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Blog|書籍紹介『ワークスタイル・アフターコロナ』「働きたいように働ける」社会へ

こんにちは、mct 組織デザインユニットの景山です。

6月25日(金)に、PLAYFUL NetWorkのオンラインミートアップ「Future Work Styling!」を開催いたします。開催に先駆け、本日から3回にわたって、同イベントに御登壇する3人の方が書かれた著書の概要と、25日のイベントの見どころ・聴きどころをご紹介させていただきます。

1回目は、関西大学社会学部教授・松下慶太先生が2021年3月に上梓された書籍『ワークスタイル・アフターコロナ』の紹介をいたします。

『ワークスタイル・アフターコロナ』概要

この著書は、新型コロナウィルスが世界中に影響を及ぼした2020年以降、ライフスタイルやワークスタイルがどう変わっていくか・どう変えていくべきかを論じた一冊です。

プロローグ「コロナ禍で『ライフスタイル』はどう変わったのか?」で、ワークスタイルを「やっかいな問題(解き方も正解も不明で、客観的な判断もできないもの)」として捉え、さらにその問題を、関係者が前向きに向かっていけるような「課題」として設定することが必要と述べられます。第1章の「『リモート・ネイティブ』はどんな世界を生きているか?」で、Z世代、デジタルネイティブと呼ばれる世代の人たちを今後、「リモート・ネイティブ」として捉えることの重要性と、彼らが生きてきた時代背景、特にインターネットとモバイルメディアがもたらした変容による価値観への影響が紹介されます。

続く第2章「『オフィス』はどこになるのか?」では、コロナ禍がもたらした「WFH(Work from Home)」が私たちのワークスタイルに与えた影響にフォーカスを当てた議論が展開されます。ここで述べられるのは、オフィスの役割として「井戸的なもの」から「焚き火的なもの」が今後重視されるということです。つまりオフィスは、井戸に水を汲みに行くように「しっかり作業をする」ための空間から、焚き火を囲んで話をするように「社員同士のコミュニケーションを誘発し、関係を深めたりする」ための場へと変容していくことが求められます。こうした変容の背景には、働き方も「PBW(Plase Based Workplace)」から「SBW(Style Based Workplace)」への変容があり、働き方によって自分が働く環境をどのようにつくるのかに関与できる/せざるをえないようになった、と述べられます。

第3章「『通勤』と『会議』に意義はあるのか?」では、コロナ禍が変えたワークスタイルの典型例「通勤」と「会議」について議論がなされます。例えばコロナ以前、私たちが当たり前のものと捉えていた通勤や訪問先への移動といった「余白」が失われることで、それが持っていた潜在的機能(インフォーマルな人間関係の形成など)が浮き彫りになりました。オンライン主体になったコロナ禍以降では、こうしたインフォーマルなコミュニケーションをフォーマルな時空間や文脈の中に組み込んで設計していくことが求められるであろうと著者は予測します。

第4章「『テレワーク』と『ワーケーション』は広がるのか?」では、自宅からのテレワークが余儀なくされるような「WFH(Work from Home)」から、自分にとって快適な場所から主体的・選択的に働く「 WFX(Work from X)」へと進めていくチャンスとしてコロナ禍が捉えられます。生産性という指標をあらためて検討しつつ、時間的アプローチと空間的アプローチを組み合わせる働き方改革が、アフターコロナにおいて主流になっていくだろうと著者は述べます。

4章の後半では「ワーケーション」がテーマとして取り上げられます。本書ではワーケーションを「ワーカーが休暇中に仕事をする、あるいは仕事を休暇的環境で行うことで取得できる休み方であり、働き方。また、仕事に効果があると考えられる活動」(P178)と定義し、前述のWFXの一例であるとされます。ワーケーションの四分類が行われたり、ワーケーションが地域・企業・ワーカーそれぞれにもたらすメリット等が、事例を交えて語られます。そしてワーケーションの浸透に向けた課題が紹介されたのち、ワーケーション2.0に向けた「3つのH(Henjin(変人)/Hack(ハック)/Hospitality(歓待))」をクリエイティブ都市と比較して地域が魅力として提示することで、ワーカーや企業にとってもワーケーションは価値が高いものとして有効になるだろう、と述べられます。エピローグでの「働きたいように働ける社会」を私たちがデザインしていこう、という主張とともに本書は締めくくられます。

mctは本書をこう読みました

mct・組織デザインユニットのメンバーは、この本が出版される前の昨年9月末に、リモート合宿を実施しました。その時に感じたのは、「心配していたよりも、オンラインでコミュニケーションや意思疎通は図れる」ということと、「オンラインでつながって議論している時間はいいが、ランチなど離れる時間、オフラインの時間の過ごし方が難しい」ということでした(より詳細な内容と感想は以下の記事をご参照ください)。

こうした経験も踏まえて同書を読んでみると、私たちが行ったリモート合宿は「ワーケーション」の中でも「Vacation as Work(休暇的な環境で仕事をする)」の要素が強いことがわかったり、mctにとって最適で、最もPlayfulな働き方は何だろう、とチームみんなで考えることにつながったりと、多くの学びを得ることができました。個人的には、自分も周りの役に立てるようなHenjinになりたいし、自分以外のHenjinを受け入れられるようなHospitalityのある人になりたいと思いました。

6/25(金)はさらにアップデートした議論をお届けする予定です
6/25のオンラインミートアップ「Future Work Styling!」では、mctでの実践例や、合宿から1年弱経って新たに思うことなどをご紹介しつつ、松下先生、同じく御登壇予定の上田信行先生、田中聡先生や皆様と、議論をアップデートしたいと思っています。きっと楽しい会になるので、関心がある方はぜひご参加ください。

Future Work Styling!の概要は以下からPDFのダウンロードをお願いいたします。

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株式会社mctについて

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