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Memory of Mr. YT/高橋幸宏さんの思い出

ここ10数年、好きな現役ミュージシャンは不動;
ポール・マッカートニー、高橋幸宏、リンゴ・スターと。
この3人だけはアルバム、ライブ、イベントがあればとにかく駆けつける!って感じ。

一番若い幸宏さんが一番はじめにいなくなってしまうなんて考えもしなかった。
というか、いなくなってしまった実感もない。
細野晴臣さんがおっしゃる通り「感情は死を拒絶し理性は受け入れる」。

私が高橋幸宏というミュージシャンを知ったのは2009年だから、サディスティックミカバンド・YMO・多くのユニットやソロと長いキャリアを持つ幸宏さん、そのファンにとっては新参者で、その凄さや功績を語るには無知すぎるので、いっぱいの敬愛を込めて幸宏さんを追いかけた時間の思い出を日記のように書いてみる。

出会い

幸宏さんとの「出会い」は、2009年のフジロックだった。
毎年通っていたフジロックで、友達に連れられるままに観たホワイトステージ。
雨上がりの夕暮れに登場した幸宏さんのBlue Moon Blueが、苗場の自然に溶けていく情景に、心を奪われた。
フジロックの魅力の一つは、音楽と自然との調和だと思っているのだけど、それを魔法のような空気で体現してくれたのが幸宏さんだった。

優しい複音のボーカル、繊細なエレクトロニカの音、細かくも力強いドラムのビート、なにもかもに圧倒されて、「高橋幸宏」という名前が脳裏に刻まれた。


CD・ラジオ、加藤和彦さん

フジロックから帰ると、とにかく「高橋幸宏」を探した。
インターFMの持ち番組は当然毎週聞いたし、メールも何回も送った。
過去カタログは、あまりにも多かったので少しずつ中古店なんかで買い集めた。

ミカバンドの黒船にたどり着く頃、加藤和彦さんが亡くなった。

たいして知りもしないのに、ショックだけは大きくて、反動でミカバンドを追いかけるようになった。オリジナルミカバンドと直近のミカエラバンドの国籍不明なロック感が特にカッコよく聞こえて、CDを繰り返し聴いたり、ミカエラバンドのライブ&ドキュメンタリーDVDを何回も見返した。
加藤さんや幸宏さん、近しい同世代のミュージシャンたちの、「軽井沢」への郷愁は、ここから学んだ気がする。


ワールドハピネス、pupa・ymo

幸宏さんがキューレターを務める音楽フェス、ワールドハピネスももちろん毎年行った。
もちろんっていうか、友達の誘いがあったから毎年一緒に行った(笑)
「ymo」が出演することの貴重さも、彼らがやってきた音楽のコンセプトも全然理解していなかったけど、幸宏さんと細野さんと教授のライブ演奏はめちゃくちゃタイトでカッコよくて、ユーモアが効いてて大好きになった。観客が歓声を上げる曲の有名さも、テクノな原曲も知らないまま、ライブバンドymoのトリコになった人はあまりいないかもしれないけど、本当に好きだった。

幸宏さんを追いかけ始めてからリリースされた新作は、ソロアルバムout thereとか、ユニットpupaで、私の中では高橋幸宏=優しいエレクトロポップのイメージが強い。



細野さん、METAFIVEとか

60才祝いとかASHで過去を振り返る活動が強めになった頃、プライベートな事情もあって、何でもかんでもは追いかけなくなっていた気がする。
それでもトークショーとか、METAFIVEとかナマイベントには極力参加した。

特に細野さんとの絡みは大好きで、青山Cayでの細野さんの不定期ライブに幸宏さんが現れた日とか、幸宏さんのトークショーに細野さんが来られた日とか、あの空気感は一生忘れないと思う。

そして、幸宏さんの体調不良とオリンピックのゴタゴタなんかで3人での出演になったフジロックMETAFIVEが、不在メンバーの魂も乗せて、必ず帰ってくるっていう決心の凄味を感じるライブだったことも忘れないと思う。
pupaもMETAFIVEも、自分のフォロワーたちと新しい音楽を本気でキュートに創れるのは、幸宏さんの人柄ならではなんだろうなあ。SNSを通じて感じる、フォロワーたちの幸宏さん喪失への想いが一際哀しい。



普遍と永遠

線が細くて、繊細におしゃれで、控えめな発言が多い幸宏さんだけど、「あと何回クリスマスがあるかな」なんてセリフも、あと何十回も聞けると信じて疑わなかった。
自然に、空気に調和するあの声の主がいなくなってしまったなんて、やっぱり信じられない。

ローリングストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツが亡くなった時に、幸宏さん自身が「残っている全ての音が普遍の宝物」とおっしゃってた。幸宏さんの音楽も同じだ。

細野さんもご自身のラジオで幸宏さんのことをこんな風におっしゃってた。
「幸宏はスターですね。ハリウッドのスターたちの映画は永遠に生きる。音楽もそうだと思う。人生一生を終えた後に、永遠になる。そういう宿命がある。だから、いなくなったわけではないんですね」

音楽が聴き継がれる限り、幸宏さんはずっとここにいる。
願わくは、みんなを繋いだキャラクターと共にずっと一緒にいてほしかったけど、生んでくれた音楽、すべての創作に感謝を込めて。

トークショー、細野さん出演回📷



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