ローカリゼーションを変化させる3つのトレンド
言語サービス市場の急速な変化は、ローカリゼーションのビジョンや戦略、ビジネスモデル、ワークフロー、ベンダー管理、自動化技術の導入など、言語サービスを利用する企業に、あらゆる側面で影響を与えています。言語サービス市場の動向を常に把握しておくことは、LSP(言語サービスプロバイダー)やテクノロジーベンダーにとってだけでなく、それらのサービスを利用する企業にとっても欠かせません。
CSA Researchのレポート”The Language Services Market (2021)”では、以下の4つの項目で、言語サービス市場についての最新動向と、それに基づくアドバイスを提供しています。
このレポートの中で、言語サービスを利用する企業にとって特に重要になるのが「3.市場を変化させる3つのトレンド」です。
トレンド1:データ駆動型言語ソフトウェアの登場
データ駆動型言語ソフトウェアの登場によって、今後ますますLSPやそのサービスを利用する企業は、言語ソフトウェアやコンテンツ管理技術への依存度を高めていきます。ただ、これは機械が人を追いやるということではありません。担当者は、プロセスの分析や機械の訓練など、重要な役割を果たすようになっていきます。将来的にあるべきワークフローは図のように、翻訳プロジェクトの中核に人間を配置するハイブリッドモデルになっていくと考えられています。
トレンド2:機械学習から得られるビジネス機会
LSPやテクノロジーベンダーはすでに、自社のシステムを流れるコンテンツを匿名化し、そのデータを合法的に活用することで、自然言語処理や書き言葉/話し言葉を理解するための様々なサービスを生み出しています。その能力を他言語への翻訳や通訳だけではなく、マーケティングやビジネス分析、顧客サポートなどに活用することで、LSPやテクノロジーベンダーは、顧客にとってより戦略的な役割を担っていくようになります。
トレンド3:翻訳・通訳の先にある進化
これまでほとんどのLSPが、最高の品質、カスタマイズされたソリューション、卓越したサービスという古典的な項目で差別化を図ろうとしてきました。しかし、それらは競争に勝つための前提条件でしかなくなります。言語を中心としたサービスから、より高度なビジネスサービスへと移行し、より戦略的な役割を果たせるかどうかが、言語サービス市場での差別化のポイントになります。LSPやテクノロジーベンダーは、大きくはKPO(ナレッジ・プロセス・アウトソーサー)とGCSP(グローバル・コンテンツ・ストラテジー・プロバイダー)という2つのカテゴリーに進化していきます。KPOまたはGCSPになるためには、LSPは高度な技術的ソリューションやデータ駆動型の機能を導入する必要があります。また、現在のスタッフの再教育や必要に応じた新規採用、そしてマーケティングプランの大幅な見直しにもリソースを割く必要が出てきます。
これら3つのトレンドは、言語サービスを利用する企業にとって、短期的な効率のためにLSPに従来の品質やサービスを求めるのにとどまらず、中長期的な視点で、自社のローカリゼーションを進化させるために、どのようなLSPやテクノロジーベンダーを選定し、その能力をいかに活用するかが鍵になる、といった示唆を与えてくれます。
CSA リサーチの「リサーチ&アドバイザリ for ローカリゼーション」は、グローバル マーケティング/ローカリゼーションを推進するご担当者様が、今回ご紹介した”The Language Services Market (2021) ”を含む約500 本のレポートをご利用いただける年会費制のサー ビスです。
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