引越し嫌いの引越し物語〜3年住んだ世田谷編〜

世田谷区の某所に3年と少しの間住んだ。
先日、以前住んでいたアパートの取り壊しの連絡が来て引っ越しが決まり、都内でも下町寄りの地域に住んでみることにした。



私が世田谷に住むことになった理由。

それまでは、都内でもかなり郊外の地域で暮らしていた。大学2年生の頃に入居した1Rの女子寮が、卒業間際のタイミングで管理会社が変わり、誰でも入居できるただのマンションになった。という訳で大学を卒業しても退去しなければならない理由がなくなったので、しばらくの間そこに住んでいた。家賃も安かったし。

最寄り駅まではバスで20分、都心へ出るにはさらに電車で40分という距離だったが、社会人になっても職場は最寄り駅の近くということで、電車を使わずとも特に不自由なく生活できていた。が、3年ほど働いたのちに異動が決まり、まさかの職場が通勤2時間超の距離に。
郊外から都心を経て、さらに反対側の郊外へ行くような感じ。

バスという交通手段が必須ゆえに、残業をしてしまうと最終バスを逃してしまうため帰れないという問題が生まれてしまった。
そもそも残業すな、という話は置いておいて、周りに残務を丸投げしたまま自分だけお先に失礼しますというのも気持ち的に申し訳なさが強かった。

そうしてついに職場から、引っ越しもしくは自宅からでもアクセスの良い別の店舗に異動するかどちらかの判断を迫られた。
当時の職場の雰囲気はとても自分に合っていると感じていたし、キャリアアップに向けての知識や技術を学ぶには良い環境だったということもあり、異動ではなく引っ越しを選んだ。



引っ越し先に世田谷を選んだ理由。

・元々利用していた最寄り路線に愛着があった
・都内に出やすそう
・23区内に住んでみたかった(地方出身のため東京に対する憧れが強い)
・どこ住み?と聞かれた時に、世田谷です。って言ってみたかった
・なんかオシャレそう
・閑静っぽそう
・住宅街だし住みやすそう
・当時好きだった男が近くに住んでいてオススメされた
(ちなみにそいつには世田谷に引っ越してすぐに酷いトラウマを植え付けてきたので縁を切った。いろんな意味でマジで後悔してる)

などなど。

男に左右されるのはマジで良くないと当時の血迷っていた自分に言ってやりたい。
縁もゆかりも(ましてや行ったことも)ないような土地も検討はしてみたが、環境の変化に弱い自分の性格上、知らない土地で生活をする自分を想像すると怖くて選択肢からは消してしまった。



世田谷、思ったとおりにオシャレで閑静で、そこら辺の道を歩いてるだけで私オシャレかもという錯覚が働き、謎に自己肯定感が高まるような土地だった。

下北沢〜世田谷代田を散歩した時の写真。オッシャレー


※ここからの内容が世田谷をdisるような文書になってしまう気がするので、見たくない方はそっと閉じていただくとよろしいかと思います。

(ただ、世田谷は悪くないんです、私が良くなかった。私が世田谷に溶け込めなかっただけなんです)



住んでみてうっすらと気付き始めたことがあった。それは自分が極度の方向音痴である、ということである。
引っ越した当時で20何年生きてきて今更かよとは自分でも思うのだが、世田谷区特有の細々と入り組んだ住宅街の道が気付かせてくれた。

入居日を過ぎてから本格的に住む前に一度、キャリーケースと大きなカバンに自力で持って行ける荷物を詰め込んで運びに行った。
最寄り駅を降りて、駅近だし内見の時と同じように行けば家に着くよね〜と楽観的に道を進んだら、どこまで歩いても新居らしきものが見当たらない…。駅から真逆の方向に進んでいた。
真っ直ぐ2-3分歩いて、途中で左折して20メートルくらい歩けばすぐ家なのに。こんな簡単な道すら間違えるのか私は、とちょっとした絶望感を味わった。

さすがに3年も住めば駅までの道のりは覚えた。しかし、いざ隣駅や別方向の市街地に行こうとするともうダメ。「駅じゃない方」の道は結局、世田谷を後にするまで覚えることはできなかった。
目印になるものが少なく、全てが同じような景色に見えてしまったのだと思う。言い訳だけど。

世田谷でなくとも、自分は地図を見ないで目的地を目指すと、何故か逆方向にしか進めないという方向感覚を持ち合わせているということが分かった。

地図アプリの操作だけは上達した。



世田谷に住んだらオシャレなカフェを開拓するんだ!
下北沢でカレー屋さん巡りをするんだ!

と思ったけど、一度も行けなかった。一人でオシャレな店に入る度胸がなかったのである。女1人で浮かないか?自分はそんな店に入っていいようなこなれ感を持ち合わせているのか?店の雰囲気に馴染めるのか?スマートに過ごせるのか?と勝手に自分の中でブレーキがかかってしまった。

近所に美味しそうなコーヒー屋さんがあった。テイクアウトでサッと買ってみようと思ったこともある。常連であろう犬を連れたマダムやオシャレな若者夫婦が、これまたオシャレな店員さんと店先で仲良さそうに世間話をしているのを見て、あぁ、私はこのコミュニティには入れない…と、尻込みしてしまった。
その日は隣のセブンイレブンでアイスコーヒーを買って帰った。

友達も作れなかった。近所の友達がいれば、そんなオシャレなお店にも入れたんだろう、そうだったらそのうちオシャレ免疫が付いてたのかな、なんて今でも思っている。


近所のバーに入ってみようと思ったことがある。入口の看板に「初心者さんも、おひとりでも、お気軽にどうぞ!」と書いてあった。ここなら入れそう。お酒が入れば少しは誰かと仲良くなれるかな。
でも一応…と、そのバーのことをネットで検索してみた。確かその店のインスタが出てきたと思う。
パリピみたいな若者達が何十人と酒を持ってウェーイしている写真が真っ先に出てきて、バーに入るのはやめた。

それならばネットで友達を作ろう!とTinderに登録したこともある。ヤリモクしかいなかった。そりゃそうだ。
Tinderで知り合って1人だけ会ってみた人がいた。新宿に住んでいる歳上のおじさん。経歴が特殊で話す内容も文面も面白かった。
悪い人ではなかったけど、何かあった時のリスクを考えたら2回目は会うの怖いなと思って疎遠になってしまった。

学生時代から薄々気づいていた、人見知りさ、内向的さとシンプルに方向音痴であるという事実が露呈した3年間でした。
世田谷は悪くない、自分がもう少しラフに生きれたらなぁ。

大人になって出来る友達、憧れる。

なんだか凄く暗いオチになってしまったけれど、それもそれで私にとってはいい経験だったし、沢山気づきがあったことは間違いないはず。

さて、この記事の中で、私は何回「世田谷」と言ったでしょうか??

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