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ねこでも読める医学論文 第30話「パーキンソン病患者に対するプラセボ効果 ~高価なプラセボvs安価なプラセボ~」
地域医療ジャーナル 2021年3月号 vol.7(3)
記者:ph_minimal
薬剤師
はじめに
ひきつづきプラセボネタです。なんと「高価なプラセボvs安価なプラセボ」です!効果に違いはあるのでしょうか!?さっそくねこ薬剤師にバトンタッチ!
ねこでも読める医学論文 第30話「パーキンソン病患者に対するプラセボ効果 ~高価なプラセボvs安価なプラセボ~」
みに丸「ボス~、ちょっといいですか?」
はかせ「あいよ。どしたの?」
みに丸「『安い薬は品質が悪いから効かない!私には先発品の方が効く!』てジェネリック医薬品を拒否する患者さんがいたんですけど…」
はかせ「ふーん、まあそういうこともあるかもね」
みに丸「えっ!?安いから効かないって!?」
はかせ「いやいや、そういうことじゃなくて、『安い薬だから期待が薄れて効果が落ちる』っていうことはあるかもしれないなと」
みに丸「ああ、そういうこと。もしかしてそういう研究もあるんですか?」
はかせ「うーん…、どうだろう。ちょっと調べてみようか」
みに丸「おっ!ボスが文献を探そうとしている。どうやって探すのか盗み見てみよう!」
はかせ「いや…、盗まなくてもふつうに教えるけど」
みに丸「どうやって検索するんですか?やっぱり専門的なデータベースとかで調べるんですか?」
はかせ「いや…、Googleだけど」
みに丸「えっ!?」
はかせ「PubMedみたいな医学論文の無料検索エンジンも有用だけど、Googleでもある程度は探せるよ」
みに丸「ちょっとやってみて!はやく!」
はかせ「上司を急かすんじゃないよ、まったくもう…。まずはGoogleを開くだろ。検索ワードは何にしようかなぁ…。『placebo effect expensive randomized』で検索してみるか」
みに丸「その心は?」
はかせ「まず調べたいのは『プラセボ効果(placebo effect)』だろ。で、薬の値段で効果が変わるのかが知りたいわけだから、『高価(expensive)』というワードを足してみようか。できればランダム化比較試験のデータを見たいので、『ランダム化(randomized)』というワードも足してみた。世界中の論文を検索したいわけだから、英語で検索した方がいいと思う」
みに丸「なるほど~」
はかせ「では、検索してみるぞ!ポチッと」
Google検索結果(検索日:2021年1月14日)
みに丸「おおっ、なんか一番上にそれっぽいのが出ましたよ。薬剤費のプラセボ効果ですって!」
はかせ「どうやら全文無料で読める論文[1]みたいなので、これを読んでみようか」
[1]Parkinson disease: a randomized double-blind study. Neurology. 2015 Feb 24;84(8):794-802. PMID: 25632091
対象論文はこちらからダウンロードできます。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4345649/pdf/NEUROLOGY2014583914.pdf
ぜひとも論文と照らし合わせながら、ねこ薬剤師たちの論文抄読会にご参加ください。
~研究の背景~
はかせ「794ページの下段から795ページの冒頭までの『イントロダクション』から研究の背景をかいつまんでおこう。プラセボ効果は、価格、ブランドなど、治療の本質とは無関係のものに影響される可能性がある。本研究では薬剤費が効果への期待につながり、パーキンソン病における運動機能の改善に影響するのではないかという仮説を立てて、『生理食塩水の注射』というプラセボを用いて薬剤費の影響を検討したそうだ。生食のプラセボを、注射用ドパミン作動薬として投与し、高価(expensive)だと説明するのと、安価(cheap)だと説明するのとで比較したみたいだね」
みに丸「ふむふむ。薬剤費が高い方が効果の期待が高まり、それがプラセボ効果としてイイ感じに上乗せされるだろうっていうことですね」
はかせ「そゆこと。では研究デザインについてチェックしていこう」
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