京都ALS嘱託殺人事件から「死ぬ権利」と医療職の権限について考えてみた
地域医療ジャーナル 2020年11月号 vol.6(11)
記者:spitzibara
医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」
7月に発覚した京都ALS嘱託殺人事件に、その後、新たな展開がありました。容疑者の医師2人が、今回の被害者とは別の女性がスイスの自殺幇助団体に提出したメディカル・レポートを別の医師の名前を騙って書いていたことが発覚し、有印公文書偽造の容疑で再逮捕されたのです。
当初から、余罪があるのでは……という気がしていましたが、まさか他の患者さんのメディカル・レポートを偽造していたとは。考えてみれば、もともと主治医でもない医師がスイスで自殺したい人を助けようと、本人からの聞き取りに基づいて書かれたレポートであること自体に、問題があるとも思うのですが……。
この事件が起きて以来、安楽死や医師幇助自殺において「医師であればどうにでもできる」という範囲は案外に広いのではないか……と考えていた私にとっては、その懸念を裏付けるような再逮捕でした。 そこで、この事件とその後の議論について気になっている、「死ぬ権利」という文言と、制度化された積極的安楽死や医師幇助自殺における医師の権限の2つについて考えてみようと思います。
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