ティフォンを出させない」ことです。
ティフォンの条件は「EXから2体以上出した」なので、アライズハート1枚のみしか出さないこの展開では出せません。出されてしまうとその相手ターンの展開は止まりますが、アライズハートは効果が使えずそのままバウンスされます。そうなると返しでもう一度アライズハートを立てた上で戦闘破壊するしかないので、若干の手間がかかります。
とにかくコンパクトに、出来るかぎりアクションを取らずにアライズハートを立てて維持をすることが最重要事項となります。
・各カードの役割
ここからは従来の構築ではあまり役割がなかったカードの紹介となります。
モンスター
・クシャトリラ・オーガ
フェンリルが禁止になりユニコーンが制限の今、クシャトリラ名称で2種と共通条件での特殊召喚効果持ちはこのカードのみです。今までは「クシャトリラ名称のバニラ」と同等の扱いでしたが、現在では戦術の中核です。
まず罠サーチの効果が今まで以上に重要になりました。ビッグバンをサーチし妨害として使うため、確実に持ってこられるのは大きいです。プリペアをサーチすることも多々ありますし、この「クシャトリラ名称のカードを持ってくる」ことが、ティアクシャとスケアクロー・クシャトリラ(以下スケアクシャ)、両方の特殊召喚コストを調達することになります。
例を挙げると
「オーガ特殊召喚、②の効果で罠サーチ→ティアクシャ①効果でサーチした罠を除外し特殊召喚→ライズハート通常召喚、②の効果でパーピヤス除外→パーピヤス②の効果で除外した罠回収」
と動くことでオーガの罠サーチはそのまま、無償でティアクシャを出したのと同義になります。また、パーピヤスが除外されているため、このあとのアライズハートの素材に追加もしやすくなります。
また、③の「相手のデッキを5枚まで見て1枚裏側除外」の効果も重要です。相手のデッキトップを擬似的に操作し、情報アドバンテージを得つつマストカウンターの見極めをしたり、単純に強力な制限カードや相手のデッキタイプの核となるカードを抜く、不要札を押し付ける等、フェンリルやユニコーンのような目立ったアドバンテージではないですが、アライズハートを維持しロングゲームに持ち込む際に有利になり、単純に早期決戦に向かう際にも高打点が活きます。
・ティアラメンツ・クシャトリラ
現在も猛威を振るうティアラメンツで使われている印象が強いカードですが、現状のクシャトリラにおいても替えがきかないカードになっています。
クシャトリラ名称であること以外の利点として、下振れたときの組み合わせ初動になる可能性が挙げられます。なかなかないパターンかつ運が大きく絡みますが、ないよりはマシ、といったところになります。
「バース発動→バース①によりティアクシャ通常召喚、②の効果発動でデッキの上から3枚墓地送り」
この段階で足りないカード、例えばユニコーンが落ちればアライズハートに繋がります。こんなことはほぼないので、ユニコーンじゃなくてもクシャトリラ名称が何かしら落ちれば儲けものです。
このパターンで手札にパーピヤスがあれば無論アライズハートにいけるので、出来るだけクシャトリラ名称が必要、といったのはこのためです。
極論、手札が「ティアクシャ、スケアクシャ、バース」のような一見どうしようもないパターンでもオーガやライズハートが落ちればアライズハートにいける、という一縷の望みを残せるのはこのカードならではの利点といえるでしょう。
魔法・罠
・強欲で金満な壺
以前から入っている構築が大多数のカードでしたが、この構築においてはドローよりも「EXのカードを抜く」方が重要かもしれません。
EXの項で解説しますがヌトスを金謙で抜けない場合はこのカードのランダム除外で抜くことになります。アライズハートが1〜2枚残っていれば他のカードはあまり必要がなくなったというのは少し寂しいところです。
・六世壊根清浄(クシャトリラ・ビッグバン)
フェンリルが禁止になって以降、このカードは単なるデッキに眠っていて欲しいライズハートで抜くコスト、ではなくなりました。
シャングリラを絡めた展開がしにくくなり、そうなるとゾーン封鎖も出来ない、要のアライズハートはターン1の単体除去、となると横並びするデッキに対しての回答が必要になります。クシャトリラ側がギミック内で用意出来る盤面に触れる要素がアライズハートしかないため、このカードによって単体除去を打つタイミングを後回しにし、仮に相手がモンスターを2体しか出してなくてもとりあえず打つ、またはアライズハートが盤面に残った状態で無力化されたあとでの不意の一撃としては充分だと思います。
①の効果を使ったあと、即座に②の効果でアライズハートの素材になっているユニコーンやオーガと入れ替わる形で盤面にモンスターを供給しながら素材になれるため、攻防一体のリソース源としても使うことが出来ます。
・クシャトリラ・プリペア
オーガ不採用、もしくは2枚以上採用している型の構築でもあまり見ないカードでしたが、バースと違いこのカードはXモンスターを特殊召喚出来ます。
アライズハートが突破された際、このカードがあればティアクシャ、もしくはスケアクシャで除外することで即座に盤面に復帰出来ます。
