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~マントル細胞リンパ腫闘病記~ 19.まとめ2 治療について(前編)

1.はじめに

ここでは、私の受けた治療について説明します。
合計6種類の治療を受けました。
こうして振り返ってみると、結構多くの種類の治療を受けたものだと思います。
ここでは、1年目に受けた治療の概要をまとめています。

2.R-CHOP療法

(1)治療概要

最初に受けた治療で、抗がん剤治療がこれほどつらいものかと実感させられました。
R-CHOP療法は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の標準治療法です。
喉の腫れを取るために、まずはステロイド剤のプレドニン投与から始まりました。
また、骨髄にがん細胞がいる場合、いきなりリツキシマブと抗がん剤を同時に投与すると免疫反応が大きく出るので、リツキシマブは抗がん剤の3日後に投与となりました。

R-CHOP療法

吐き気止めに、グラニセトロンとプレドニン。
抗がん剤は、オンコビン、ドキソルビシン、エンドキサンとリツキシマブ。
全て点滴による投与でした。

(2)薬の説明

・オンコビン
「ツルニチニチソウ」という植物に含まれる成分から造られた抗がん剤です。がん細胞の細胞分裂の際に、染色体を新しい細胞に移す役目をする微小管の働きを阻害することで、がん細胞の分裂を抑止します。
・ドキソルビシン
がん細胞のDNAに入り込んで、その成長を止め、死滅させる作用を持つ薬です。薬の色が赤色です。
・エンドキサン
がん細胞のDNAを、アルキル基という構造を持った分子に変化させ(アルキル化)、DNAの合成を阻害することで、がんの成長を止めるという作用を持つ薬で、1950年代に開発された抗がん剤の中でも特に長い歴史を持っています。
・リツキシマブ
B細胞の表面に現れるCD20という目印(表面抗原)と結合する抗体薬で、分子標的治療薬の一つです。リツキシマブはCD20と結合することで、ヒトの免疫応答を活性化して、がん化したBリンパ球を攻撃させます。

(3)副作用

食欲不振は翌日から、吐き気が2日目に始まり、3日目から3日間嘔吐が続く。便秘にも悩まされる。軽い発熱もあり。2週間後位から脱毛が始まる。

(4)血球数の推移

抗がん剤投与後の白血球数と血小板数の推移をまとめました。 

白血球と血小板数の推移

グラフを見ると、血小板は3日目のリツキシマブ投与後に大幅に減少しますが、すぐに回復に向かっています。
しかし白血球は、リツキシマブ投与からの減少が続いて回復は遅く、2週間後から数値が回復していくのが見て取れます。
私個人の値です。これが一般的なものとは限りませんので、ご注意ください。
 

3.RB療法

(1)治療概要

R-CHOP療法で入院中に、「マントル細胞リンパ腫」と判明しました。
そこで、R-CHOP療法は1回で終了し、次からRB療法を受けることになりました。
RB療法は、非ホジキンリンパ腫に対する代表的な治療法で、主に再発や他の抗がん剤が効かなかった際などに使用する治療法だそうです。
マントル細胞リンパ腫が再発性・難治性なので、この治療法に変更されたようです。  

RB療法

吐き気止めに、イメンドカプセルを服薬、アロキシは点滴。
抗がん剤は、トレアキシンを点滴。
3日空けて、アレルギー抑制のカロナール錠とニポラジン錠を服薬して、ステロイド剤のハイドロコートンと抗がん剤のリツキシマブを点滴しました。 

(2)薬の説明

・トレアキシン
エンドキサンと同様に、がん細胞の遺伝子(DNA)と結合してその合成を阻害し、がん細胞を殺す働きをもつ抗がん剤です。

(3)副作用

トレアキシン点滴の翌日から便秘。2日後から軽いムカつきが出てきた。
便秘は2週間ほど続き、ムカつきはそれほど気にならず、いつの間にか消えていた。
今回は、多少のムカつきはあったものの、嘔吐せずに済んだので、R-CHOP療法に比べてかなり楽でした。 

(4)血球数の推移

抗がん剤投与後の白血球数と血小板数の推移は、下グラフの通り。 

白血球と血小板数の推移

 白血球は、抗がん剤投与後に若干増加するものの、下限値付近に留まっています。血小板は、一旦下限値下まで下がるが多少回復しています。しかし、下限値付近まで再下降してきました。
私個人の値です。これが一般的なものとは限りませんので、ご注意ください。

4.RB療法外来治療

(1)治療概要

外来治療は、1日目に採血して血液検査の結果で治療を行うか判断しました。OKなら外来治療室で投与を受けます。
 1日目は、吐き気止め、トレアキシン、リツキシマブを点滴投与で夕方まで。
終日の治療になるので、この日は有給休暇。
2日目は、吐き気止めとトレアキシンを点滴投与。
午前中で終了して、その後出社。
以上を1セットで、4週間ごとに4回受けました。

 (2)副作用

入院治療と同様に軽いムカつきと便秘。加えて静脈炎を発症しました。抗がん剤を入れた静脈が赤く腫れて死んでいきました。
また、回数を重ねていくにつれて、身体がツラくなってきました。何がどうツライと説明できないけど、とにかく、ただ、ただ横になりたい、寝ていたい。
担当医にそのことを話すと、高齢の患者は、このつらさに耐えられずに途中で治療をやめることが多い。そして3~4年後に再発してまた治療を始めるが、ツラくて途中でやめてというのを繰り返すそうです。
初回のR-CHOP療法も入れて合計5回治療したことから、1クール達成と考えて、次のステップに移ることになりました。 

