尻切れトンボな坐骨神経痛日記
11月11日(金)
整形外科受診。昨日まで火水木とたいへん調子がよかったが今朝から痛みが強くなった旨伝える。先週と同じく、注射、注射、リハビリ。
11月12日(土)
出張帰りの家族を駅のバス停まで迎えにいく。
「まだ松葉杖なんだ?」
と言われた。先週、「鶴巻温泉に行った」と言ったとき私は当然「松葉杖をついて」行ったという意味で言っていたんだけれど、私の当然という前提は、言葉にしなければ伝わりませんよね、当然だ。
夜は二人で、よく行く居酒屋に行った。
その後お尻と脚の痛みが強くなり、這ってトイレに行く状態に後戻り。
11月13日(日)
外食どころではない。背中を垂直にして座っているのがつらい。木曜日に仕事が入っているのだが、こんなに痛いと電車に乗るのも難しいだろう。
11月14日(月)
午前中に受診したほうがよいと家族にすすめられ、支度を始めるけれど、ここ数日の「少し回復してから振り出しに戻る」感が切なくて、声を上げて泣く。這いつくばっているので、床に涙がポタポタ落ちた。
11時半頃成形外科受診。家族に付き添ってもらった(11月1日に車椅子で連れて行ってもらったとき以来だ)。まだ話してなかったので、職業が俳優なこと、12月6日からツアーで北海道に行くのでそれまでに動けるようになりたいこと、その前に入っている仕事は松葉杖ありで良いと言われていることなどを先生に伝える。
今までとちがう血管注射。そして飲む薬が一つ増えた。お願いして湿布も処方してもらった。
「ロキソニンの、いいやつをお願いします」
と言ったら、先生が「ロキソニンのいいやつね」と復唱した。リハビリ室の看護師さん(後で話していて、同い年と判明した!)が、
「大丈夫ですか? 今日はさっきからつらそうですよね」
と迎えてくれ、私は、
「今、弱ってるから、そんなやさしくされると涙が出ちゃいます」
と言い、その後電気治療を受けながら静かに泣いた。
家族に迎えに来てもらい、一番近いファミレスでランチ。少し楽になったけれど、垂直に座っているのはやっぱりつらい。午後一度横になったら、次にトイレに立ったときは昨日と同じ痛さに戻っていた。
11 月15日(火)
昨日と同じく痛い。通っている医院が水曜休診なのでどうしても今日受診したくて、午後3時過ぎに行く。お尻と脚の痛みがもう少しなんとかならないでしょうかと訴えると、ゆっくりよくなるものである、これ以上何かするとしたら坐薬、とのことで、坐薬を処方してもらう。
リハビリ室に行くと、昨日と同じ看護師さんが、
「昨日よりよさそうですね」
と迎えてくれる。その通りで、今日は先生と話しただけで注射などの治療は何もしていないのに、来たときより身体が楽になっているのが自分でもわかって、不思議だし面白かった。リハビリし、隣の薬局で坐薬の説明を受けて帰る。
飲んでいる薬が効いてきたということもきっとあると思うし、先生からゆっくり治っていくと言われた(あせらなくても、ちょっとずつ良くなっているんだ、これでいいんだ、という安心)ことも良く作用してるだろうし、まだ使用しないで済んでいる坐薬は「ものすごく痛くなったらこれを使えばいいんだ」というお守りの役割を果たしてくれてるんだと思う。だいぶ調子がいいです。ここで楽観的になって無理をしないように気をつけること。
11月16日(水)
朝起きてみると、歩く気になれないくらい脚
(太腿の外側と後ろ)が痛いので、坐薬を使う(お守りどころではなかった)。すぐに、キッチンに松葉杖を置いたまま寝室に戻ろうとするくらいに回復。薬が効いているだけなので、調子に乗らないように。
11月17日(木)
朝起きると昨日と同じくものすごく痛くて、今日も坐薬を使う。秒で痛みが消える。
リハビリに行った後、仕事先に向かう。朝9時台の電車はラッシュ時ほどではないけれどまだ混んでいて、立っていると親切な人がドア横の立ちやすい場所を譲ってくれた。さらにそのしばらくあと優先席を譲ってくれた人がいて(お腹に赤ちゃんがいます、というマークをカバンにつけた人だった。「いいです」と断ろうとしたら「次の次の駅で降りますから」と。通勤快速の「次の次」は結構遠くなので申しわけなかったけれど、混んだ中立っているのはしんどかったので助かりました)、あとは座っていけた。
来週から映画の撮影が始まるので、今日はそのリハーサル初日でした。私は、最初は椅子に座っていたんだけど途中でしんどくなり持参のヨガマットを敷いて床に寝て話を聞いていた。