フリーチェーンで開ける永続罠という点も優秀で、ピュアリィXモンスターのメモリー追加効果を最大2回阻害出来たり、ラビュリンスに対しても時の任意効果に無理やり挟まる、罠主体なため追加効果のハンデスが狙える場面が0ではないことを踏まえると、対面によっては優先的にサーチすることもありえます。
上記罠は当然2枚ともクシャトリラ名称なので、各種コストにも使用出来るため無駄が少ないです。
EX
・真紅眼の鋼炎竜
以前から入っていたカードですが、明確な役割としてETEDに入ったときの詰めの一手、特にサイドとの兼ね合いで真価を発揮します。
特にピュアリィ戦で魔封じと合わせることが出来ている場合、マイフレンドの発動まで待って魔封じを発動するとライフ差を詰めつつ動きを阻害出来るので、ターンが返ってくる可能性が高くなります。
・旧神ヌトス
ひと際目を引くのがこのカードだと思います。
前提として壺で除外する以外に使い道はないですが、アライズハートが素材にすることで無力化された場合や剥がされた場合でも盤面に触ることが出来たり、一度素材にしておけばスキルドレインも破壊出来ます。墓穴で無効化されても今度はまた除外からアライズハートが素材にすることが出来たりと器用に立ち回れます。
ウィンドペガサスやスカルナイト、スカルワゴンといったカードでも同様のことは出来、かつそれらは自身の効果で除外にいくため使いまわしが効きますが、場面に応じた行動をタイムラグなく即座に選べるのはヌトスのみなので優先しています。
(豆知識ですが、ビッグアイでシンクロモンスターを奪った際に攻撃出来ないビッグアイをシンクロと合わせてこのカードに変換したりも出来ます。)
ヌトスが除外されている場合は積極的にアライズハートの素材にしていき、抑止力としてなるべく素材から外さないよう立ち回ることが重要です。
・展開パターン
ここではアライズハートにたどり着く展開パターンを、知っている方も多いと思いますが確認のためのメモとして書いていきます。
・2枚初動
パライゾス+オーガ以外のクシャトリラモンスター
ユニコーン+ライズハート
ライズハート+バースorパーピヤス
ユニコーン+バースorパーピヤス
他上記に繋がるカード全て(増援、テラフォ、壺など)
例外
ティアクシャ+バース→ティアクシャ通常召喚②の効果でユニコーンが落ちた場合のみ
・3枚初動
オーガが絡むパターンは原則3枚初動です。また、オーガが絡んでユニコーンと魔法が絡まないパターンではニビルとティフォンはケア出来ませんがアライズハートは成立します。
ただし、特定の同名が被った場合は不成立となり、ティアクシャの落ちが絡む下記のようなパターンは不確定となります。
ライズハートorオーガ+ティアクシャ+スケアクシャ
→ティアクシャでクシャトリラ名称が落ちれば可
・サイド
サイドチェンジは対面によって変える部分よりも、先攻か後攻かによって変える部分が大きくなります。後攻になった場合が特に苦しく、たとえ環境的に弱くても冥王結界波や拮抗勝負といったピーキーな捲り札に頼らざるを得ず、柔軟な対応がしにくいです。
考えるべき点として、こちらの先攻が確定の場合に抜くカードの筆頭が増G、後攻の場合は指名者になります。
理由としては、こちらが先攻の場合は抹殺の指名者で抜く以外の用途で増Gを使うことはありません。アライズハートが立っている場合にはうてず、立たない場合は負けがほぼ確定します。また初動にも展開札にもならない上にデッキ内のほとんどが組み合わせ初動のためパーツを減らすことも出来ない関係上抜けるのはここのみです。
後攻の指名者に関してはまず相手の盤面を捲くってからスタートになるので、誘発まで気にする余裕はないからです。展開を許した挙げ句スタンバイにGを即投げされるようなことがあれば素直に負けを認める他にありません。
サイドチェンジの主なパターンを挙げておきます。
先攻確定の場合
in→魔封じ×2、神宣×2、センサー
out→増G×2、アトラクター×2or強金、プリペア
後攻確定の場合
in→ラヴァゴ×2、冥王×2、拮抗×2
out→うらら×2、墓穴×2、抹殺、プリペア
罠デッキ対面
in→羽根、コズサイ×2、リブート、拮抗×2
out→墓穴×2、抹殺、強金、泡影×2orアトラクター×2
その他細かい部分は対面によって変えますが、交換するカードは概ね決まっているので、制限時間が迫っていても焦らず対処出来るのはある種の強みかもしれません。
・総評
ここまで書いてきましたが、「クシャトリラというデッキ」、というより「アライズハートを出すだけのデッキ」、といった方が適切でしょうか。
逆に言えばそれだけ現環境においてアライズハートがゲームに与える影響は大きく、アトラクターを使えることも踏まえて、対環境という側面だけ見れば使う意義も多少見えてきます。罪宝ギミックやホルスといった新デッキに対しても強く出れるのも利点として挙げられます。
しかし後攻が非常に不利であったり、事故率の高さ等懸念材料は多々ありますが、かつての弱点であったニビルやドロバといったカードをあまり気にする必要がなくなったのも、フェンリルが禁止となり構築やプランを1から見直すことが出来た所以だと思います。
ティアクシャ以外これ以上規制がかかることもないと考えていますがそれも代替案はあるので、これから長く、それなりに使っていけるデッキとして、選択肢の一つとして考えてみるのはいかがでしょうか。