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Difficult Patient(Family) Encounter
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Difficult Patient Encounter(DPE)とは
医療従事者側からみて、対応に難渋する(困難さを自覚する)患者さんって、少なからずいらっしゃいますよね。もちろん程度や場面にもよると思いますが。他の患者さんと比較して多くの時間と労力を必要とし、時に診療にも影響してしまいます。
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DPEの3要素(Fam Pract Manag. 2007)
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DPEになってしまうリスクとして、患者因子だけでなく、環境や医療者側の要因もあります。
どうやら「リスクがありそうな」患者であると認識することも必要ですし、環境要因や医療者側の要因については工夫とスキルでリスクを可能な範囲で減らすことが重要です。
患者因子
元来のキャラクター、パーソナリティ、身体症状症を有するといった背景の他、予約外受診が多いなどの受診行動、致死的な疾患に罹患する・死別などにより悲嘆に暮れている患者やその家族は、対応に「困難さ」を感じる可能性があります。「失点を重ねないよう」少し意識して対応するのが賢明でしょう。
環境因子
突然Bad-News(がん、致死的な状態、侵襲的な治療etc)を伝えないといけない状況は、患者および家族にとっても、医療者にとっても非常にストレスです。それなのに十分に準備されていない(時間がない)状況で病状説明を行うことがリスクになることは理解しやすいでしょう。せめて静かなでプライバシーが確保できる環境で、「適切な」キーパーソンを同席して(この適切というのが難しい…)行われることが理想です。
医療者因子
「やっかいな患者・家族」だなぁと思うことそのものも、自己防衛的になりすぎたり、陰性感情がより独断的な反応につながってしまうこともあります。また疲弊している状況は円滑なコミュニケーションをさらに困難なものにしてしまいがちです。
まずはネガティブな感情や状況であることを認識し、冷静になることが大事です。なにより悪い状況を避けられるよう、十分な休息がとれることや周囲の配慮が重要かもしれませんね。
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困難なコミュニケーションを円滑に行うためのスキル
難しい相手、状況では、特別頭を使って対応するよりも、決まったスキルを活用する方が安全・確実です。
Bad-Newsを伝えるときのロードマップ“SPIKES”
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特に以下のスキルは重要だと考えています。
Warning shot(警告、前置き)
「とても大事なお話です」「かなり状態がわるいようです」
など、これから話すことがBad-Newsであることを意識させる
Headline(見出し)
新聞の見出しのようにシンプルでわかりやすい表現を用いる
必要以上に婉曲しない
沈黙
重い話をした後に、飲み込む時間や気持ちを吐き出す時間を作る
相手の感情に対応するスキル “NURSE”
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R,S,Eはそれなりに練習が必要かなと思いますので、まずは
「命名と共感」を意識してみましょう。
仮に問題のある行動が認められたとしても、「(その行動はともかく、そうするに至る)あなたの感情は正当なものです」と口に出して伝えることは重要です。
コミュニケーションが難しいなぁと思った時には、相手に関心をもったり共感すること自体が困難かもしれません。そうした時には「どうしてこのような反応を示したのだろう」と少し分析的に相手を観察することをお勧めします。より冷静になれますし、より楽に相手の感情に対応することができるようになります。
The Daughter from California
遠方に住む親族が
急に病院にやってきて
いままでに決めてきた方針を大きく転換させてくる(ちゃぶ台返し)
その背景には「会えない時間が育てた愛・罪悪感」のようなもやもやした感情があるのかもしれません
ハイリスク(現状をよく知らない 遠方のキーパーソンの有無)があるかどうかを確認しておくことは重要ですが、案外家族関係というのは複雑で入院時にすべてを把握することは難しいです。ケアマネージャーが把握していることもあれば、全く予想しないタイミングで「新たな家族」が出現することもしばしばあります。
すべてのカリフォルニアから来た娘が問題になるわけではありませんが、例えば以下のような心理的な背景があるのではないかと考えながら対応します。
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一人では戦わない
それでもなお、対応に難渋することはあります。
決して一人で戦うことはせず、組織として対応にあたること、恫喝・脅迫・暴力行為には厳しく当たること(110番☎️)を忘れないように。
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コミュニケーションはスキル
特に患者の感情(Affect)を要約し、その感情を正当化(Empathy)
することは重要であり、それだけでCureになりうる(≠行動の正当化)
上記だけでも繰り返し練習して、実践していただければと思います。