スタッフの人たちも一緒にダンスのワークショップ的なこともしました。私は椅子に座ったり床に転がったりの状態で休み休み参加。腕や脚をのびのび伸ばすのは、そういえばものすごく久しぶりだった。人の動きについていったり、自分がリードしたり、こんなふうに他人と関わるのも久しぶりだった。
午後からずっと調子がいいのは、薬のせいかダンスのせいか、それとも両方のせいだろか。
11月18日(金)
整形外科受診。火水木の様子を話す。ダンスのことは特に言わなかった。服薬を続け、注射を続けていくそうです。
映画のリハーサルは、今日は私の最寄駅の近くの会場で(配慮が嬉しかったです)、監督と共演者と3人で、映像を見たり脚本について話し合ったり。
11 月19日(土)
朝、リハビリに行く。電気治療を、いつもお尻の辺りをしてもらうのを、「今いちばん痛いのはスネなんです」と言ったらスネもしてくれた。請求書の金額がいつもより150円高かった。
11月20日(日)
起床時、左脚が少し痛む。そろそろなんとなく見当がついてきてて、「左脚に体重をかけず、上下に伸ばすようにしたら治る」と思いそのようにしたら、治った。よし。とは言っても、左のお尻の奥に痛みの基地みたいなものはあり、微かな痛みはそこに常にある。
駅ビルに買い物に行く。黒い前開きパーカーとツアー用の冬の下着。店によってかかってる音楽が違うことなどがいやな刺激になり、ずいぶん疲れた。
明日は朝から映画のリハーサルで、ラッシュ時に松葉杖で電車に乗るのは大変だろうからということで、ホテル前泊。ありがたや。
11月21日(月)
集合の20分前にホテルを出て間に合う幸せと共に。ただ、昨夜も今朝も雨降りだったので、野外劇場とかで着るようなレインコート(もう何年も前に膝を痛めて人生初松葉杖のとき購入した物)が要るのが面倒くさかった。
今日は一日、映画のリハーサル。座る姿勢が続くと左脚がつらくなってくる。あぐらをかいたり正座に戻ったりすれば大丈夫。立ってる姿勢が続くのもつらく、立ってなくてもいいときは座れる場所で座っていた。別に全体に普通に大丈夫だったんだけど、普通の日常的な動作や姿勢も、私にはまだ長くはむずかしいんだなということがわかった。
夕方整形外科を受診。最近、リハビリ(電気治療)があっという間に終わる。以前も今も同じ10分なのにね。
11月22日(火)
朝起きて立ち上がり、伝い歩きでトイレに向かうと左脚がだんだん痛くなる。何かする気力を奪うほどの痛みが日課のように毎朝来る。朝の薬を飲み、入浴してもまだ痛く、しばらく寝転んだりうずくまったりしているうちに痛みが引いていった。あとはおおむね大丈夫。午後、リハビリ。
11月23日(水)
雨降り。どこにも出掛けない日なので、おおむね寝ていた。
11月24日(木)
今朝もやっぱり痛くなり、お風呂(もともと高齢者用に建てられた家なので、ちょうど良いところに手すりがあり)で立ったりしゃがんだりお湯に浸かったりしているうちに治る。今までよりだいぶはやく治ったので、やはり、寝ている状態から起きている状態に体がシフトチェンジしているのかもしれない。
整形外科受診。ここ数日の様子を話す。朝飲む薬が増えた。
11月25日(金)
映画の撮影。今日は室内。「外で松葉杖をついている人なのに(松葉杖をついていないときの)動きが軽快すぎる。観客が混乱するので、もう少しゆっくり動いてほしい」と言われ、演技と実生活、当事者性についてなど考える。
***
その後、12月いっぱい松葉杖だった。『日本文学盛衰史』北海道東北ツアーにも、松葉杖を突き、念のため坐薬を持参して臨んだ。2023年1月の吉祥寺公演では、もう杖は突いていなかったけれど、ある日飲む薬を家に忘れてしまい、痛くなるんじゃないかとドキドキして過ごした(大丈夫だった)。
病院に松葉杖を返した後は一本杖に頼ることもなく、4月にはキラリふじみでのダンスカフェにも立って歩いて参加できた(当初昨年12月開催予定だった。予定どおりだったら車椅子で出るはずだった。松葉杖だとウクレレ弾けないので)。
5月には山田せつ子さんの、8月には池田扶美代さんのダンスワークショップに参加したし、1年休んでいたヨガのクラスにも8月から復帰した。薬はまだ飲んでいるけれど、量と種類を段階的にだいぶ減らしてもらっている。というのが、2023年9月の現状です。
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