【不用意な発言にご用心】
「へー。
帝王切開だったんだー。
楽で良かったね。
私なんか陣痛長くてさぁ
赤ちゃん産むってホント大変すぎよー。
でも。
あの苦しみを知らないで産むと
子どもに愛情湧かないんだよ。
帝王切開ヤバイからー。
虐待して殺さないように
気を付けなね。」
24年前。
長男を産んだ病院で
同じ時期に出産したママさんに
かけられた言葉。
四半世紀経った今でも
心がチクリと痛むことがあるのよ。
そのくらい破壊力のある一言だったのよね。
どう思おうと自由だけれど。
口には絶対してはいけないことが
世の中にはある。
先日。
葬儀の司会を担当させてもらった葬家さんで
もう臨月も近いと思われるお腹の
妊婦さんに出会ったの。
「暑いから余計に大変でしょ?」
そう私が声をかけると
「ホント大変(^ー^)
早く出てきてーって思っちゃう。」
「だよねぇ。
私も真夏に息子産んだから
その気持ちわかるわー
もう少し頑張って👊」
という
何気ない会話を交わし
私が立ち去ろうとすると。
その妊婦さん
ちょっと顔を曇らせて
こう言葉を続けたんだ。
「あと8日で産まれるんだけどね。」
あ。
帝王切開なんだ。
そう思った。
「そっか⤴️
あと8日で会えるんだね⤴️」
あえて明るくそう答えた私に
その妊婦さんはこう続けたの。
「1人目が帝王切開でね
次は絶対普通に産みたいって
思っていたのに。
結局。安全策をーって言われて
また帝王切開なの。」
やっぱりだ。
「そっかあ。
私も二人の息子を両方とも
帝王切開で産んでるからさ(^ー^)
一緒だね🎵」
そう私が答えると
目を潤ませたその妊婦さん。
え?💧
何故泣くのー?
ちょいと慌てた私。
すると
彼女はこんな話をしてくれたんだ。
お姑さんに
帝王切開は母親失格だと言われたんだそう。
おまえは欠陥品だ。とも。
は?
はあ??
なんてことを。。。
あげく。
頼みの綱のご主人が
「帝王切開って
子どもに愛情がわきにくいって
会社の子が言ってたんだけど
おまえ。大丈夫?
子ども可愛い?」
と聞いてきたってんだから。
そりゃ。
帝王切開で産むことに
訳のわからない罪悪感を
もっちゃうってもんだ。。。
なんなんだよ。
その「普通分娩最強❗みたいな神話」
楽したくて
帝王切開を選ぶ母親なんかいない。
必ずなんかしらの
事情があって
帝王切開になる。
赤ちゃんを無事に産んであげられるなら
それが一番だから。と
母親は同意するんだ。
その選択も愛情。
だって
誰が好き好んで
お腹にでっかい傷作りたいよ?
普通に産もうが
帝王切開で産もうが
愛情に開きがあるわけない。
「あたしはね。
このお腹の傷があるから
子育てに迷わなかったんだと思ってるの。
いうことを聞いてくれない息子に
イライラしてさ
迷いそうになったら傷を撫でてみるのよ。
そしたらね
産まれた時の想いとかが
ちょいと蘇ってさ
なんか落ち着いたものよ(^ー^)
まぁ
大して出来のよくない息子にしか
育てられなかったけどね💧
否定するようなこと言われたら思われよ。
産んだ時の感動を
ずっと身体に刻んでるあたしが
羨ましいんでしょ?って(笑)」
私がそう言うと…
ほんの少しだけど。
彼女の目に輝きが戻った。
令和になってもなお
そんなくだらない神話が残っていたことに驚いた。
と同時に
改めて思う。
不用意な発言には
気を付けんなん。
ましてや
身体に関することは
慎重に言葉を選ぶ。が基本。
わからないなら
何にも言われんな。
自戒も込めて。そう思う。
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