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リフレームによる新しいビジネスの機会領域探索

新商品・新サービスを考える上で、これまでにはない発想を導き出すには
「自分がどのようなバイアス・フレームで物事を考えているか」を把握す
ることが大切です。バイアスを捉え、リフレームしていくための切り口と
して「顧客」「ビジネスモデル」「トレンド」があります。それぞれの視
点から新しいビジネス機会を探索していくアプローチについて解説します。


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顧客からホワイトスペースを考える

現行のユーザーを見て、それをセグメンテーションしていくということは、
成長市場ではよく取られる戦略だと思います。ただ、「今持っている知
見」でセグメントを分けると、枠を狭めてしまうことになります。結果、
ニッチなニーズにフォーカスしたり、枠の外にある大きな機会を見逃すこ
とになります。

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よく持ち出す例としては2008年の携帯電話の調査結果。今後のガラケー
の形状・操作性について既存ユーザーを細分化している間に、アップルは
iPhoneによってまったく新しい世界を切り開きました。

顧客の視点からホワイトスペースの切り口を見つけるには、従来の枠の中
で細分化して顧客を定義するのではなく、企業が考える枠の外の切り口で
顧客を捉えなおすことで、もともと考えていなかったユーザー・ニーズに
着目することが必要です。顧客をリフレームする方法としては「顧客理解
のフォーカスとスコープを変えること」です。

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NIKE+は顧客を「靴を買う人」から「ジョギングをする人」に顧客理解の
スコープを広げ、靴だけでは解決できなかった未充足ニーズを捉えました。
一方、QBハウスは「理髪店・美容室に行く」という1つの行動を細分化
して「髪を切る」ポイントだけにフォーカスを狭めて成功しています。

顧客ライフサイクル全体を捉える視点も重要です。商品を購入するところ
に目がいきがちですが、その前後には様々なフェーズがあります。メルカ
リはそのライフサイクルを捉えたユーザーエクスペリエンスを提供してい
ます。


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ビジネスモデルからホワイトスペースを考える

あるビジネス領域での事業を考えるとき、たいていはその領域で事業を
行っている競合企業の存在があります。そして、そのビジネス領域では、
すでに重視されている要素(既存ニーズ)が明らかで、その中で差をつけ
ようと企業努力をしています。例えばレンタカー業界というビジネス領域
では、車種・利便性・価格・スピードといった要素が代表的な要素として
挙げられます。

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しかし、このような「既存の差別化要素」でビジネスを考えている間は、
競合他社と競争軸が変わらないのでホワイトスペースに達することはでき
ません。同じ土俵で勝負しても力比べになるだけです。そのためそのビジ
ネス領域において競合企業がどのような要素で勝負しているのか、逆に競
合企業が勝負をしていない要素は何か、を網羅的に理解し、その業界にお
けるビジネスの既成概念(バイアス)を洗い出すことで、隠れた機会にた
どり着くことができます。

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フレームワークを使って網羅的に業界のバイアスを洗い出す1つの手法と
して、イノベーションコンサルティングファームのDoblin社が開発した
「Ten Types of Innovation」というフレームワークがあります。

例えば、あるビジネス領域の3社を分析した結果が図のようになるとした
ら、オレンジの破線で示す「競合他社と勝負して差別化になりうる機会」、
もしくは青の破線で示す「勝負しないことが差別化になりうる機会」が見
えてくる、というものです。

これは新事業開発に限らず、既存領域での商品開発でも有効です。「新し
いコンセプトの商品を考えないといけない」というときは、自分・自社の
中にあるビジネス領域の既成概念(バイアス)を視覚化し、どこに、どれ
だけ偏っているかを一度確認しておいたほうが、その後に発想するコンセ
プトも効率的に発想できると思います。


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トレンドからホワイトスペースを考える

近年、スタートアップの活性化により毎年さまざまな製品・サービスが登
場しています。その製品・サービスがフォーカスしている課題やアイデア
の着想は、新事業テーマやホワイトスペースを考える上で発想の刺激にな
ります。

今回は異なるカテゴリから3つの2017年のサービス事例をピックアップ
しました。

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「日陰」しか通らない、日よけルート検索アプリ「inshade」/ 引用元 http://inshade.adriablue.jp/

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手の震えを相殺する腕時計型デバイス「Emma」 / 引用元
https://news.microsoft.com/en-gb/features/how-a-watch-helped-emma-write-again/

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食品の無駄をなくして、お店の味を多くの方に「Reduce GO」 / 引用元 https://reducego.jp/

さまざまな業界からピックアップした事例をもとに共通点を探してみます。
いかがでしょうか?例えば1つの仮説として「一時的に弱者・ビハインド
になるタイミング」にフォーカスしている点が共通点として挙げられます。

その共通点を自社製品・サービスに展開して考えてみることで、新しい発
想が得られるかもしれません。ポイントは、自社の業界だけ考えずに、業
界を超えたトレンドを捉えることです。

重要なことは従来の考え方とは視点をずらす「リフレーミング」を行うこ
とです。自分の中、業界の中で暗黙の前提になっている支配的な現実の見
方、ルール、規範を意図的に超えることで、これまで検討してこなかった
次元の解決策を導き出すことができます。

最後に

前述しましたとおり、リフレーミングするには「自分がどのようなバイア
ス・フレームで物事を考えているか?」に気づくことが大切です。多くの
場合、普段の自分でいる時間よりも、新しい刺激を受けている時間のほう
が気づきやすいです。そのため、悶々と同じ環境で考えるのではなく、誰
か新しい人と話したり、新しいアプリ・サービスに触れたりすることで、
自分の発想にはなかった考え方を取り入れていきましょう。

もし「なぜ私は物事をこのように考えていたのだろう?」という疑問にた
どり着ければ、それは自分のバイアス・フレームに気づくことができた瞬
間です。そこから新しい切り口を見つけることができるはずです。

お忙しい中、最後までお読み頂きありがとうございました。
今回の記事について、またその他にもご質問・お問い合わせございましたら、お気軽にコメントください。

株式会社mctについて

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mctは、世界が認める最新の手法、人々に感動を与える創造力、そして障害を乗り越え、実行するチームづくりを通じて人間中心イノベーションのお手伝いをしています。

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