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創作:幻のプロローグ「かぐや蝶」
『あの娘はね、あげまんとか、そんな可愛いもんじゃないよ。絶世の美女とか、そういうわけではなくて、ごく平凡な容姿だから目立たないし、見つけるのは至難の業だ。
だけど、目が合えば分かる。瞳が違う。
目が合ったら最後、ふらふらと引き寄せて、心の奥の回路に侵入して無謀な挑戦に走らせるんだ。
一度でも微笑みかけられたなら、もう逃げられない。引き返せない。まるでメデューサ。
本人に、自覚がないのがまたタチが悪い。
当然、成功する者もいれば破滅に向かう者もいる。感謝する者もいれば恨む者もいる。
それでも君は、会ってみたいかな?
え、僕は会って後悔してないかって?
まぁ、とことん酷い目に合ったけれど、後悔はしてないよ。
というか、後悔もなにも、逆らえない流れだった。不可抗力だった。抗えない力が働いたんだ。
でも、今となってはあの娘の登場しない僕の人生なんて、想像つかないな。
偉人でも、アーティストでもカリスマ経営者でもなくても、それほどの影響を与える存在が日常に紛れていたりするんだよ。
会ったその日から、嫌でも冒険の旅に連れ出される。
「翔んでみれば?できるよきっと、あなたなら」
って、にっこり微笑みながら、あの華奢な腕からは想像できない程の暴力的な力で背中を押されて崖から突き落とされる。
苦しいけど、半端ない恍惚感を味わえるよ。
お勧めはしないけれどね。』
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