(3)血球数の推移

外来治療を4回受けた際の白血球と血小板数の推移をまとめました。  

白血球と血小板数の推移

白血球は外来2回目で大きく下限値を下回り、その後は回復傾向にはありますが、下限値には届いていません。血小板は、下限値をギリギリ上回っていましたが、4回目に下限値を下回りました。
私個人の値です。これが一般的なものとは限りませんので、ご注意ください。

5.抗がん剤大量投与+自家造血幹細胞移植

(1)治療概要

R-CHOP療法とRB療法の後にCT検査を受けた結果、リンパ節や喉の腫れも無くなり、癌細胞はほとんどいなくなったと考えらるということです。
そこで、最後に抗がん剤の大量投与でとどめを刺し、癌細胞をせん滅するという治療です。
しかし、その際に癌細胞だけでなく、正常な造血幹細胞もやられて、血液を造れなくなってしまいます。
そこで、抗がん剤大量投与の前に造血幹細胞を採取して、抗がん剤投与後に身体に戻して、元の血液を作れる状態に戻すということをします。

(2) 造血幹細胞採取

8月の夏期休暇を利用して入院し、造血幹細胞を採取しました。

①顆粒球増殖因子の注射
G・CSF(顆粒球増殖因子)を朝・夕に注射して、普段は骨髄内にいる造血幹細胞を血管内に出てくるようにします。
副作用として、翌日から骨盤と膝・肘関節部が若干痛み出しました。これは、約1週間続きました。
血管内に十分な造血幹細胞が出たら、それを採取します。
4日間、G・CSFを注射しましたが、十分な量が出ていなとの事で、最終日の夜にモゾビルを追加で注射しました。
その結果、翌日は十分な量が出ました。

・モゾビル
造血幹細胞を骨髄に生着させる造血幹細胞表面のケモカイン受容体CXCR4に結合することで、骨髄から末梢血へ造血幹細胞を動員させる薬です。

②造血幹細胞採取
左右の腕の静脈に針を刺して、血液を循環させ、途中で、洗濯機の脱水槽のような機械で遠心分離して造血幹細胞を採取します。
約3時間、仰向けの同じ姿勢で寝たまんま。腕は動かせない、もちろん寝返りもできないので辛かったです。しかも、そばにある遠心分離機が結構うるさくて、眠ることでもできないし。
なるべく早く終わるように、遠心分離機の回転数や採取位置の設定を調整していました。
そこが技師さんの腕の見せ所だということでした。
3時間で約100cc取りました。 
採取翌日の血液検査結果に問題なく、その翌日に退院しました。
8日間の入院でした。

(3) 抗がん剤大量投与:無菌室入院

①治療概要
1日目は一般病室で準備。
エコー、心電図、レントゲンの検査と、簡易手術によるカテーテル処置。
抗がん剤がより速く全身に回るようにするために、心臓近くの静脈にカテーテルを入れました。 

カテーテル処置状況

2日目に無菌室に入って抗がん剤の投与を始めました。

MEAM療法

 吐き気止めに、グラニセトロン
抗がん剤は、サイメリン、リツキシマブを1日目に点滴。
メソトレキセート、キロサイドと吐き気止めのプレドニンを脊椎に注射。
グラニセトロン、ペプシド、キロサイドを2日目から4日点滴。
最後の6日目に、アルケランを点滴しました。
 
②薬の説明
・サイメリン
直接がん細胞のDNAを攻撃して、細胞分裂の際にDNAが一本鎖になったり分離することを阻止して、分裂できなくさせます。
・メソトレキセート
がん細胞の核酸の合成を妨害することで、増殖をおさえます。
・キロサイド
がん細胞のDNAが複製される際に、複製に必要な塩基の1つの代わりにキロサイドが取り込まれると複製がうまくいかなくなり、がん細胞を死滅させます。
・ペプシド
がん細胞のDNA複製に必要な酵素を阻害し、がん細胞の細胞死を招く薬。
・アルケラン
がん細胞のDNAにアルキル基という化合物を結合させることによってDNAの複製を阻害し、細胞の分裂を阻止します。
 
③副作用
ムカつきと食欲不振、10分と座っていられないほどの倦怠感というかつらくて寝るしかない、頭痛、便秘の次に激しい下痢、脱毛。
口内炎になる人もいるようですが、幸いにも私は免れました。
 
④造血幹細胞移植 

白血球と血小板数の推移

 これまでの抗がん剤治療で減少していた白血球は、一旦上がりかけますが、すぐに減少してほぼなくなります。この後、造血幹細胞を体内に戻したので、白血球は増加していきますが、下限値には届きませんでした。数値的には、感染症等に注意して生活する分には何とかなる、入院前レベルまで戻りました。
血小板は、白血球よりもゆっくりと減少していき、なかなか増加に転じて来なかったので、輸血で数値を回復しています。これも、入院前の下限値ギリギリのレベルまで戻ったので退院となりました。
私個人の値です。これが一般的なものとは限りませんので、ご注意ください。


これで、まとめ2 治療について(前編) は終わりです。
後半も読んでいただければ、うれしいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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