死んでたかもしれない話1
ちょっと前に、私がアーユルヴェーダの世界に入る前にやっていた、テレビ番組制作の昔話を書きました。
その頃に経験した、なかなかハードな思い出話です。
※別ブログに2018年に書いたもののリライトです。
数日ぶりにタクシーで自宅へ帰った日
これは、テレビ番組制作会社に就職してたぶん1~2年目のことだったと思います。
アシスタントディレクターとしてノッてきたところで、帰らずに仕事をすることも日常茶飯事。
その日も、3日ぶりぐらいに家に帰ることにしました。
3日帰らないと疲れてきて、今日はタクシーで帰っちゃおうかなーとちょっと甘えが出ます。
なので、あえて深夜まで仕事をしてから、タクシーで帰宅することに。
あくまで、仮眠とお風呂に入るための一時帰宅のつもりだったので、日テレの紙袋に必要な荷物をまとめてタクシーへ。
当時、住宅街の古いアパートに住んでいて、ちょっと通りから入ったところに物件がありました。
ただタクシーで帰る時はいつも、だいたい家に何もないので、車通りの多い道沿いのコンビニでおろしてもらって、買い物してから歩いて家に帰ることが多かったんです。
住宅街で突然の出来事
その日も深夜3時ごろなわけですが、久しぶりの自宅なんで少しはゆっくりしたいんですよね。
なので、いつものコンビニでおでんと飲み物を買って、片手に日テレ袋とビニール傘、片手におでんと言うスタイルで、静まり返った住宅街へと入っていったのです。
と、突然、後ろから羽交い絞めにされました。
瞬時にびっくりして叫んだけれど、口をふさがれたので、とりあえず黙りました。
なぜなら、その時、顔の右側にナイフが見えたからです。
ちょっとギザギザしたサバイバルナイフっぽいやつ。
あ、これヤバい!と思った私は、すぐ黙りました。ほら、感情的に抵抗したら、だいたい良くないことになりますよね、ドラマとか。
だから黙って羽交い絞めにされたまま、この人がどうするのか、任せたんです。
すると、どうやら隠れるところを探しているのか、ちょっと歩かされます。
しかし、ここは都会の住宅街。
なかなか隠れられるような場所はありません。
一方、無言で歩いているうちに、私はどんどん冷静になっていきます。
犯人は、私がおとなしくしているせいか、乱暴な感じはそこまでなく、むしろナイフ持っている手は緩んでいて、すぐ刺してやるぞ!というほどの緊張感はなくなっていました。
とは言え、ナイフが目の前にある事実を考えると、
「あー、これは刺されるか犯されるかどっちかなんだろうな」
と言うのが結論でした。
抵抗して刺されて最悪死ぬってこともあるパターンと
このまま黙っておけば怪我はしないけど他の傷が残るパターンと
どっちの未来がましだろう?
どっちを選ぶのがいいのだろう?
って、短い時間で一生懸命考えました。
思考しているうちに冷静さが戻ってきた
そんな風に頭を使っていたら、どんどん冷静さが増してきます。
そしたら、目の前に見えているナイフを持った犯人の手が、ブルブル震えてるのが分かったんです。
ちょっと意外に思ったけれど、
「ああ、この人もビビってるんだ。」
って思ったら、さらに落ち着いてきて。
暗い中、ナイフをよくよく見れば、それほど厚みはなく本格的なサバイバルナイフにしてはちゃっちい感じがします。
急所を刺されなければ死なないかもしれない…
まして、こんな風に震えている人がナイフを上手に使えるとは思えません。
さらに場所を探して歩かされている間、後ろにいる犯人の顔は見えないものの体型的に痩せている感じがしました。骨が当たるから。
さすがに私も、あまりに肉体差があったら諦めたのかも知れません。
でも、幸いなことに相手がやせ型だったので、私の中で刺されて死ぬ可能性がますます低く思えたんです。
そこで、
刺されるか。
犯されるか。
この2択で私が選んだのは、
「刺されるぐらいなら、いいんじゃないか?」
でした。
続く