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ねこでも読める医学論文 番外編「さらば、消えていった薬よ」

地域医療ジャーナル 2020年10月号 vol.6(10)
特集「消えゆくエビデンス、消えゆく医療」
記者:ph_minimal
薬剤師

はじめに

 今回は企画特集号です!テーマは「消えゆくエビデンス、消えゆく医療」。去年は、バタバタしていて10月号は企画特集号だということを失念して、通常回をアップしてしまい、期限ギリギリになって特集号だということに気づいて戦慄したのを覚えています。

 今年は、去年の失敗を生かして、予定通り企画特集の記事を書きました(同じミスは繰り返さないスタイル)。今年もねこたちに語ってもらいますので、ゆる~くお楽しみください。今回、ねこ薬局の事務さんが登場します!

ねこでも読める医学論文、番外編『さらば、消えていった薬よ』

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※ねこ薬局の事務スタッフはねこ族ではなく、ヒトだったということがここで判明!


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はかせ「なんだこれは…。『消えゆくエビデンス、消えゆく医療』?」

みに丸「なんか怖いッ!こ、これはダイイングメッセージなのでは!?」

はかせ「勝手に死なすな。殺人事件は起きてないよ。あ、ジム美さん、おはよう。このダイイング…、じゃなかった、このメモについてなにか知ってる?」

ジム美さん「あー、それなんですけど、今朝、オーナーが寝ぼけ眼でやってきて、おぼつかない手つきで書き残していきました」

はかせ「寝ぼけているのはいつも通りなので特に変わった様子はないと」

ジム美さん「はい。いつもどおりボサボサの頭でぶつぶつ言いながら帰っていきました」

はかせ「ふーん。オーナーはあいかわらずだなぁ。字もヘニョヘニョだし…。で、このメッセージ…、『消えゆくエビデンス、消えゆく医療』…」

ジム美さん「なにが消えるんだか知りませんが、あっというまに消えてゆくのはお金ですよ。あー、お金がない、お金がない!」

はかせ「ちょっ…、そんな目でこちらを見ないでくれたまえ」

ジム美さん「わたしの家計だけじゃなく、ねこ薬局も赤字ギリギリで大変なんですからね!もうちょっとコスト意識をもってもらわないと」

はかせ「あ、はい、すみませんすみませんッ」

ジム美さん「ほんとにわかってるのかしら。いつも電気はつけっぱなしだし…。そんなんじゃ奥さんに怒られますよ」

はかせ「独身です、ハイ…」

みに丸「プー、クスクス。ボスが怒られてる…」

ジム美さん「みに丸くんも人のこと言えないわよ」

みに丸「ヒィッ!」

ジム美さん「さて、わたしは銀行に入金に行ってきますね。オーナーが戻ってきたら、給料を上げてと言っといてください」

はかせ「お、おう…。それについては、みんな意気投合、我ら3人は仲間だ。仲良くやろうじゃないか」

ジム美さん「では、行ってきまーす」

みに丸「い、い、いってらっしゃいませ!」

 

販売中止となった薬『セラペプターゼ(ダーゼン)』

はかせ「さて、オーナーが書き残したこのメッセージなんだが…」

みに丸「『エビデンスが消える』ってどういうことですか?」

はかせ「うーん…。消えはしないと思うけど、新しいエビデンスによって、古いエビデンスの重要性が薄まるっていうのはあるかもしれないね。その結果として、その医療行為が実施されないようになることも」

みに丸「そんなことあるんですか?」

はかせ「あるよ。きみはダーゼンという薬を知っているかい?薬の成分名はセラペプターゼというんだが」

みに丸「なんすか、それ」

はかせ「昔は風邪の患者さんとかによく処方されていたんだよ。腫れを抑えたり、痰の切れを良くするってね」

みに丸「なんで今はもうないんです?」

はかせ「ざっくり言うと、有用性が否定されて販売中止になった」

みに丸「えっ!!?そんなことがあるんですか?」

はかせ「あるんだよ」

みに丸「ひぇ~。ちょっと概要を教えてくださいよ」

はかせ「オッケー」

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