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メニューが親子丼しかない店「鳥岩楼」でのスマートな体験

もうすっかり秋の気候ですね。この夏はどこに行くにも汗をかいて大変でしたが、これくらいの気温だとどこにでも行けて、疲れもあまり感じずに過ごせるので快適です。そんな季節にぴったりな、ぜひ行ってほしいお店があります。

今回の【勝手に分析!Good CX】では、京都の親子丼の名店についての素敵な体験をご紹介します。


京都の西陣にある親子丼の名店「鳥岩楼」

先日、京都にある親子丼の名店「鳥岩楼」に行ってきました。創業が1945年という老舗で、親子丼だけを提供していると聞き、どんなお店でどんな体験ができるのか気になり、ずっと行ってみたいと思っていました。

予約はできないため、並んでいたらどうしようと少し不安になりつつ到着。お店の前は京都らしい町屋の雰囲気で、並んでいないのを見てほっとしましたが、中に入ると待合室には10人ほどの先客が。少し落ち込みましたが、数分後には自分たちも含めた10人ほどがまとめて呼ばれ、待ち時間は少なく入ることができました。靴を脱ぐ場所もみんな自由に脱いでいて、趣のある空間でありつつも肩肘張らない雰囲気がとても居心地がよかったです。


注文していないのに親子丼が!

店員さんに呼ばれると奥の座敷へ案内されました。その途中には庭があり、京都の昔ながらの家にお邪魔しているような気分になり、期待を抱きながら移動しました。案内されたのは、低いテーブルに座布団が敷かれた場所で、ここも家のような落ち着いた雰囲気です。

席に案内されてからはメニューなどの案内は何もなく、待っていると鶏がらスープとお漬物、そして親子丼が運ばれてきました。「注文したっけ」と思うほど自然な流れで出てきます。味はもちろん絶品で、親子丼好きにはたまらない一品でした。鶏がらスープも美味しく、体に染み渡るような味わいです。これ以上はグルメレポートになるので控えます。

自動で出てきた親子丼たち、よすぎ


お会計は1000円札一枚で

親子丼を食べ終わると、次の人が待っているので名残惜しくお会計へ。すると、「1000円になります」とだけ言われ、少し呆気に取られました。このご時世に、1000円でこんなに美味しい親子丼が食べられるとは。また、こんなにキリの良い金額でスマートに支払いが済むことに、「こんなにスムーズでいいのかな」と少し不思議な感覚を覚えながら店を後にしました。逆に言えば、普段はお会計に手間取ることが当たり前になっていることに気づかされたのかもしれません。


シンプルな体験の良さ

このお店での体験は、もちろん親子丼が美味しかったこともありますが、それ以上に入店から食べ終わるまでの流れが多くのお店にあるような選択肢がなく、体験全体として無駄がなくスムーズだったことが印象的でした。その鍵となるのが、メニューが親子丼だけ、そして値段が1000円ちょうどというシンプルさです。

メニューが一つだけだと、選ぶ手間が省けて、お店の「これが自慢の一品です」というメッセージを強く感じます。優柔不断な私にはこの潔さがありがたく、「じゃあ、親子丼を味わおう」と思わせてくれます。もちろん親子丼(メニュー)が美味しいことが前提ですが。

また、1000円ぴったりという価格設定もありがたいです。小銭のやり取りや割り勘の煩わしさを気にせず、スムーズにお会計できるのは気持ちが良いです。もちろん最近はコード決済やクレジットカードもありますが、親子丼に対して1000円札を一枚渡すという状況が、すごく純粋なサービスのやり取りを実感できる体験でした。(次に行く時は、1000円札だけポッケに入れて食べに行こうと思います)


まとめ

初めて訪れる前は「ちょっと高級でゆっくり食べるお店なのかな」と思っていましたが、実際は、店に来て出てきた親子丼をサッと食べて帰る、そんな気軽さがこのお店の魅力であり、提供価値です。コンパクトでミニマムながら質の良い体験ができるお店だからこそ、近所の人でも軽く食事を摂りたい人でも、観光客でも、ここでお昼を食べることで午後から有意義に過ごすきっかけになるのではないでしょうか。そのためのシンプルな体験設計だからこそ、お店の売りである親子丼そのものが際立ち、リピーターが増えるのも納得です。

次もまたこのシンプルで美味しい体験を求めて訪れたいと思いました。親子丼好きで、京都で美味しいお昼ご飯を食べて1日のブーストをかけたい方は、ぜひ一度行ってみてください。

(執筆者:デザインリサーチャー 梅田郁美)


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